トピック

最新モデルがいきなり安い!32GBメモリ+1TB SSDのコスパ最強マシンを見つけた

~いまイチオシのAcer「Swift 14 AI」

 続々と登場する話題のCore Ultraシリーズ2搭載ノートPC。ゲームやクリエイティブワーク用途もこなせる高速なCPUとGPUに、AI性能を底上げするNPUを組み合わせ、高いワットパフォーマンスでも注目を集めている。

 しかしながら、最新CPUとなるとどのモデルも“相応の値段”で、購入になかなか踏み切れないことも確か。高性能なCPUに合わせてメモリやSSDの容量もできるだけ大きくしたい、となれば、なおさら手が届きにくくなってしまう。

 と思っていたところへ颯爽と現れたのが、Acerの14型モバイルノート「Swift 14 AI」だ。 Core Ultraシリーズ2ならではの高速&スタミナ動作を実現しつつ、大容量のメモリとSSDを標準搭載。なのに、Amazon専売モデルの価格は24万9,800円前後。ほぼ同仕様の他社製品の多くが30万円近いことを考えれば、かなりリーズナブルである。 ほかにはないユニークなギミックも備えたこのSwift 14 AIを、早速レビューしていこう。

この価格でメモリ32GB、ストレージは1TB!

ちょうどよい14型サイズ
14型モバイルノートは人気のサイズ

 Swift 14 AIが搭載するCPUは、Intelの最新チップであるCore Ultraシリーズ2。その中でもハイパフォーマンスなCore Ultra 7 258Vを採用しており、GPUとしてIntel Arc Graphics 140VをCPUに内蔵する。

Core Ultraシリーズ2搭載
Core Ultra 7 258Vを搭載。内蔵GPUはIntel Arc Graphics 140V

 Core Ultraシリーズ2におけるポイントの1つは、省電力性だ。前世代より高いパフォーマンスを発揮しながら消費電力を低く抑え、いわゆるワットパフォーマンスを大幅に向上させているのが特徴となっている。要するに、これまでと同じ使い方、同じバッテリ容量であっても、より高速かつ長時間の動作が可能になる。

 さらにはNPUも内蔵することで、高度なAI処理も効率よくこなせる。従来はCPUやGPUが担っていた画像や音声にまつわるAI処理などをNPUが肩代わりすることも可能だ。AI性能の指標となるTOPS値はNPU単体で47TOPSとしており、Microsoftが推進するCopilot+ PCとしての要件も満たしているため、将来性の面でも有利と言える。

AI処理に最適なNPUを搭載
高効率なAI処理を可能にするNPUを搭載する

  そんなCore Ultra 7 258Vを搭載するSwift 14 AIの特筆すべきところは、この価格帯で32GBのメモリと1TBのSSDを備えていること。 最低でも16GB、できれば32GB欲しいと言われる今の時代にしっかり合わせてきているのはありがたい。SSDについても、256GBスタートとなる製品がいまだ少なくない中、最初から1TBというのはAcerの本気を感じさせる部分だ。

 複数のアプリケーションをストレスなく動作させるには大容量メモリが必須だし、肥大化し続けているアプリケーションや仕事データを保管するストレージも余裕を見ておかないと不安だ。

 メモリ・SSD容量は、ノートPCをどれだけ長く使い続けられるか、という点にも大きく関わってくるので、製品選びにおいては最も重視しておきたいところだ。

Swift 14 AI(Amazon専売モデル)のスペック
OSWindows 11 Home
CPUCore Ultra 7 258V
(8コア8スレッド、最大4.8GHz、Processor Base Power 17W)
GPUIntel Arc Graphics 140V(CPU内蔵)
メモリ32GB (LPDDR5X)
ストレージ1TB (PCIe 4.0 x4、NVMe M.2 SSD)
ディスプレイ14型有機EL(1,920×1,200ドット、60Hz)
インターフェースUSB4 2基、USB 3.2 Gen1 2基、HDMI出力、オーディオ端子
通信機能Wi-Fi 6E※、Bluetooth 5準拠
カメラ1440p
サウンドステレオスピーカー
セキュリティ顔認証+指紋認証
(いずれもWindows Hello対応)
同梱品ACアダプタ (最大65W)
重量約1.26kg
カラースチームブルー

※Windows UpdateによるBIOS/ドライバアップデートでWi-Fi 7に対応予定

バッテリはベンチで20時間以上、実利用でも13時間超え

 Swift 14 AIは、省電力で長時間動作が可能なCore Ultraシリーズ2を搭載しているが、実際のところ本当にバッテリが長持ちしてくれるものなのだろうか。まずはベンチマークソフト「PCMark 10」に含まれるバッテリテスト「Modern Office」を実行してみた。

 結果、Acerの専用ユーティリティで動作モードを性能重視の「パフォーマンス」に設定していたにも関わらず、 なんとスペックシート値を上回る20時間超となった(画面輝度は50%固定)。実質ビジネスアワー2.5日分ということになる。

驚異の20時間超え!
「PCMark 10」のバッテリテスト「Modern Office」の実行結果

 とはいえこれも一定の動作を繰り返すだけなので、実使用時とは違ってくるところがあるだろう。そこで、今度は筆者がこの記事の執筆やExcelシートの編集、動画再生など、普段と同じような作業(趣味)にSwift 14 AIを使ってどれくらいもつかを検証してみた。

実際の作業でのバッテリ消費量は?
実使用時のバッテリ稼働時間を検証してみる

 動作モードは「通常」、画面輝度はベンチマーク時と同じ50%とし、外付けワイヤレスマウスと一緒に使用した。一時的に外付けストレージや外部ディスプレイなども接続している。

  初日の午前10時半過ぎからスタートして、2日目の14時半ちょうどにバッテリ切れで電源がオフ。間に休憩を挟んだり、日をまたいだりしたので、その間スリープ状態にしていたのを除くと、トータルの稼働は13時間14分だった。

実利用でも13時間は使える!
満充電から24時間のバッテリ残量推移。2日目の14時頃に残量は6%となり、14時30分ちょうどに電源オフ

 1日8時間の業務でも、休憩や移動などもあるだろうから、その間ずっとPCに触れているとは限らない。なので、実使用時間が仮に1日6時間余りだとすれば、丸2日間は余裕で持つ、ということになる。1日12時間働き続けるハードワークな人であっても、充電なしで1日乗り切れるだろう。

 ちなみに、冷却ファンなどの動作音も抑え気味で好印象だ。通常モードでは目立ったノイズが聞こえるようなことはなく、集中して仕事ができた。パフォーマンスモードで負荷のかかるベンチマークテストを実行している間も不快な高周波ノイズは発生せず、ストレスのない使い勝手になっている。

リーズナブルな価格でも作り込みに妥協なし

 CPU性能はお墨付き、バッテリ持ちも十分以上。それなのに比較的安めということは、ほかに何か弱点があるのでは?と思うかもしれない。が、外見から中身まで、Swift 14 AIの作り込みはクラスを超えていると感じる。

高級感のある金属製ボディ
クラスを超えた作り込みを感じさせるSwift 14 AI

 メタル素材を全面的に採用したボディは、マットな手触りで、落ち着きのあるシックな紺色。約1.26kgという重量は14型ノートとしては標準的で、バッグにも収納しやすいコンパクトサイズだ。それでいてMILスペック準拠の耐久性も備える。

軽量だから持ち運びもなんのその
重量約1.26kgで持ち運びにも配慮。メタリックな筐体はどこから見ても高級感がある

 Amazon専売モデルはディスプレイが解像度1,920×1,200ドット(タッチ非対応)、リフレッシュレートは60Hzとなっている。アスペクト比16:10のディスプレイとしてはスタンダードなスペックと言える。

  パネルには有機ELを採用しており、DisplayHDR 500 TRUE BLACKに対応するとともにAdobe 100%、DCI-P3 100%の色空間をカバーする、高輝度・広色域のハイスペックなもの。クリエイティブ用途にも十分な性能だ。

有機ELなので発色がすばらしい
解像度こそスタンダードだが、HDR対応でDCI-P3の色空間を100%カバーする

 インターフェイスは最大40GbpsのUSB4を2基と、USB Type-Aポートを左右側面に1基ずつ、計2基装備。USB4はDisplayPort Alt ModeとUSB PDに対応し、このほかにHDMI出力ポートとオーディオ出力端子もある。ネットワークは最新規格のWi-Fi 6Eだが、今後のアップデートでWi-Fi 7に対応予定。そうなれば320MHzのチャネル幅に対応できるため、高速通信をいかんなく発揮できるだろう。

Type-C/Aがそれぞれ2基もある
左側面にはHDMI出力、USB Type-A、USB4 2基
右側面にUSB Type-Aとオーディオ出力端子

 内蔵Webカメラは1440p(解像度最大2,560×1,440ドット)かつHDR対応の高画質なもので、Windows Helloの顔認証に対応している。さらに電源ボタン一体型の指紋センサー(Windows Hello対応)も備え、セキュリティにも隙はない。

HDR対応の高画質カメラ
Webカメラは1440pで高画質、物理プライバシーシャッターも備える
指紋認証センサーも搭載
電源ボタン一体型の指紋センサー

見たことない!NPUの動作が分かるユニークなギミック

 以上の通り、ハードウェア面については不満を感じるところはない。では、ソフトウェア的なところはどうかというと、製品名に「AI」が入っていることもあり、昨今のトレンドに沿ってAI関連の機能が充実している。

  まず最もユニークな点が、AI処理しているかどうかが分かるインジケータを備えていること。NPUが動作しているときは、タッチパッド内にあるロゴマークのようなものが点滅する仕組みになっているのだ。

NPU使用中にさりげなく光る
NPUの稼働時はタッチパッド内のロゴが点滅する

 通常、PC作業中にNPUがどのタイミングで活用されているのかは分かりにくい。タスクマネージャーで知ることはできるとしても、常に立ち上げておくのは目障りだ。

 でもSwift 14 AIならインジケータで自然とそれに気付くことができ、CPUやGPUの負荷を軽減した高効率な動作ができていることを実感しやすい。これまでのノートPCにはなかった機能で、見た目にも楽しくなる。

 NPUを活用する一般のアプリケーションはまだ多くはないが、徐々に増えつつあるところ。最も身近なものとしては、Webカメラの映像をリアルタイムで加工する「Windowsスタジオエフェクト」だ。背景をぼかしたり、視線をカメラに向いているように見せたり、人物が画角に収まるように追いかけたり、といった機能をNPUが支援する。

WindowsスタジオエフェクトでNPU活用
NPUに対応する「Windowsスタジオエフェクト」。Webカメラの映像の背景ぼかしなどを実現する

 また、2024年11月下旬以降にMicrosoftから提供される予定のアップデートを適用することで、Copilot+ PCの要件を満たすIntel NPU搭載機種においては、画像生成や音声の自動翻訳などにもNPUが活用されるようになる。もちろんSwift 14 AIもその対象だ。

最近トレンドのCopilotボタンを装備
CopilotボタンからAI機能をすばやく活用できる

 CPUやGPUよりも電力消費が少ないとされるNPUの利用範囲が拡大していくことで、生産性を高められるのと同時にバッテリ稼働時間の延長が期待できる。NPU搭載のSwift 14 AIは、ハードウェアを変えることなしに性能が上がっていくポテンシャルを秘めているとも言えるのだ。

NPU対応アプリは徐々に増加
オーディオ編集ソフト「Audacity」のプラグインなどもすでにNPUに対応している

画像・音声処理だけではない、AIを活用したセンシング機能

 ほかにもSwift 14 AIは、独自にAIやセンシングの技術を応用した実用機能を用意している。1つはマイクやスピーカーの音声入出力における「AIノイズ除去」の機能だ。

Web会議で役立つノイキャン機能
周囲のノイズを低減する「AIノイズ除去」機能

 内蔵のアレイマイクでは、正面の声を拾いやすくする「パーソナルミーティング」モードと、本体の周囲360度からの声を拾う「グループミーティング」モードに切り替えられ、それぞれで余計なノイズを低減して相手とのコミュニケーションをしやすくする。

 出力される音声もAIノイズ除去に対応しているので、双方のやり取りがスムーズになるだろう。しかも、このAIノイズ除去は外付けマイクや外付けスピーカーでも利用可能だ(ただしマイクモードの切り替えは不可)。

内蔵/外付けのどれでもノイキャン
内蔵マイクだけでなく外部マイク使用時もノイズ除去が可能

 もう1つはWebカメラなどのセンサーを利用したスマートな制御。たとえばPCから離れたときに画面を暗くしてロックする「自動ロック」、再びPCの前に来たら画面を点灯する「近づいて復帰」のほか、PCの前にいても画面を注視していないと判断されたときに画面を暗くする「アダプティブ調光」といった機能がある。これによってセキュリティを高めたり、さらなる省電力につなげたりすることが可能だ。

セキュリティや省電力機能もある
PCから離れると「自動ロック」する機能や、近づいたときに画面点灯する「近づいて復帰」などの機能を用意
「アダプティブ調光」をオンにすると、顔を背けたときに画面を暗くして省電力に

  これらセンシング技術の応用となる「マルチスクリーンアシスト」という機能もおもしろい。外部ディスプレイをつないでマルチモニター環境にしているときに有効にすると、頭を一方の画面に向けたときに、その画面にマウスカーソルを瞬時に移動させたり、ドラッグしようとしているウィンドウをその画面に移動させたり、といったことができるのだ。

マルチモニター時に便利にアシスト
「マルチスクリーンアシスト」の設定
顔を一方の画面に向けると、マウスカーソルやドラッグ中のウィンドウを瞬時に移動する

 マルチモニター環境では、デスクトップが広くなる代わりに、画面間の移動に手間取ってしまうこともしばしば。しかしマルチスクリーンアシストを使えば、手や指を大きく動かす代わりに頭(視線)の動きだけで狙った操作が完了してしまう。

 外付けマウスを使っているときもそうだけれど、一度に動かせる距離に限りがあるタッチパッド使用時は特にありがたみを感じる。一度体験してみると「これは手放せなくなるかも……」と思うくらい便利だ。

性能は2年前のノートPC比でも2倍超

 Core Ultraシリーズ2を搭載するSwift 14 AIの実パフォーマンスも気になるところ。性能の進化が分かりやすいように、ここでは4年前発売の第8世代Core i7-8550U(4コア8スレッド)を搭載するノートPCと、2年前発売の第12世代Core i7-1260P(12コア16スレッド)を搭載するノートPCも用意してベンチマークテストで比較してみた。

 当然ながらほとんどの項目でSwift 14 AIが勝利を収めているが、中でも差が開いたのがマルチメディアやゲームなどグラフィックが絡む処理だ。PCMark 10やProcyonの画像処理関連のテストでは、2022年のノートPCと比較して1.5~1.6倍、2020年のノートPCにいたっては2~4倍の差が付く結果となっている。

 3DMarkのような、3DCGの描画がメインのテストになってくるとさらにギャップは大きい。中には2022年のノートPC比で2倍を優に超えるパフォーマンスを叩き出している項目もある。このあたりはCore Ultraシリーズ2の内蔵GPUの高性能化が強く影響していそうだ。

 さらに、CrystalDiskMarkによる内蔵SSDの読み書き速度を見ると、シーケンシャルに関してはかなりの性能アップを果たしている。どちらかというとビジネス向けのノートPCとしては高速な部類に入るだろう。

充実装備と実用的なAI機能を持つ“買い”のモデル

 新しいSwift 14 AIは、Core Ultraシリーズ2を搭載することで圧倒的な省電力性能による長時間動作を可能にし、それにも関わらずアプリケーションのパフォーマンスは大きく高まっている。買い替え時期にある4年前、あるいは2年前のノートPCとの比較を見れば、世代差以上の価値があると言えるだろう。

 AIを活用した機能もユニークなものが多い。NPUの動作を確認できるインジケータもそうだが、ユーザーの離着席を自動判断してセキュリティ向上や省電力につなげたり、顔の向きに合わせてマウスカーソルを複数モニター間で移動するなど使い勝手を高めたりしている部分は特に実用的で、長く使い続けたいと思わせるものだった。

 冒頭で述べた通り、Swift 14 AIの実売価格24万9,800円前後で、ライバル機よりもお得な価格に設定されている。Core Ultraシリーズ2と大容量メモリ&SSDのノートPCを探しているなら、間違いなくおすすめできるモデルだ。

Swift 14 AIは明らかにコストパフォーマンスの高いモデルだ!