鈴木直美の「PC Watch先週のキーワード」
第73回:4月5日~4月9日


■■キーワードが含まれる記事名
●キーワード


4月5日

■■BIOSからユーザーデータまで日付をチェックする2000年問題チェックソフト
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990405/y2k.htm

2000年問題(Year 2000 problem [Y2K~ワイツーケー])

 年号を下2桁で扱っているシステムが、2000年以降の日付データを正しく処理できなくなることから発生する問題。

 上2桁が「19」であることがあたりまえだった、あるいは、できるだけ少ないリソースでデータを効率的に扱いたかったなどの理由から、年号を下2桁だけで扱うスタイルが多く用いられてきた。例えば、多くの場面で、年号の入力や表示は下2桁だけで行なうことが慣例化していたし、事務処理系でよく使われているプログラム言語「COBOL(コボル)」などは、下2桁処理を規格化していたほどである(※1)

 いわば暗黙の了解だった「19」だが、「20」に変わる段になり、これをシステムやアプリケーションが正しくハンドリングできず、正常に動作しなくなる可能性がクローズアップされるようになってきた。要は、2桁では、1900年代なのか2000年代なのかを識別することができないわけで、これらを正しく扱えるように、プログラムやデータを修正する必要がある。

 なお、西暦2000年に関しては、これを閏年として扱わないようにロジックが組まれているシステムもあり(※2)、これも2000年問題のひとつに含める場合もある。

(※1)COBOLの2桁表記は、'68年にANSIで規格化されており、4桁処理は'89年になってようやくオプションとして追加されている。

(※2)1年は地球の公転周期に合わせて設定されているが、実際の1太陽年は、約365.2422日と365日よりも若干長くなっている。この差を埋め、1年が1太陽年に近似するように調整するためのものが閏年で、4年に一度、1年を366日としている。すなわち1年は、365+(1/4)=365.25日となるわけだが、これをさらに近似させるために、100で割り切れる年は閏年にしないことになっている。このロジックだと、2000年は閏年ではないことになるのだが、1年=365.24日をさらに近似させるために、400で割り切れる年に関しては閏年としている。2000年はこの年にあたるので、平年ではなく閏年なのである。

【2000年問題に関するサイト】
□通産省
http://www.miti.go.jp/2000-j/n-menu-j.html
□首相官邸
http://www.kantei.go.jp/jp/pc2000/index.html


4月6日

■■【新連載】本田雅一の「週刊モバイル通信」~いまどきのPDA選び(前編)~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990406/mobile01.htm

ホットスワップ(hot swap[ping])

 システムを稼働させたまま、デバイスの取り外しや接続が行なえること。ホットプラグ(hot plug[ing])とも。

 PCカードや、USB、IEEE-1394などのバスでは、通常、電源を入れたままの状態でデバイスを抜き差しすることができ、システムがこれを自動的に認識し、必要なコンフィギュレーションを行なうようになっている。この機能を一般にホットプラグと呼んでいる。

 ホットスワップは、カードを交換するというようなニュアンスで、これと同義に用いられることもあるが、無停止型のシステムにおいては、故障したシステムの一部(PC本体やドライブ、電源などのパーツ)を、システムの稼動状態を維持したまま交換できる機能を指すことが多い。ちなみに、あらかじめ予備のデバイスを用意しておき、障害発生時に即時に切り替え、処理を継続できるようにする機能をホットスタンバイ(hot standby)という。


4月7日

■■法林岳之のTelecom Watch  ~第25回:1999年3月編~
  「次世代携帯電話とPHS」ほか
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990407/telw25.htm

WAP(Wireless Application Protocol)
ワップ

 Ericsson、Motorola、Nokia、Unwired Planetが'98年に設立したWAPフォーラムが策定する、小型携帯端末向けの通信プロトコルの総称。

 機能や性能、ユーザーインターフェイスなどに制約の多い小型携帯端末を使って、WWW(World-Wide Web)をはじめとする様々な情報サービスを利用するためのプロトコル群で、上位のサービスから順に、以下のような多岐にわたる規格が策定されている。

 WAPベースのインターネット接続では、ゲートウェイサーバーを介して、TCP/IPやHTTP、HTMLなどのインターネットベースのプロトコルやデータを、携帯端末向けのWAPベースのものに変換しながら通信を行なうのが特徴で(※1)、日本移動通信(IDO)とDDIセルラーグループ各社(DDI=Daini Denden Incorporated)が'99年4月からはじめたcdmaOneがこれを採用している。

(※1)WWWで使われているHTMLが、そのまま携帯端末向けのWMLに変換されるわけではなく、携帯端末向けのコンテンツは、Unwired Planetをはじめとする各社が'97年にW3Cに提案した、携帯端末向けのマークアップ言語「HDML(Handheld Device Markup Language)」を使って記述する。

□WAP Forum
http://www.wapforum.org/
□IDO WAP Information
http://www1.mediagalaxy.co.jp/ido/wap/index.html
□DION WAP Information
http://www.dion.ne.jp/wap/index.html
□HDML
http://www.w3.org/pub/WWW/TR/NOTE-Submission-HDML-spec.html
【参考】
□HTTP
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980210/key17.htm#HTTP
□SSL
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/971111/key6.htm#ssl



 
コンパクトHTML(Compact HTML[HTML~HyperText Markup Language])
コンパクトエイチティーエムエル

 アクセスが中心となって開発し、'98年2月に、松下電器産業、NEC、富士通、三菱電機、ソニーの6社でW3Cに提案した、小型携帯端末向けのドキュメント記述言語。

 WWWで使われているHTML(HyperText Markup Language)をベースに、メモリやCPUパワー、画面表示、ユーザーインターフェイスなどに大きな制約のある小型携帯端末向けにアレンジしたマークアップ言語で、既存のHTMLと同様のタグを用いて、文書の構造やデザインを記述する。言語仕様そのものは、HTMLの完全なサブセットとして作られており、小型携帯端末には荷の重いフレームやテーブル、マルチフォント、JPEG画像、イメージマップ、スタイルシート、カラー表示などの機能は削られているものの、基本部分は現行のHTMLと互換性がある。

 このコンパクトHTMLは、NTT移動通信網(NTT DoCoMo[Do Communications Over The Mobile Network])が'99年2月から始めた携帯電話向け通信サービス「iモード」のコンテンツ記述用に採用されている。

□NTT DoCoMo iモードホームページ
http://docomo-web.nttdocomo.co.jp/i/home.html
□iモード用HTMLタグの解説
http://docomo-web.nttdocomo.co.jp/i/tag/index.html
□Compact HTML for Small Information Appliances (W3C)
http://www.w3.org/TR/1998/NOTE-compactHTML-19980209/
【参考】
□JPEG
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980715/key38.htm#JPEG


4月9日

■■AKIBA PC Hotline! HotHotレビュー by Ubiq Computing
  ~新たにx86互換CPU市場に参入したRise mP6の実力とは?~
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990409/hotrev05.htm

アウトオブオーダー(Out-Of-Order[OOO])

 プログラムされた順番に関係なく命令を実行することによって、CPUの処理速度を向上させる技術。

 CPUは命令の読み込み(fetch)、解釈(decode)、実行(execution)、結果の書き込み(write back)といった一連のプロセスを、CPUクロックに合わせて行なっている。プログラムは、記述された順に読み込まれ、そのとおりの順番で実行されており、これをインオーダー(in-order)方式と呼んでいる。

 パイプライン(pipeline)化されたCPUでは、個々の処理(ステージという)を個別のユニットが行ない、各ステージをオーバーラップさせることによって、単位時間あたりの処理命令数を増やしている。このパイプラインを複数備え、命令そのものを並列実行できるようにしたものをスーパースカラー(superscalar)という。スーパースカラー型のCPUでは、複数の命令を同時に実行することができるわけだが、同じ実行ユニットやオペランド(※1)を使う命令、依存関係にある命令などは、同時に実行することはできない。MMX Pentiumのようなインオーダー方式のCPUでは、このような命令が続く場合には、スーパースカラーの効果が全く望めなくなってしまう。これに対し、Pentium Pro以降のIntelのCPUや、AMDのK6、K6-2などでは、プログラムの記述順序に関係なく、実行可能なものから順に空いている実行ユニットに送り込み、効率よく処理していく手法が用いられており、これをアウトオブオーダーと呼んでいる。ちなみにこれらのCPUでは、使用するレジスタを別のレジスタに割り当てることによってレジスタの競合を回避する、レジスタリネームの機能も備えており、スーパースカラーがより効果的に機能するようになっている。

(※1)演算などの命令を実行する際の処理対象となるメモリやレジスタ。例えば「2+3」では、「2」と「3」がオペランドで、処理命令となる「+」の方はオペレータ(operators)という。

【参考】
□パイプライン
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981021/key51.htm#pipeline
□スーパースカラー
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/981021/key51.htm#superscalar
□レジスタ
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990218/key65.htm#register

[Text by 鈴木直美]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp