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激戦のエントリーPCI-E 4.0 SSDに新星登場!Solidigm初のクライアント向けSSD「P41 Plus SSD」の実力はいかに!?

~Intel SSDの流れをくむ新製品は独自ドライバとキャッシュ技術で実力アップを図る

SolidigmのクライアントPC向けSSDとしては初の新規製品となる「P41 Plus SSD」

 Solidigm(ソリダイム)からPCI Express 4.0対応のNVMe SSD「P41 Plus SSD」の販売が開始された。Solidigmは、IntelのNAND型フラッシュメモリの応用製品事業(NAND型フラッシュメモリ採用のSSD事業)がスピンアウトして、SK-Hynix傘下の企業として設立されたストレージメーカーで、Intelが展開していたNAND型フラッシュメモリを搭載するエンタープライズ/データセンター向けSSDやクライアント向けSSDなどの事業を製造工場を含めて継承している。

 P41 Plus SSDは、そんな同社が初めて新規の製品として市場に投入するクライアント向けSSDだ。同社ではこれまで、設立前からIntelブランドで販売されていた670pを継続販売しているが、P41 Plus SSDは、その上位モデルに位置付けられる製品となる。記憶容量2TB、1TB、512GBの3モデルが用意されている。

【P41 Plus SSDの主なスペック】
型番SSDPFKNU020TZX1SSDPFKNU010TZX1SSDPFKNU512GZX1
容量2TB1TB512GB
インターフェイスPCI Express 4.0 x4
プロトコルNVMe
コントローラー非公開
NAND型フラッシュ144層3D QLC NAND
DRAM非搭載(HMB対応)
Sequential Read (最大)4,125 MB/s4,125 MB/s3,500 MB/s
Sequential Write (最大)3,325 MB/s2,950 MB/s1,625 MB/s
TBW800400200
保証期間5年(制限付き保証)

DRAMレス設計を採用。独自のキャッシュ機能も搭載し、性能アップが進む

 P41 Plus SSDは、前作670p同様に144層の3D QLC NANDメモリを引き続き採用するが、搭載コントローラはPCI Express 4.0 x4対応のSiliconMotion製のSM2269XT(筆者調べ)へと変更されて性能がアップしているほか、耐久性も向上している点が特長だ。P41 Plus SSDの公称シーケンシャル読み出し速度は最大4,125MB/s、書き込みは最大3,325MB/s(いずれも2TBモデル)で、670pがそれぞれ3,500MB/s、2,700MB/sであったことを考えると、着実な性能アップが図られていると言ってよいだろう。また、2TBモデルのランダムリードは最大390K IOPS、ランダムライトは540K IOPSに達している。

 P41 Plus SSDの2TBモデルは670pの740TBWから800TBWに、1TBモデルでは370TBWから400TBWに、512GBモデルでも185TBWから200TBWにそれぞれアップしている。TBWの向上、つまり耐久性の向上はSolidigmの特徴であり、改善の積み上げの成果と言える。

2TBモデルの基板全景。NANDは2チップ構成
Silicon Motion製のSM2269XTを採用。SM2269XTは、PCI Express 4.0 x4対応の4チャンネルコントローラで、DRAMレス設計でHMBに対応するエントリークラスSSD用のコントローラだ
P41 Plus SSDは、670pと同じ144層の3D QLC NAND型フラッシュを採用

 また、P41 Plus SSDと670pの構造を比較したときに最大の変更点となるのがDRAMの廃止である。670pではDRAMを搭載していたが、P41 Plus SSDは最近のエントリークラスSSDの主流となりつつあるDRAMレス/HMB(Host Memory Buffer)対応の製品へと変更された。

Solidigm Synergy Storage Driverをインストールすることで利用できるHMC機能。専用ツール「Solidigm Storage Tool」を使うとHMC機能のON/OFFも制御できる。Solidigm Synergy Storage DriverやSolidigm Storage Toolは、同社の専用ページからダウンロードできる

 さらに、独自のキャッシュ機能「HMC(Host Managed Chache)」を搭載した点も目新しい。HMCは、専用のドライバ(Solidigm Synergy Storage Driver)をインストールすることで利用できるホストからコントロールされるキャッシュ制御機能で、特に4KB QD1のランダムリード性能がアップし、SSDに保存されるデータの容量が増えても高速リードを維持できると言う。

Solidigm Synergy Storage Driverをインストールすると、デバイスマネージャーの記憶域コントローラのセクションに表示されるコントローラの名称が「Solidigm NVMe Storage Controller」に変更される

 現在のSSD市場は、最大速度7,000MB/s前後の性能を誇るPCI Express 4.0対応SSDを頂点として、最大速度4,000~5,000MB/sの低価格路線のPCI Express 4.0 SSD、エントリークラスのPCI Express 3.0対応SSDといったグループを形成しつつある。この3つのカテゴリの中で現在最も勢いがある注目の激戦区が、P41 Plus SSDが位置する低価格路線PCI Express 4.0 SSDのカテゴリである。

 このカテゴリの製品は、いずれも価格と性能のバランスが高く、最大性能を追求した製品と言うよりも、体感性能を重視した低発熱で使いやすい製品がしのぎを削っている。P41 Plus SSDもまさにそういった製品に仕上がっている。ここからは、ベンチマーク結果などから、本製品の実力をつまびらかにしていきたい。

高い体感性能を発揮。Solidigm Synergy Storage Driverで性能もアップ!

 今回性能テストに利用したのはP41 Plus SSDの2TBモデルで、Windows標準のNVMeドライバ(Storenvme.sys)で利用した場合と、Solidigm製の自社ドライバ「Solidigm Synergy Storage Driver(以下、Solidigm Driver)」を利用した場合の両方で、すべてのベンチマークを行なっている。比較用には、前作の670pの2TBモデルを利用した。

 また、ベンチマークソフトには、最大速度を計測する「CrystalDiskMark 8.0.4」とアプリケーションの起動や操作などをシュミレートすることによってストレージの体感性能を計測する「PCMark 10 Full System Drive Benchmark」、ゲーム使用時の体感性能を計測する「3D Mark Storage Benchmark」を使用した。テスト環境は、以下の通り。

【検証環境】
CPUIntel Core i5-11600K(6コア12スレッド)
マザーボードASUSTeK ROG STRIX Z590-F GAMING WIFI(Intel Z590)
メモリDDR4-3200 32GB(PC4-25600 DDR4 SDRAM 16GB×2)
システムSSDM.2 SSD 512GB(PCI Express 3.0 x4)
グラフィックスIntel UHD Graphics 750(CPU内蔵)
OSWindows 11 Pro 64bit
CrystalDiskMarkの計測結果。シーケンシャル読み出し/書き込みではSolidigm Driverの効果は薄いが、ランダム4KB QD1の読み出し/書き込みで効果を確認できる

 まずは、最大速度を確認できるCrystalDiskMarkの結果を見ていこう。P41 Plus SSDの最大シーケンシャル速度は、Windows標準ドライバで利用した場合で読み出し4,118.9MB/s、書き込み3,380.2MB/s。Solidigm Driverで利用した場合で読み出しが4,099.3MB/s、書き込みが3,354.5MB/sであった。最大速度については、どちらのドライバを利用した場合も大きな差は出ていないが、いずれの場合もほぼ公称通りの速度を記録している。670pと比較すると、読み出しが約600MB/s、書き込みが約350MB/sも高速化されており、インターフェイスがPCI Express 4.0へと高速化された恩恵はしっかり活かされている。

 加えて注目しておきたいのが4KB QD1/T1のランダム速度である。4KB QD1/T1の速度は、読み出し/書き込みともにSolidigm Driverを利用した場合の方が速く、読み出しは約1MB/s、書き込みについては約36MB/sの高速化となった

PCMark 10 Full System Drive Benchmarkの計測結果。P41 Plus SSDのスコアは非常に良好だ。ここでもSolidigm Driverの効果は確認できている

 体感速度を計測するPCMark 10 Full System Drive Benchmarkの結果も着実な進歩がみられている。P41 Plus SSDのスコアは、670pよりも約10%ほど高い約3,300のスコアをマーク。このスコアは、現在のトップクラスというわけではないが、最大速度7,000MB/s前後の最上位クラスのPCI Express 4.0対応SSDに肉薄するもので、バリュークラスのPCI Express 4.0 SSDの中では、トップクラスに位置する。

3DMark Storage Benchmarkの計測結果。P41 Plus SSDのスコアは670pと比較して着実にアップ。十分に高いものだ

 3DMark Storage Benchmarkの結果も非常によい。P41 Plus SSDは、Solidigm Driverで利用した場合に3,525、Windows標準ドライバの場合で3,456のスコアをマークしている。このスコアは、PCI Express 4.0対応SSD全体の中でもトップクラスに位置するものだ。670pでも3D Mark Storage Benchmarkの結果は非常に良好だったが、P41 Plus SSDでもこの傾向のチューニングは健在だ。P41 Plus SSDはゲームの使用感が、非常に高い製品に仕上がっていると言えるだろう。

 なお、ここでもSolidigm Storage Driverは効果を発揮している。Solidigm Storage Driverは、体感性能の高さを数値化するPCMark 10 Full System Drive Benchmarkと3D Mark Storage Benchmarkの両方でWindows標準ドライバよりも高いスコアをマークしている。Solidigm Driverのランダム4KB QD1の性能をアップさせるという効果はダテではないようだ。

ランダムリード性能をさらに細かく調べてみた。TxBENCHでP41 Plus SSDの全領域にシーケンシャルライトでデータを書き込み、アクセス範囲を指定して4KBランダムリードQD32を1分間実施した平均速度をグラフ化すると、Solidigm Storage Driverの効果が垣間見える

 また、Solidigm Storage Driverは、ランダムリード性能をWindows標準ドライバよりも広範囲に維持できるという一面もある。これを調べるために、P41 Plus SSDの全領域にデータを書き込み、データのアクセス範囲を指定して4KBランダムリード QD32を実行したのが、以下のグラフである。

 このグラフを見ると分かるが、Windows標準ドライバは32GBのアクセス範囲を境にランダムリード性能が低下するが、Solidigm Storage Driverは48GBのアクセス範囲まで性能を維持している。また、性能が低下した後も、1TBのアクセス範囲になるまではWindows標準ドライバよりも若干だが高いランダムアクセス性能を維持している。この結果からも分かるように、Solidigm Storage DriverはWindows標準ドライバよりも一貫して高いランダムアクセス性能を提供している。

SLCキャッシュの使い方に磨き。保持しているSLCキャッシュの手動吐き出しも

 次にP41 Plus SSDのSLCキャッシュの使い方を紹介する。まずは、SLCキャッシュの容量だが、P41 Plus SSDの2TBモデルは、未記録状態で利用した場合、実測値で約250GBのSLCキャッシュを利用できた。また、SLCキャッシュが枯渇した後の書き込み速度は、平均320.7MB/sであった。

シーケンシャル書き込みを連続実行した際の転送レートの推移。TLCのSSDにはまだおよばないものの、SLCキャッシュ枯渇後の書き込み速度の改善も進んでいる

 P41 Plus SSDは、QLC NAND型フラッシュメモリを採用しているため、TLC NAND型フラッシュメモリを採用した製品よりもSLCキャッシュ枯渇後の速度の下げ幅はまだ大きく、もう一声といった感じは否めないが、初期のQLC NAND型フラッシュメモリを採用したSSDが100MB/sを切る速度であったことを考えると、かなりの速くなったという印象はある。今後の技術の進化による高速化に期待したいところだ。

シーケンシャルに80GBのデータを書き込んだ後、5分間停止を繰り返しながら、合計500GBのデータを書き込んだ場合の転送速度と消費電力の推移。消費電力の低下が起きないことから、合計240GBのデータを書き込むと、SLCキャッシュの開放の処理が一定時間実行されていることが分かる

 また、SLCキャッシュの使い方についてだが、P41 Plus SSDは、SLCキャッシュに書き込んだデータをすぐにQLC領域へと移動しない仕様となっている。SLCキャッシュ内のデータのQLC領域への移動は、SLCキャッシュの空き容量が1割を切る場合などある程度少なくなると、一定程度のデータをQLC領域へと移動させる処理がバックグラウンドで自動実行されるほか、この処理を手動で行なう方法も用意されている。

Performance Boosterの実行画面。この機能を実行すると、SLCキャッシュを手動で開放できる。定期実行すれば、常にある程度のSLCキャッシュを確保できる

 手動でSLCキャッシュ内のデータをQLC領域に移動させたい場合は、専用ツールのSolidigm Storage Toolで「Performance Booster」を実行すればよい。Performance Boosterの処理完了までには、ある程度の時間が必要になるが、SLCキャッシュを常に一定程度確保しておきたい場合は、定期的にPerformance Boosterを手動実行するとよいだろう。

 なお、この仕様は、Solidigmが設立される前のIntel時代の第1世代のQLC SSD「SSD 660p」から脈々と続いている仕様だ。これまで大きく取り上げられなかったことから気付いてなかった読者の方も多いかもしれないが、Intel製のQLC SSDは初期からすべてこの仕様で設計されている。このため、Performance Boosterは、P41 Plus SSD専用の機能というわけではなく、670pなどでも利用可能だ。

実用性を重視した高コスパPCI-E 4.0 SSD

 P41 Plus SSDは、最大読み出し/書き込み速度はPCI Express 4.0対応SSD全体の中では控えめの性能だが、PCI Express 3.0接続のSSDよりちょっと高いけどピーク速度は速く、さらに、実用性を重視した体感性能の高さが魅力の製品に仕上がっている。特にゲームにおける体感性能が高く、「QLC NAND型フラッシュメモリだから遅い」といったことは体感上感じることはないだろう。

 耐久性についても、2TBモデルでは800TBWまで耐久性が向上しており、最新のTLC NAND型フラッシュメモリ採用製品に一歩譲るところはあるものの、以前のQLC NAND型フラッシュメモリ採用製品に比べると耐久性の面は確実に改善されている。ビジネス用途で利用する場合やカジュアルにゲームを楽しむといった用途においては、必要十分以上の性能と耐久性を確保していると言ってよい。

 また、SSDによる大容量のストレージ容量が必要とする人、たとえば大容量の映像データを取り扱うようなクリエイティブな用途にPCを使っている場合には「容量を重視したいけど速度もそれなりに稼ぎたい、でも導入コストは抑えたい」となることも少なくないはず。現在の高コスパPCI Express 4.0 SSDはこういった要望に応える製品であり、実用上の体感速度や耐久性が向上した本機は、有力候補の1つにカウントできるだろう。

 また、さまざまな検証を行なっていて個人的に特に秀逸だと感じているのが、専用ツールのSolidigm Storage Toolから実行できるPerformance Boosterである。現在のSSDは、SLCキャッシュの容量を大きめにとった上でSLCキャッシュ内のデータをすぐに開放しない製品が増えているが、SLCキャッシュを手動で開放する機能は用意されていないケースが一般的だ。

 そんな中、P41 Plus SSDは、ユーザーが任意のタイミングでSLCキャッシュを開放でき、常に一定程度のSLCキャッシュの容量を確保できる専用ツールを提供している。これは、かゆいところに手が届く、意外に便利な機能だと言えるのではないだろうか。P41 Plusを利用する場合は、今回の検証結果からも分かるように確実にランダムリード性能の高速化が期待できるSolidigm Driverのインストールを含めて、Solidigm Storage Toolのインストールも忘れずに行なっておきたい。

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