PC使いこなし塾

Microsoft Office 2016をこれから使うあなたへ【第7回】

~Excel中級編その2。重要なのは用紙全体の印象! 「できる」と思わせる書類に仕上げよう

表だけを印刷した書類は、物足りなさを感じ、内容も薄く見えます。グラフを添えたり、ヘッダーやフッターに文字を配置したりするだけで、なんでもない表も立派な書類に仕上がります

 時間と手間をかけて作成したExcelの表。いざ印刷してみると「なんか物足りない」とか「なんか垢抜けない」と感じることはありませんか? 完成した表を何も考えずに印刷すると、そうなるのは当然です。印刷した場合、目に入るのは用紙全体の印象です。表だけがポツンと印刷された書類は、どんなに完成度の高い表でも、残念ながら物足りない印象になってしまいます。

 そんなときに便利なのはグラフです。なんでもない表でもグラフを添えれば、視覚に訴える書類になります。さらに、「できる」と思わせる書類に仕上げるには、印刷の配慮も重要です。表とグラフを美しく配置して、物足りない、垢抜けない書類から脱出しましょう。
今回は、Excelの表を書類として仕上げるためのグラフと印刷のワザを紹介します。

目を引くグラフで見せる

 数値を集計した表は、それだけでは地味な印象です。手っ取り早く目を引く書類にするなら、数値をグラフ化し、表に添えてみましょう。ただし、グラフならなんでもいいわけではありません。数値の傾向を的確に表現するグラフを作成することが肝心です。まずは、それぞれのグラフの特徴をおさえておきましょう。

 Excelには数多くのグラフの種類が用意されていますが、一目見て誰でもすぐに理解できるのは、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフです。これらのグラフには次のような特徴、または効果があります。これを踏まえてグラフを選びましょう。

  • 棒グラフー棒の長さで数値の差を強調することができます
  • 折れ線グラフ-数値の変化、推移を表します
  • 円グラフ-それぞれの数値の割合を示すことができます
同じ表でもグラフの種類によって見えてくるものは違ってきます。棒グラフでは数値の大小が強調されます。折れ線グラフは数値の推移を見ることができます。円グラフではそれぞれの割合がはっきりします

シンプルイズベスト! 伝えたいことに絞ってシンプルなグラフにする

 グラフは、グラフ化したいセル範囲を選択し、グラフの種類を指定して作成します。これでできるのはExcelの既定のグラフですが、ここにはタイトルや縦軸、横軸、凡例など、いろいろなパーツが組み込まれます。表といっしょに印刷するグラフなら、余計な情報は不要です。数値の変化や差を強調するには、いらないものを削って、できるだけシンプルに仕上げるのがおすすめです。

グラフにしたい項目や数値のセル範囲を選択したあと、[挿入]タブの[グラフ]グループから目的のグラフの種類を選びます。「集合縦棒」を選ぶと、図のようにタイトルや数値軸、項目軸、目盛線などを含むグラフが作られます。ここからいらないものを削ってシンプルなグラフにしてみましょう
タイトルや軸などを削除するには、グラフの横に表示される「+」をクリックして、チェックマークを外します。最低限必要な目盛線やデータラベルにはチェックマークを付けます。なお、「データラベル」は通常、数値が表示されますが、それをダブルクリックすれば、項目名(分類名)に変更可能です
グラフをインパクトある見た目にしましょう。棒をダブルクリックして、「データ系列の書式設定」を表示し、棒の間隔を調整します。すると、棒が太くなります。色も重要です。目立つ濃い色がおすすめですが、表の色に合わせて統一感を出しましょう

印象のいい書類にするには

 用紙に印刷した書類で、印象を大きく左右するのは、余白の分量です。データ数が少ない小さい表の場合、余白が目立ちすぎ、間の抜けた感じになってしまいます。これを緩和するには、ヘッダー、フッターを利用しましょう。用紙の上部、または、下部に、日付や会社名などを配置するだけで、余白も気にならなくなり全体が引き締まります。

 また、表やグラフのほかにちょっとした文字列があると目を引きます。タイトルを目立たせたり、ポイントを短い文字で表すと、確実に伝わる書類になります。

左は表の右、グラフの下の余白が目立ち、おざなりな印象です。右は、余白が目立たないように表やグラフのサイズを調整しています。さらに、ヘッダー、フッターを挿入し、タイトル文字を大きくするなど、手を加えています。些細なことですが完成度の高い書類に見えます

 Excelのヘッダー、フッターは、シートが表示されている画面では見ることができません。「ページレイアウト」表示画面で操作しますが、画面の切り替えがポイントです。

[挿入]タブの[ヘッダーとフッター]ボタンをクリックすると、画面は自動的に「ページレイアウト」表示画面に切り替わり、ヘッダーの入力領域が表示されます。ここに日付や名前など文字を入力します。フッターは、[フッターに移動]をクリックして入力します。入力が終わったら、[表示]タブの[標準]ボタンをクリックして、元のシート表示に戻ります

Excelならではの印刷機能を知っておこう

 Excelには、ほかにはないExcelならではの印刷機能があります。便利なのは、拡大縮小印刷と中央印刷です。

 印刷対象の表が小さく、余白が多すぎるなら、拡大印刷する方法もあります。逆に表が大きく用紙に収まらない場合は、用紙に合わせて縮小します。

 そして、印刷時に、対象を用紙の中央に配置するのが中央印刷です。Excelの通常印刷では、表は用紙の左上に配置されます。これを用紙の横、縦の中央にすることができます。必ずしも必要ではありませんが、中央に印刷するのは、設定により簡単にできることを覚えておきましょう。

拡大縮小印刷を行なうには、[ページレイアウト]タブで拡大縮小率を指定します。拡大、縮小の程度は、[ファイル]タブの[印刷]をクリックして印刷イメージを見て確認します
印刷対象を用紙の中央に配置して印刷するには、まず[ファイル]タブの[印刷]をクリックし、「ページ設定」の文字をクリックしてダイアログボックスを表示します。[余白]タブの[水平]、[垂直]にチェックマークを付けて設定します

Excel 2016新機能紹介

 Excel 2016には、棒グラフや折れ線グラフとは別に、地図を利用したグラフ「3Dマップ」が標準搭載されています。国名や都市名などの地理情報が含まれるデータがあれば、数値を棒やバブルに置き換えて地図上に配置してくれます。「3Dマップ」で手軽に地図グラフを作成してみましょう。

 使い方は、通常のグラフとは少し異なります。シート上にグラフを作るのではなく、3Dマップの画面を表示して、ここでマップを作成します。マップをシートに置きたいときは、画面を切り取ってシートに貼り付けます。

国名や都市名などの地理情報が含まれるデータを用意し、[挿入]タブの[3Dマップ]ボタンをクリックします。Excelの画面とは別に「3Dマップ」の画面が開き、地図上にデータがプロットされます
「3Dマップ」画面の[キャプチャ画面]をクリックすると、地図がコピーされるので、Excelのシートに貼り付けます
製作協力:日本マイクロソフト