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キヤノン株式会社とキヤノン販売株式会社は20日、都内のホテルでプライベートショー「Canon Expo 2000 @Tokyo」を開幕した。このイベントは、「feel alive-Digital Magic Canon」をテーマにした、同社の新しいビジョンや事業について、紹介するイベント。
会期は22日までだが、プライベートショーのため入場には招待状が必要となる。
●BJプリンタ内蔵デジタルカメラ
【BJプリンタ内蔵デジタルカメラ】 |
展時機は実際に撮影・印刷が可能で、来場者を写して印刷するデモストレーションが行なわれていた。さらに、このプリンタでプリント時に音声を2次元バーコードとして縁に印刷し、専用のリーダーで再生することも可能。
製品化時期や、価格にはついては未定とのことだが、「デジタルカメラの価格帯で製品化したい」と話していた。
また、この小型BJユニットは、さまざな形での利用が考えられており、オーディオや携帯型ゲーム機などに内蔵したモックアップも展示された。
【Micro Bubble Jet Engine】 | 音声2次元バーコードリーダー |
●EthernetケーブルをIEEE-802.11bで無線化
現在、転送速度11MbpsのIEEE-802.11bを使用した無線LAN製品が数多く発売されるようになった。しかし、それらは、ダイヤルアップや、IPルーター機能を持っていたり、クラインアントPC用の製品もPCカードか、PCIカードで、ドライバのインストールや設定などを行なわなければならない。
搭載するコネクタは10Base-T(RJ-45)のみで、ここに既存のLANのEthernetケーブルを接続すれば、そのデータを無線でやり取りできるようになる。PCやプリンタなどのデバイス側からは、今までどおりのEthernetインターフェイスとしか見えないので、新たにドライバなどをインストールする必要はない。
このためEthernetが出ていれば、どんなOSや、どんなデバイスでも無線化できることになる。製品化時にはWi-Fi認証を受けるとしているので、他のWi-Fi認証機器とも相互に無線接続可能だ。なお、セキュリティはESS-IDと、独自暗号化方式で確保し、それらの設定はPC上から専用ユーティリティを使用しなければならない。
発売時期は2001年の第一四半期、価格は3万円台になるという。価格的にはPCカードなどの既存の製品とあまり変わらないが、設定が手軽で、既存の環境をすぐに無線化できるという意味では、“ありそうだけど、なかった製品”といえるだろう。
●Bluetooth製品は来年春から登場
最近になって、ようやくBluetooth搭載製品が数社から製品化され、エンドユーザーの手に入るようになってきた。そして、キヤノンからは来年春から製品が登場する。
実際に発売が予定されているのは、LANとBluetoothをつなぐ「Bluetooth Access Point」、プリントサーバー機能を搭載する「Bluetooth Print Server」、プリンタのパラレルポートに直接接続するアダプタ「Bluetooth Print Plug」。価格はそれぞれ、10万円弱(クライアントPCカード3枚セット)、7~8万円、2~3万円。
会場ではレーザープリンタ「LBP-350」に「Bluetooth Print Plug」を装着して、無線プリントアウトが実演されていた。
【Bluetooth Access Point】 | 【Bluetooth Print Server】 | 【Bluetooth Print Plug】 |
また、Bluetoothへの取り組みとして、デジタルカメラ「PowerShot S10」や、モバイルバブルジェットプリンタなどに、Bluetoothユニットを搭載したデモストレーションが行なわれていた。しかし、製品化については未定とのことで、実際にこれらの既存の機器に小型のBluetoothユニットが増設できるか、という点に関しては「わからない」としている。
【Bluetooth対応デジタルカメラ】 | 【Bluetooth対応BJプリンタ】 | 【Bluetooth内蔵プリンタ】 |
●その他の参考出展
これら以外にも、製品化未定の使用イメージも、いくつか紹介された。その1つがスマートカード技術を応用した「UIカード(User Interface Card)」だ。これは、スマートカードにWebサイトなどへのリンクを記録し、そのカードをリモートコントローラに差し込むと、STBやTVなどの一種のリモコンとして機能させるもの。
スマートカードに、PRページなどへのリンクを記録して配布することで、セールスプローモションツールの1つとしても活用できるとしている。
その他には、いわゆるホームサーバーを実現する「DTVシステム」と、「iHS(インテリジェント・ホーム・ステーション)」が公開された。
展示されていた「DTVシステム」のモデルは、DTVプラットフォームをセンタにして、DVカメラなどを接続。デジタルデバイスは、それぞれIEEE-1394で接続され、AV機器を接続するためのホームネットワーク規格HAViを利用する。これにより、リモートUIを利用してテレビ画面を見ながら、DTVプラットフォームに向けてリモコンを操作すれば、すべての機器を連携して操作できるようになる。
「iHS」の方は、ステーションに静止画、動画などのデータを全て集め、テレビ(ビデオモニタ)で操作するというデモストレーションが行なわれていた。展示機にはHDDとCD-Rが搭載されていたが、DVD-Rの搭載も考えられており、DVDビデオが作成可能になるようだ。
両者の最終的なイメージはかなり似ているが、「DTVシステム」はメインに据えているのがデジタルも含むテレビ。一方「iHS」は、インターネットに接続した上で、DVカメラ、デジタルビデオデッキなどと接続する家庭用ネットワークサーバーというコンセプトとなっており、発想の源がその違いとなっているようだ。
【DTVシステム】 | 【iHS】 |
●技術展示
実動モデル。まだ作ってから1週間ほどしかたっていないというが、頻繁に表示を切り替えているため、すでに完全に吸着・離着ができなくなって、にじみができている。 | うまくいけば、このようなペーパーディスプレイが実現できる。この用途においては液晶よりも有利な点が多い。 |
プラスティックで挟んでいるためフレキシブルで、同社では「ペーパーライク・ディスプレイ」と呼んでいる。解像度も200ppi以上まで可能としているが、今のところ動的なディスプレイとして使用すると寿命は短い。そのため、あまり頻繁に書き換えを必要とせず、高解像度が必要な新聞や、書籍などの活字メディアの置き換え用途に向いているとしている。
これはかまぼこ型のレンズを液晶の間に挟むことで、左右の眼に別々の画像を見せて、立体感を実現する。ただし、原理上ディスプレイは縦方向に交互に、左と右眼用の画像を表示しなければならない。そのため、縦方向の解像度は半分となるのほか、ソフトウェア側でも対応が必要となるのが弱点となる。
会場では、実際にゲーム画面や、ビデオ映像が流されていたが、飛び出る画像というような派手な3Dではなく、画面に奥行きがでるという印象だった。
なお、製品化時期については「なるべく早い時期に」とのことだったが、専用ディスプレイ、対応ソフトが必要となることもあり、「当初は、どうしても用途が限られてしまう」と話していた。
□キヤノンのホームページ
http://www.canon.co.jp
□Canon Expo 2000のホームページ
http://CanonExpo2000.com/indexff.html
(2000年11月21日)
[Reported by furukawa@impress.co.jp]