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PCの10Gbps化は意外とお手軽だった!Type-Cアダプタで実現する高速ネット環境
~どこでも使えるQNAPの10Gbpsアダプタを試してみた
- 提供:
- QNAP
2025年2月27日 06:30
ネット接続が当たり前のこの時代、通信速度が普段のPC作業の快適さに直結する。 Wi-Fi 6やWi-Fi 7のようなワイヤレスネットワークも高速だけれど、動画など大容量ファイルの受け渡し、Web会議、オンラインゲームといった用途で求められる高速性と安定性の両立という面では、有線ネットワークが格段に有利でおすすめだ 。
現在、一般の家庭やオフィスに現実的に導入しやすい有線ネットワークの最高速は10Gbps(10GBASE-T)。なので、今使っているPCのLANポートが1Gbpsや2.5Gbpsであるなら、できればこの際10Gbpsへと一気にアップグレードしたいところ。とはいえ、「10Gbps化のためだけにPC買い換えなどの大きな投資はしたくない……」と思うかもしれない。
ところが、実は数万円程度の出費で10Gbps化する手段がある。それが、QNAPから登場した新しい10Gigabit Ethernet(10GbE)対応ネットワークアダプタを利用する方法だ。 今回はネットの10Gbps化を容易に実現するこのアダプタとともに、実際のところどれだけ高速化してPC作業が快適になるのか、紹介したい 。
USB4/Thunderbolt 4ポートを有効活用できる10Gbpsアダプタ
QNAPから新しく発売されたのは、最大10Gbpsの通信を可能にするネットワークアダプタ「QNA-UC10G1T」だ。SFP+版の「QNA-UC10G1SF」も用意されている。Thunderbolt 3対応だった前モデルの後継に当たるもので、新機種ではコネクタがType-C形状のUSB4とThunderbolt 3/4に対応し、それらのインターフェイスを持つPCに接続して利用できる。
USB4やThunderbolt 4は、ここ数年内に発売されたPCのスタンダードな装備と言える。実際に外部モニター出力やドッキングステーションなどで活用している人もいるだろう。ただ、まだそのスペックをイマイチ使い切れていない、という人も少なくないはず。
ポートの有効活用という意味でも、そこへ10Gbpsアダプタを追加するのはいいアイデアだ。お手頃な価格でネットワーク速度が10倍になるのであれば、コストパフォーマンスはかなり高い。
デスクトップPCならPCIeスロットに装着する10GbE対応NICも選べるが、USB Type-Cケーブル1本で接続するアダプタなら脱着が容易で、持ち運びでき、ノートPCとの共用が可能なのもメリットだ。
Wi-Fi 7の登場で数Gbpsのワイヤレス通信も可能になったとはいえ、冒頭で触れたように安定性は有線接続に軍配が上がる。USB Type-C接続するだけで10Gbps化できるネットワークアダプタは楽でおトクなのだ 。
エントリーモデルも対応するQNAPの10Gbpsソリューション
もちろん、ネットワークアダプタだけ10Gbpsにしてもその本領は発揮できない。接続先となるネットワークスイッチなどのLAN機器も10Gbpsに対応させる必要があるし、できることならインターネット回線も10Gbps化したいだろう。
その意味においては、ネットワークアダプタ以外にも10Gbps対応製品を多数ラインアップしているQNAPのアイテムを導入するのが、10Gbpsネットワークをフル活用する近道と言える。中でもまず注目したい製品が、5ポートすべて10Gbps対応のネットワークスイッチ「QSW-3205-5T」だ。
10Gbps化すると言っても、既存のネットワーク全体を10Gbps化するのは合理的とは言えない場合もある。10Gbpsの広帯域が生きるのは、特に大容量データを扱うことになるデバイス周辺で、そこだけを10Gbps化すればコストを抑えながら実速度を高められるからだ。PCやNASなど、数台の10Gbps対応デバイスを使用する環境なら5ポートもあれば十分だろう。
そして、QNAPと言えばNASも外せない。ホームユースやクリエイターに適したコンパクトなモデルから、中小~大企業向けの大型製品まで取り揃えており、10Gbps対応製品も幅広く展開している。エントリーモデルから10Gbpsに対応できる製品があり、個人レベルでも10Gbpsネットワークの恩恵を受けられる環境を整えやすい。
10Gbps対応のインターネット回線については、取り扱っているプロバイダや通信事業者、対応地域が拡大してきているところだ。自分の住む地域が10Gbps回線を引ける状況かどうか、今一度確認してみてほしい。
大容量動画ファイルを想定して実速度を検証
10Gbpsネットワークが最大限に生きる用途としては、たとえば大容量の動画ファイルを頻繁に扱うような用途、業種で言えば映像クリエイターの方々などが分かりやすいだろう 。そこで、今回「快適さ」を検証するにあたってはそうしたユーザーを想定し、オールフラッシュNASの新製品「TS-h1277AFX」をテスト用機材として用意した。
TS-h1277AFXは、2.5インチSATA SSDの搭載を前提にした12ベイモデル。10GbEポートを標準で2つ、その上で2.5GbEポートも2つ装備している。Ryzen 7 9000シリーズ(8コア/16スレッド、最大5.5GHz)という最新デスクトップPCにも匹敵するCPUを搭載し、大容量データの処理を高速かつ安定してこなせるポテンシャルを持つ。今回は6台のSATA SSDを搭載し、RAID 5で構成した。
また、10Gbpsネットワークの本来の品質を損なわないようにするにはPC性能も大事。そのためテスト用のPCにはマウスコンピューターのゲーミングノート「G TUNE E5-I9G70BK-A」を使用した。Core i9-14900HX(24コア/32スレッド、最大5.8GHz)、GeForce RTX 4070 Laptop GPU、メモリ32GBというスペックだ。
内蔵LANポートは1GbEだが、背面にThunderbolt 4ポートが設けられており、ここに「QNA-UC10G1T」を接続することで10Gbps化できる。
というわけで、これらの機材を使用して、どれほどの快適さが得られるのかチェックしてみた。ネットワーク構成は以下。各テストで1GbE(内蔵LAN)と2.5GbE(USB LANアダプタ使用)での速度も計測し、10GbEと比較している。
10Gbps環境
まずは小手調べということで、インターネット回線の速度を確かめてみた。回線の混雑状況に左右されるのであくまでも参考値だが、 1Gbps環境ではほぼスペック上限の930Mbpsで頭打ちとなっている中、10Gbps環境では上り・下りともその約7倍となる6Gbps前後に達している 。USB LANアダプタ使用の2.5Gbps環境と比べても3倍で、この速さはファイルダウンロードなどで実感できるだろう。
続いてはLAN内のスピードだ。iperf3を使用し、NASとノートPC間のデータ転送速度を計測した。結果はご覧の通り、 1Gbps環境のちょうど10倍となる約9.5Gbpsという理論値に限りなく近い速度を実現している 。
2.5Gbps環境
2.5Gbps環境を想定したケースも見ていこう。ここではNASの2.5GbEポートに対し、10GbpsのLANアダプタで接続した場合と、2.5GbpsのUSB LANアダプタで接続した場合の2パターンで計測している。前者は2.5Gbps環境のパフォーマンスをフルに生かしているが、後者はLANアダプタ自体の性能によるものか、インターネット通信と同様の約1.7Gbpsと控え目な数字になった。
つまり2.5GbE対応のUSB LANアダプタでは、場合によっては最大限実速度が発揮できない可能性があるということ。たとえ現在のネットワーク環境が2.5Gbpsであっても、PC側だけでも10Gbps対応のLANアダプタにする意義はあるのだ。
動画のファイル転送と編集で快適さはどれだけ実感できるのか
さて、10Gbpsにすることで通信速度が順当に高速化することは分かったが、それが日常のPC作業でどれだけ体感できるのか、というのも気になる部分だろう。そこで、約10GBの動画ファイルを各デバイス間でコピーするときの時間を測ってみた。
コピーする方向やデバイスによって若干の違いはあるものの、総じて、 10Gbps環境は1Gbps環境の10分の1の時間で処理を終えられることが分かる 。「ローカルPC内で作業するのと大差ないのでは」と感じられるほどで、これに慣れてしまうと、反対に1Gbps環境や2.5Gbps環境に戻したときには待ち時間がかなりのストレスだ。
動画編集の際には、素材となる動画データや完成した動画作品をほかの人とやり取りすることも少なくないだろう。ネットワーク経由で10GBを超えるファイルを頻繁に扱うこともめずらしくないと思われ、それが積み重なればこうした速度の差が如実に影響することは想像に難くない。
加えて、 グラフを見ると「PC~NAS間」と「PC~PC間(PCのストレージは互いにNVMe SSD)」とで時間差がほとんどないのもポイントだ 。NASに搭載したストレージがボトルネックにはなっておらず、10Gbpsのネットワークパフォーマンスをしっかり生かしきっている。映像制作に携わるクリエイター(スタジオ)にとって、TS-h1277AFXと10Gbpsネットワークの組み合わせは最適と言えそうだ。
今回のように10Gbpsの帯域と十分に高速なNASがあれば、NASに保管しているデータを直接扱って動画編集するのも実用の範囲内だ。ローカルPC上で作業するのとほとんど変わりなく高速なレスポンスが得られる。
ストレージ容量やデータ管理の効率もあわせて考えると、むしろローカルではなくNAS上のデータを直接編集するスタイルの方が好都合ではないだろうか。
ちなみに、リソースモニターで監視していたところでは、複数の4K素材を扱うプロジェクトであっても編集作業中に発生する通信が1Gbpsを超えることはなかった(DaVinci Resolve使用時、プロキシやキャッシュなどもNASに置いた状態)。
もちろん素材の画質などにもよってくるが、編集作業だけであれば1Gbps環境でも理論上は間に合う可能性はある。ただ、これはあくまでもNASとPCが1対1で通信しているだけの状態だ。LAN経由のデータコピーを同時に行なうこともあるだろうし、クラウドストレージにアクセスすることもあるだろう。
時には動画の編集作業を続けながら脇でWeb会議したり、複数人からなるチームで作業したりすることもあるかもしれない。そうしたマルチタスクな現場を想定すると1Gbpsの帯域では到底足りないわけで、常に安定した高速通信を実現するならやはり10Gbps環境が不可欠なのだ。
お手頃価格で本当に10倍速を実現する強力アイテム
今回は主に10Gbpsの速度を生かしやすいLANでの検証をメインにしたが、QNAPのNASにはクラウド経由で簡単にファイルを共有できるようにする仕組みもあり、テレワークしている社員や協力会社など外部と大容量データをやり取りするときにも10Gbpsネットワークは生きてくる。
NASについてはHDDではなくSSDを利用するということで、寿命が気になる人もいるかもしれない。その点については、「QSALアルゴリズム」と呼ばれるQNAP独自のSSD管理技術によって、RAID構成したSSDの状況を随時把握し、書き込みを制御している 。
一般的なNASでよくある「複数台のドライブが同時に寿命を迎えて復旧不能になる」ことを避け、交換に必要な時間を十分に確保してくれるため、ここも安心して運用できるポイントと言えるだろう。
10Gbpsを生かせるNASなどのネットワーク機器の導入が前提とはなってしまうものの、PCを買い換えることなく、単純に追加するだけで圧倒的な快適さを手に入れられる「QNA-UC10G1T」。お手頃価格ながらも強力なこのアイテムが、日常業務の生産性向上に貢献してくれることは間違いない。