西川和久の不定期コラム
2015年を振り返る
~Windows 10真っ盛り! Windows 10 Mobileに期待
(2015/12/30 00:00)
Windows 10真っ盛り!
今年、OSに関しては、Windows 10、OS X El Capitan、iOS 9、Android 6.0……いろいろリリースされたが、やはり一番はWindows 10。Windows 7とWindows 8.xのいいところ取りで、加えてパフォーマンスのチューニングも入り、過去最強のWindowsとなった。本コラムで掲載した製品も8月を境に、Windows 8から10へ一斉に切り替わっている。
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またInsider Previewによって、新機能などを先取りできるのも(テストリリースという不安もあるが)魅力的。従来とは違い、新しい機能が早いタイミングで投入され、Windows 10のまま、どんどん良くなって行くだろう。
個人的に一番気に入っている機能は、ストアアプリがウィンドウ表示可能になったことだろうか。従来のデスクトップアプリと違和感なく同一画面に並べることができる。また昔からソフトウェア的にはあったが「仮想デスクトップ」が標準搭載になったのも嬉しいポイントだ。
復活したスタートメニューに関しては、よく使うアプリなどは、タスクバーかデスクトップにショートカットを置いているため、日頃ほとんどアクセスすることが無く、あまりWindows 10の目玉とは思っていない。
余談になるが、既に無かったものになっているSurface 2/Windows RTも最後のアップデート、Update 3でスタートメニュー的なものが加えられた。ただストアアプリはウィンドウ表示できず全画面(または分割)のまま、もちろんUWPアプリは作動せず……と残念な結果に。
とは言え、サイト制作の打ち合わせや(主にIEを使用)、sshを使った出先のサーバーメンテナンスなど、外出時のお供としては今でも現役だ。Atomを搭載したSurface 3に関しては、やることに対する価格が見合わず、購入には至っていない。
OS X El Capitanは、見た目は旧バージョンとほとんど変わらないが、システム的には大きな変更が行なわれている。「System Integrity Protection(SIP)」と呼ばれるものだ。これは、/System、/usr、/bin、/sbinなどをroot権限でも書き換え不能(/usr/localは可能)にしたもので、セキュリティ上かなり効果的。例えばWindowsで、\Windowsや\Windows\Systemが管理者権限でも書き換えできない……と言えば分かりやすいだろうか。
もちろんそうなるとある意味パニックで、特に従来のシステム系ソフトウェアのインストールが壊滅状態になるものの、事前にWWDC 2015で説明されていたこともあり、今はほとんど対応は終わっているようだ。SIPを解除する方法もあるにはあるが、個人的にはお勧めしない。
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ハードウェア的にはIntelのプロセッサが1世代進み、Skylakeとなった。いろいろなマシンを評価したが、バッテリ駆動時間が伸びたことが印象的だ。バッテリ駆動時間はBBenchを使用しているが、6時間前後は当たり前で、下手すれば12時間近く動作するマシンも少なくない。原稿は書けているのにBBenchが終わらず入稿できないことが何度かあった(笑)。
もう1つは、内蔵のIntel HD Graphicsがパワーアップしたこと。これまでプロセッサやメモリ、ストレージはSSDとすれば、それなりのパワーがあったが、内蔵グラフィックスだけは、どうもバランスが悪く(もちろん普通に使うには十分だが)、後一歩感が。しかしSkylakeになってから、外付けGPUほどではないにしても、ほどほどのバランスとなり、グラフィックスワークステーションやゲーミング用途以外では十分なパフォーマンスとなった。
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衝撃的だったのは、NVMeに対応するM.2 SSDの転送速度だ。ちょうど搭載したマシン「Endeavor Pro5700」で、CrystalDiskMarkの値を見た時(シーケンシャル/Q32T1 リードが2,215MB/sec、同ライト1,243MB/sec)にはかなり驚いた! 1カ月ほど前に普通のM.2 SSDでニューマシンを組んだばかりだったのでショックも大きかったが……。
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以上が2015年掲載した記事からピックアップしたものとなる。OS的にもハードウェア的にも次ステップへ進んだ1年と言えよう。
iOS 9やAndroid 6.0は、それぞれiPhone 6 PlusとNexus 7(2013)で使っているものの、既にOSとしては熟成の域なのか、あまり感動しなかった。
個人的な“ベストデバイス・オブ・ザ・イヤー”は今年は該当なし。「Surface Pro 4」や「Surface 3」は魅力的だが(Surface Bookも)、個人的には高過ぎる印象。Appleに関しては徐々に魅力が薄れている感じか。また記事で試用した中では日本HPのものが全般的に印象が良かった。
Windows 10 Mobile登場
Windows 10から少し遅れてTH2(Build 10586)のタイミングでWindows 10 Mobileがリリースされた。現在国内で購入可能なモデルは、「ヤマダ電機 EveryPhone」、「マウスコンピューター MADOSMA Q501A-WH/BK」、「Diginnos Mobile DG-W10M」、「FREETEL KATANA01」。そして年明けに「KATANA02」と「トリニティ NuAns NEO」が待っている。
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搭載しているSoCはSnapdragon 210/410/617。SoCやパネル、メモリ容量などで価格が違い、12,800~39,800円(税別/ただしトリニティNuAns NEOはコアと呼ばれるボディだけの価格で、外装のカバーが別途必要)。結構購入しやすいレンジにある。
この中で実際長時間触ったのは、もともとWindows Phone 8.1ベースだったMADOSMAをWindows 10 Mobileへアップグレードしたものと、FREETELのKATANA01。KATANA01はSnapdragon 210/1GBということもあり、遅めであるが、1万円ちょっとの価格なので、お試し用としては手軽。2枚扱えるMicro SIMがどちらもLTE対応で、LTEルーターとして使うのも面白い。MADOSMAはSnapdragon 410/1GBなので普通だ。
ヤマダ電機 EveryPhoneは店頭で短時間触ったが、Snapdragon 410でメモリ2GBが効いているのか、MADOSMAよりスムーズに動く。
気になるWindows 10 Mobileで使えるアプリは、Windows Phone 8.1用アプリとWindows 10のUWPアプリの2種類。いずれにしても(使い物になる)アプリの数は少なく、更に前者の方が圧倒的に多い。
またFacebook、Twitter、LINEなど、主要アプリはあるにはあるが、iOS版やAndroid版と比較すると、アプリの完成度もまだまだ。世界的にみるとシェア数%もないので、各社力が入っていないのは仕方ないところ。デスクトップ版Windows 10のUWPがらみで対応アプリが増えることを期待したい。
個人的に早く触ってみたいのはトリニティのNuAns NEOだ。SoCにSnapdragon 617を搭載し、Continuumが使える(予定)からだ。Windows 10 MobileのContinuumは、ディスプレイ、マウス、キーボードを接続することによって、Windows 10のデスクトップに似た環境となり、UWPアプリがデスクトップ版のUIで使用できる。ウィンドウ表示に対応していないのは残念だが(時間の問題だとは思う)、この意味は非常に大きく、場合によってはモバイルOSのシェアをひっくり返すことができる唯一の可能性だ。
これは言うまでもなく、デスクトップ環境がスマートフォンで使えるとなると、多くのケース(ネットやOffice、動画や写真の表示など)でPCが不要になる。いろいろな人と話をしていると、初期段階では個人向けより、Windows 10との親和性やセキュリティ面で、ビジネス向け中心を狙っているようだ。
現在、Continuumが使用可能なのはミドルレンジ以降(Snapdragon 617/808/810など)の比較的高価なスマートフォンだが、後2年もすれば、今のハイエンドのスペックががローエンドのスペックとなり、Windows 10 Mobileを搭載した全てのスマートフォンで利用可能となる。UWPアプリも大量に揃っているハズだ。そうなったら十分勝ち目はある。
問題は、それまでMicrosoftはもちろん、各メーカーが耐えられるか……。当然Androidも同じようなソリューションを出してくる可能性もある(AppleはOS XがあるのでiOSのデスクトップ対応は当面しない?)。
既に端末投入を発表だけしているVAIOはもちろん、来年はおそらく、HPやLenovoなどPCメーカーからも出てくることが予想され、Continuum対応機が増えることを期待したい。もしかしたら「2016年まとめ」記事はContinuum上で執筆しているかも!?(笑)。
今年購入したものいろいろ
今年は結構いろいろなものを購入した。特に記事でもご紹介したように、Braswellなデスクトップと、Skylakeなデスクトップの2台。これまで手持はSandy Bridge世代までのPCしかなく「さすがにまずいだろ……」ということからの追加だ。ここで「買い替え」ではなく「追加」としたのは、古いマシンもまだ使っているからだ。
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ASRock「N3150B-ITX」
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交換したSSDの種類は細かくなるので挙げないが、やっと全てのマシンをSSD搭載にした結果、意外と古いマシン(ただしメモリ4GB以上ある場合)、例えば「ThinkPad X201i」でも普通に使える。もちろんOSは全てWindows 10にアップグレード済。Windows 7や8.xのマシンは1台も残って無い(Windows RTのSurface 2を除く)。
OS自体のメモリ効率や性能が、Windows 7/8.x/10とおおむね順に良くなっており、同じハードウェアならWindows 10の方がより動作が軽くなる。従って少し古いマシンでもSSDにさえすれば、それなりに使えるようになってしまうだ。半端に使えるものだから廃棄もできず……。
ただ、BraswellなCeleronを搭載したASRock「N3150B-ITX」は、もう少しだけパワーが欲しかったこともあり、後日発売となった、BraswellなPentium N3700(4core、1.6~2.4GHz)搭載のASRock「N3700-ITX」に買い替えている。メモリも4GB×2の8GBへ。ASRock「N3150B-ITX」はパッケージに入ったまま未使用となった。
製品情報
ASRock「N3700-ITX」
http://www.asrock.com/mb/Intel/N3700-ITX/
実のところ現在、ほとんどの仕事(原稿、プログラミング、Office、ネット関連、これらに伴う画像編集)は、Photoshopも含めこのマシンを使っており、Skylakeなデスクトップは使っていない。
主な理由は消費電力だったりする。言うまでもなく、Braswellの方が圧倒的に省エネだ。確かにSkylakeは快適だが、先に挙げた処理をしている程度では、人間が考えている時間の方が長く、マシンの処理速度はほとんど思考の妨げにならない。であればほぼ24時間つけっ放しなので、省電力を優先した。おそらく「Surface 3」が搭載しているAtom x7-Z8700でも、メモリさえあれば同じだろう。
ローエンドのプロセッサで普通に仕事ができるようになった事が、2015年一番のトピックスかも知れない。
次は毎年恒例のスマートフォンだ。去年SIMロックフリー版の「iPhone 6 Plus」を購入しているので、今年はiPhone 6s Plusは見送り。確かに少し速いし、iOS 9の「3D Touch」も便利だが、買い替えるまでの理由にはならなかった。
「今年スマートフォンはもういいかな!?」と思っていた6月、何とマウスコンピューターからWindows Phone 8.1搭載の「MADOSMA」が発表され、以前からWindows Phoneに興味のあった筆者は、レビュー後、購入。
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~4年振りに国内で復活したWindows Phone!
既にOSがWindows 10 Mobileに切り替わっているので、国内最初で最後のWindows Phone 8.1搭載機となった。使用感などはレビューを参考にしてほしいが、使いたいアプリさえあれば普通に使えるデバイスだ。
前半に書いたように、2016年は、年初からWindows 10 Mobile搭載スマートフォンが続々登場すると思われ、非常に楽しみにしている。
さてここから先は趣味の世界。10年ほど前にDACやアンプなどを散々自作して、ずっと使っているが、今年久々にメーカー製の機器を購入した。「ソニー MDR-CD900ST」と「CHORD Mojo」だ。MDR-CD900STに関しては説明の必要もない名機。大昔に使っていたものの、さすがに傷んで駄目になったので買い直した。
製品情報
CHORD Mojo
http://www.aiuto-jp.co.jp/products/product_1701.php
ソニー MDR-CD900ST
http://www.smci.jp/mob/pageShw.php?site=headp&cd=cd900st
「CHORD Mojo」は、写真の通り手のひらサイズでコンパクトなポータブルアンプ(ポタアン)。発売日に購入した。
筆者はもともとずっと個室で仕事=自由にスピーカーで音が聴ける、そして移動距離も短く、イヤフォンやヘッドフォンの必要性を全く感じていなかった。ただ最近ライブのDVD/BDなどを大音量で聴きたいことがしばしばあり、いくらスピーカーで自由に聴けると言っても住宅事情で音量には限度がある。
ならばヘッドフォンの登場となるが、考えてみればアンプは自作、先に書いたようにヘッドフォンの必要性がなかったこともあり、ヘッドフォンアンプは内蔵していない。しかもMDR-CD900STはそれなりのドライブ能力が必要……と、ちょっと困った状態になっていた。「また自作するかな!?」と思っていたところに「CHORD Mojo」が発表された。
CHORDと言えば軽く100万円オーバーのDACなどをラインナップしているある種憧れのメーカーなのだが、そのメーカーが作ったポタアンが、何と6万円台。1回試聴して即買いとなった。主な仕様は、ハイレゾ対応(PCM最大768kHz/32bit、DSD 11.2MHz)、USB/光/COAXの3入力、ヘッドフォン出力×2、USB充電、バッテリ駆動(約8時間)。
最大の特徴は、汎用DACチップを使わず、CHORDならではの「FPGA使った独自アルゴリズムによるD/A変換」、出力レベル35mW(@600Ω)/720mW(@8Ω)で出力インピーダンス 0.075Ωの高いドライブ能力。サンプリングレートやボリュームで変わるLEDも綺麗だ。
余談になるが、8Ωで0.72Wあれば能率の良いスピーカーなら鳴るのではと思い、先日JBL LE-8T(20cmフルレンジ/89dB)を引っ張り出し接続したところ、BGMレベルなら十分耐えられる音量となった(笑)。
現在主に仕事環境とAV環境で使用しているが、バッテリ駆動で移動が楽&電源の確保不要、接続は光デジタルケーブルを差し替えるだけと、気楽に扱うことができ、サウンドもパワーも抜群。今年一番お気に入りの逸品だ。
以上、2015年に掲載した記事と、個人的に購入したものの含め、印象に残った事柄を順にピックアップしてみた。
書きながら思ったのは、OSもハードウェアも例年以上に進歩があったのにも関わらず、マシン自体の印象は薄いこと。自作マシンを触っていた時は楽しかったので、ハードウェアに興味がなくなったわけではない。タッチや2in1など当たり前になってしまい個性的なマシンがなかったためだろうか。
そう言った意味では、Surface Bookを発表した時、2度目のビデオで2in1だったことが分かるPVは衝撃的だった(価格も)。2016年はガツンと来る個性的なマシンの登場を期待したい。