PC使いこなし塾

Microsoft Office 2016をこれから使うあなたへ【第6回】

~Excelユーザーの皆さん、テーブル&ピボットテーブルを活用していますか?

テーブルとピボットテーブルは、日常のExcelの作業を簡単にしてくれる、普段使いにぴったりの便利機能です。身近な例でとりあえず使ってみましょう

 この短期連載は「Microsoft Office 2016をこれから使うあなたへ」というタイトルですが、今回から3回にわたって、Excel 2016を日常的に使うユーザーに向けたお勧めの機能などを紹介します。

 Excelは、日常業務のいろいろな場面で欠かせません。集計表やグラフの作成にはもちろん、ちょっとしたデータの管理、例えば商品の一覧表を作るなど、人それぞれ使い方があることでしょう。今回は、「テーブル」と「ピボットテーブル」を紹介します。

 「大量のデータを操作したり、分析したりするときに使うアレでしょ。必要ないかも。」と思いがちですが、テーブル&ピボットテーブルは、実は日頃のちょっとした作業にこそ活用すべき便利機能なのです。手作業で表を作ったり、集計したりするより、作業効率は確実にアップします。

 テーブルもピボットテーブルも、たくさんの機能が含まれているので、極めていくと高度なデータ管理、分析が可能ですが、このあと紹介するのは、基本操作を含む簡単な手順です。表を作るならテーブル、集計するならピボットテーブルと、普段使いをお勧めします。

テーブルには表にまつわるあらゆる機能が備わっている

 表を作成するときには、データを入力し、必要な計算を行ない、罫線や書式を設定して見た目を整えますが、テーブルには、これらの作業をサポートする機能が全て備わっています。例えば、計算式は通常、表の下までコピーする必要がありますが、テーブルなら自動的にやってくれます。見た目に関しては、用意されているデザインを適用するだけです。罫線の設定なんて必要ありません。

 このように、表の作成を手助けしてくれるのがテーブルです。おまけに、データの並べ替えや抽出もすぐにできるのですから、使わない手はありません。さっそく、縦横の合計を求める表をテーブルで作ってみましょう。

ちょっとした表をテーブルで見栄えよく簡単に作る

表の先頭行と左端に項目が並び、縦横の合計を計算する、このようなよく見る集計表もテーブル機能を使えば、簡単に見栄えよく仕上げることができます

 テーブルを利用するために必要なのは、セル範囲をテーブルとして設定する操作だけです。この設定は、データを入力する前でも全部入力した後でもできますが、お勧めは先頭行の項目とそれに対するデータを2~3行入力したタイミング。表の体裁がだいたい決まったところで設定します。そのあとデータを追加すると、テーブルの範囲は勝手に拡がります。

 これだけでもテーブルを使うことはできますが、見栄えのいい表に仕上げるなら、さらに次のことを行ないます。

  • 一番下に集計行を追加する。
  • デザインを変更する。
表の先頭行の項目、実際のデータを2~3行入力したあと、[挿入]タブの[テーブル]を選択し、テーブルに変換する範囲を指定します。これでテーブルとしての基本設定は完了です
データを入力したら、[デザイン]タブの[集計行]にチェックを入れてみましょう。一番下に集計行が追加されます。集計行の計算は、セルをクリックすると現れる[▼]から、合計、平均などを選ぶことができます

 集計行はチェックを外せば簡単に消せます。必要に応じて表示/非表示を切り替えてください。

表の罫線や色は、[デザイン]タブの「テーブルスタイル」から選ぶことができます。ここに表示されるデザインは、「テーブルスタイルのオプション」の[見出し行]や[最初の列]、[縞模様]などのチェックの有無により異なります。チェックを付けたり外したりして確認してみましょう

 どうでしょう。煩わしい数式のコピーや罫線、色などの設定は一切なしで、見栄えのいい表のできあがりです。これで決まりなら、テーブルは[デザイン]タブの[範囲に変換]をクリックして解除することも可能です。

 表の作成をちょっと手助けしてもらうぐらいの感覚で、手軽に使ってみてください。

ピボットテーブルならあっという間にいろいろな集計ができる

 ピボットテーブルは、今あるデータからいろいろな集計表を作成する機能です。例えば、日々の売上金額を入力した表があったとします。このデータをもとに商品別、月別にまとめた集計表を作りたいと考えたとき、ピボットテーブルなら、全ての商品名が自動検出され、日付は月ごとに自動的にまとめてくれるので、あとは集計表のレイアウトを考えるだけです。商品名と月のクロス集計表もあっという間に仕上がります。

日々の売上金額をいろいろな条件で集計したいとき、ピボットテーブルならあっという間です。日付や商品名ごとに簡単に集計表を作成することができます

 こんなに便利なピボットテーブルですが、使うのはなにも大掛かりなデータ集計だけではありません。日常的に使う表でもピボットテーブルの利用価値はあります。数値が含まれる表なら、とりあえずピボットテーブルで集計してみましょう。おもしろい結果が得られるかもしれません。

ピボットテーブルは身近な表を使ってとりあえず操作してみるべし

 ピボットテーブルの操作は、Excelのシートに自分で表を作るのとは勝手が違うため、最初は戸惑います。しかし、ピボットテーブルのいいところは、元のデータとは別に新たに集計表が作られる点です。失敗しても元のデータが壊れることは決してありません。とりあえず、普段使っているデータからピボットテーブルを作ってみましょう。

サンプルの図は、社員情報を元にピボットテーブルで部署別の平均年齢を求めたものです。このような単純でイメージしやすいデータを使って試すのがお勧めです

社員情報から部署別の平均年齢を出してみる

 ピボットテーブルを作成する手順は、(1)データ範囲の指定、(2)集計表の項目の指定、(3)集計するデータの指定。これだけで集計表ができます。あとは、計算方法を変えたり、デザインを変えたりして見た目を整えます。いろいろな集計表を作るなら、(2)の項目の指定を変えてみましょう。この操作はマウスのドラッグで簡単にでき、結果もすぐに見ることができるので、いろいろ試すことができます。

最初に行なうのは、元データの範囲とピボットテーブルを作る場所の設定です。[挿入]タブの[ピボットテーブル]をクリックすると、「ピボットテーブルの作成」ダイアログボックスが現れるので、「テーブル範囲」と「場所」を指定します。
次の手順は、集計表の項目の指定です。画面右に元データの項目名が表示されるので、項目名をドラッグしてピボットテーブルのレイアウトを決めます。ここでは、「所属」を「行」に、「年齢」を「値」にドラッグします。ここで「所属」を「列」に移動してみたり、「所属」のチェックを外してみたりすると、いろいろな集計表ができることが分かります
集計表ができましたが、「年齢」が合計されているので平均に変更します。表示されている年齢の合計値をクリックし、[分析]タブの[フィールドの設定]をクリックすると「値フィールドの設定」ダイアログボックスが表示されます。ここで「平均」を選びます
部署別平均年齢を求める表ができました。サンプルでは「営業部の平均年齢が突出して高い」ことがわかります

 社員情報を追加する場合は、元のデータをテーブルにして入力するのが簡単です。データを追加入力したあと、ピボットテーブルの[分析]タブにある[更新]をクリックすると、新しいデータも含めて再計算されます。

 このように、とりあえずデータの集まりがあったら、ピボットテーブルを試してみましょう。ただ数値が並んでいるだけの表では気付かなかったことが、集計することで見えてくるかもしれません。

Excel 2016新機能紹介

 Excel 2016では、ほかのユーザーとのデータの共有がより簡単になりました。ブックをOneDriveに保存しておけば、画面右上にある[共有]から、ほかのユーザー宛てに招待メールを送ることができます。共有するための作業がExcelの画面内でスムーズに完結します。操作の詳細はできるネットの記事(Excelで共同作業を始めよう!OneDriveを使った共有と編集権限の設定方法)を参照してください。

共有したいデータが完成したところで[共有]をクリックします。OneDriveに保存していない場合は、ここで[クラウドに保存]をクリックして保存します
共有が可能になると、ほかのユーザーを招待する画面になります。「ユーザーの招待」にメールアドレス、メールに添えるメッセージを入力します。あとは[共有]をクリックするだけ。これで相手に共有先のリンク情報が送られます

(尾崎 裕子)