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配信者もクリエイターも必携の「Stream Deck」ってどんなデバイス?Elgatoの超便利な周辺機器を多数紹介!

 前回の記事で、配信やWeb会議にとって必須となるElgatoのカメラ、マイク、そして照明製品について解説した。Elgatoでは、これら以外にも多種多様な周辺機器を取り揃えており、それらは配信やWeb会議はもちろん、一般的な業務、作業にでも活用可能なものが多い。本稿では「Stream Deck」などそれら周辺機器を紹介していく。

使い方は無限大の液晶付きマクロボタン「Stream Deck」

Stream Deck

 Stream DeckはElgatoを代表する製品の1つと言っていいだろう。その名が示す通り、基本的には配信向けのデバイスと位置づけられ、多くの配信者が愛用しているが、配信以外にもあらゆる事に活用可能で、クリエイターなどにも人気のデバイスだ。複数の液晶付きボタンを備えており、それらを押すことで、様々なマクロやショートカットを実行できる。

 ラインナップには6ボタンのMini、15ボタンの無印とMk.2、そして32ボタンのXLがある。これらの違いはボタン数(とそれに伴う製品のサイズ)だけだ。最近になって、フェイスカバーとUSBケーブルが取り外し可能になったMk.2が投入されたが、基本的な仕様は無印と同じと思っていい。

着脱可能なスタンドが付属
スタンドを外したところ
背面にUSB Type-C
Type-C→Type-A変換ケーブルが付属する。コネクタがL字型でロゴ入りなところも作り込みを感じる
こちらは32ボタンのStream Deck XL

 使い方は簡単で、USBポートに挿し、ElgatoのサイトからStream Deckソフトをダウンロード、インストールするだけ。標準では、Stream Deckのシステム的な操作を行なう「Stream Deck」、オーディオを再生する「サウンドボード」、アプリの起動やホットキー操作などができる「システム」、OBSの操作を行なう「OBS Studio」や、定型文をツイートする「Twitter」などといったプラグインが搭載されている。

Stream Deckアプリ。右側のプラグインリストから機能を選んで、左側のボタンにドラッグする

 それぞれに複数の機能のボタンがあるので、使いたいものを右のリストから、左のプレビューウィンドウの枠にドラッグすると、そのアイコンがプレビューとStream Deck本体に表示され、実機のボタンを押すと、その機能が働く。

 この内、OBS Studioには、シーンを選択する「シーン」、特定の音声トラックをオン/オフする「ミキサーオーディオ」、録画を行なう「録画」、配信を開始する「ストリーム」、特定ソースの表示をオン/オフする「ソース」という機能がある。

 ゲーム配信者ならこの「シーン」ボタンのためだけにStream Deckを買ってもいいくらい便利なものだ。普通、OBSでシーンを変更する場合、当然ながらOBSで表示したいシーンをマウスでクリックして実行する。この時、ゲームはバックグランドになるため、一時的に操作不能になり、ゲームによっては画面や音声が停止するものもある。しかし、Stream Deckなら、ゲームをフォアグラウンドにしたまま、OBSのシーン切り替えが、しかも1アクションでできるのだ。

 Stream Deckには、標準のもの以外にも多数のプラグインがソフトメーカーや個人開発者によって開発されており、ストアにて無償で公開されている。マイクやスピーカーミュート機能などを備えたDiscord用プラグインや、音声出力のルーティングを制御できるGoXLR用プラグインなど、色々なソフトやハードをStream Deckを使って制御できる。そして、ホットキー機能を使えば、各種ソフトの様々な機能を1ボタンに登録可能だ。

Stream Deckストア
様々なプラグインがメーカーや個人開発者によって提供されている。どれも無料だ

 使い込んでいくうちに、様々なボタンを登録していくことになるので、6ボタンや15ボタン、そして32ボタンでさえもすぐに埋まってしまうことだろう。しかし、Stream Deckでは、自由にページを追加できるほか、1つのボタンにフォルダを登録すると階層構造でボタンを追加していくこともできるので、事実上、無限に機能を追加できる。

ページを追加することでボタンが足りなくなっても追加できる

 さらに便利なのがマルチアクション機能だ。マルチアクションをボタンに登録すると、その中に、複数の機能を登録し、1ボタンを押すだけで、それらを逐次処理できる。アクション間にミリ秒単位で任意の遅延も入れられるので、非常に強力なコマンドを自作できる。

マルチアクション機能を使うと、様々なアクションを逐次処理できる

 例えば筆者の場合、PC起動時に仕事で利用するアプリを10個近く起動するが、それらをきちんと同じレイアウトに並べたい。こういう場合に、マルチアクションとして、アプリの起動→遅延(実際にアプリが起動するのを待つため)→レイアウト→次のアプリの起動→……といったマルチアクションを登録しており、再起動後に1ボタンで必要なアプリを起動、整列できるようにしている。

 このほかにStream Deckには「プロファイル」という機能がある。プロファイルもページなどのように自由に追加登録できる。例えば、仕事用とプライベート用のプロファイルを作って、それぞれに関連したボタンだけを登録し、切り替えて使うといったことができる。

 それに加えて、特定のアプリがフォアグラウンドになったときに、任意のプロファイルに自動切り替えする機能もある。これを使うと、例えば、Photoshopをアクティブにしたら、Photoshop専用のボタン群が表示され、Lightroomに切り替えたら、Stream Deckのプロファイル(ボタン群)も自動的にLightroomになるといった使い方ができるのだ。ストアではこうしたプロファイル(+それ用のアイコン群)なども公開されている。

アクティブアプリを検出して、それに応じたプロファイルを自動選択する機能もある

 このほかにも、ストアには多数の音楽や効果音などが無償公開されており、配信時のBGMやポン出しなどに使えるようになっている。

ストアでは音楽や効果音も配布されている

 もはやStream Deckは1つのエコシステムを形成しており、アプリや用途を限定せず、ありとあらゆる使い方ができる。配信者は必携だし、配信者以外でも持っていて損はないデバイスだ。

両手がゲームで塞がっていても足で操作できる「Stream Deck Pedal」

Stream Deck Pedal

 このように非常に便利なStream Deckだが、1つ弱点がある。それは、手が空いていないと使えないことだ。例えばゲームプレイ中に盛り上がるポイントに到達し、OBSで画面を切り替えたり、効果音を出したりなどしたい時、当然いったんキーボード/マウスやコントローラから手を離す必要がある。そんな時に活躍するのが、Elgatoが発売したばかりの新製品「Stream Deck Pedal」だ。

 その名が示す通り、足で踏むペダル型のStream Deckだ。Stream Deckと同じソフトで設定を行なうので、機能的にはStream Deckでできることが全てそのままできると思っていい。ただ、足の裏の感触でボタンを探りつつ使うという性質上、ボタン(ペダル)は3個のみでディスプレイもない。足で使うことに割り切った仕様となっている。

 これも人によって様々な使い方があるだろう。前述のもの以外としては、ゲームのプッシュトゥトーク用のボタンとして使うのも便利だ。プッシュトゥトークは、特定のボタンを押している間だけ、ゲーム内のメンバーとボイスチャットができる機能。通常はキーボードのキーやマウスに割り当ててるが、Stream Deck Pedalがあれば、手はゲーム操作に集中させたまま、足でボイスチャットのオン/オフを切り替えできるようになる。それ以外のゲーム操作のボタンを割り当てて、例えばとっさの回復に使うなどというのもありだろう。

本体左側、中央、右側がそれぞれペダル型のボタンとなっている
本体側のコネクタはUSB Type-Cで、Type-C→Type-Aケーブルが付属
こちらもStream Deckアプリで様々な機能を割り当てられる

 ペダル型なので、普段はフットレストとして使っておいて、必要な時に足の先端を動かせば押下できる。比較的静音で、足元に置くこともあり、操作音が配信に乗る心配はほとんどしなくて良さそうだ。また、張力が異なる交換用のバネが2セット付属しており、ペダルの圧力を3段階に変更できるあたりは、細かいところに配慮が行き届くElgato製品らしい。

ゲーム画面に自分を合成したり、Web会議で部屋を写したくない時は「Green Screen」

Green Screen

 筆者は、配信者ワイプの背景も、その配信の重要な個性の1つだと考えているが、レイアウトの都合などから、背景を切り抜いて配信者だけをゲーム画面上に合成したい/している人も多い。あるいは、Web会議で自分の部屋を見せたくない人も少なくない。

 最近では配信ソフトやWeb会議ソフトに人物だけを自動的に切り出す機能を搭載するものも増えている。しかし、まだ人物と背景との判定が甘く、必要以上に顔が削られたり、逆に背景の一部が見えることもしばしばだ。

 そういった問題を解消できるのが、ElgatoのGreen Screenを用いたクロマキー処理だ。その名の通り、緑色のついたてで、合成用にTVや映画などでも用いられるものだ。

 Green Screenのいいところは、まず収納式である点。収納台の上蓋を開けて、上に引っ張るとついたてが現れ、押し下げると丸まって中に収納される。筆者は、布のグリーンバックを持っているのだが、使うときは、2つ三脚を出して、それにポールを渡して、そこに布を引っかけ、使い終わったらこれらを畳み直す。出し入れで10分はかかる。これに対してGreen Screenは10秒で出し入れできる。

収納時
蓋を開けたところ
中央に持ち上げるハンドルがある
これを引き上げると幕が上がる
背面はこのようなパンタグラフ構造

 また、シワができない材質なのも重要な点だ。背景切り抜きのクロマキー処理は、色を指定して行なう。OBSなら、クロマキーのフィルターを追加して、緑を選ぶ。その際、筆者が持っているような布のものは、しわができ、そこの影が黒っぽくなってしまうので、きれいに切り抜けないことがままある。しかし、Green Screenはシワができないため、表面がほぼ均一な色になり、微調整に時間をかけなくても、さくっときれいに背景を切り抜ける。

筆者私物の布のバックドロップをGreen Screenにかけたところ。クリップで引っ張ってはいるものの、このようにしわができてしまい、こういった濃淡が原因でうまくクロマキー処理できなくなることがある
Green ScreenとOBSのクロマキーフィルターでプレイヤーを切り抜いてゲーム画面に合成。縁が滑らかで高精細な点に注目

 なお、この動画はカメラとしてミラーレスのα6600を使っており、Elgatoのカメラ用USBキャプチャユニットであるCam Link 4Kを使ってOBSに取り込んでいる。Cam Link 4Kは1080/60pと4K/30pに対応し、ドライバのインストールなしで動くので、扱いやすい製品だ。筆者も長く愛用している。

USB HDMIキャプチャユニットのCam Link 4K

カメラなどの設置に使える各種アーム

 このほかにもElgatoは、電気は通らないが、機能性の高い周辺機器を色々展開している。

 その1つがアームだ。前回の記事でマイク用の「Mic Arm LP」を紹介したが、主にカメラ向けとなるのが「Multi Mount」シリーズだ。机に取り付けるクランプがあり、まっすぐ伸びるのが「Master Mount」。55~129cmのLサイズと33~54cmのSサイズがある。

 このMaster Armに取り付けられるオプションとして、やはりクランプ式の「Solid Arm」と、関節があり、場所や角度などをある程度自由に調節できる「Flex Arm」がある。

Solid Arm
Master Mount(上)とFlex Arm(下)

 これらを使って、カメラを一番いい位置にセッティングし、自分自身を写すのにも使えるが、1つおもしろい使い方として、卓上を真上から写すアングルを手軽に実現できる。

このように真上から手元のショットも容易に実現できる

 先ほどGreen Screenを紹介したが、そのシリーズとして「Green Screen Mouse Mat」というマウスパッドも発売されている。かなり大型の製品で、キーボードとマウスをセットで置くことができる。そこを真上からFaceCamで狙い、クロマキー処理をかけると、キーボードやマウス、コントローラと手だけを切り抜いた映像をゲーム画面上に合成できる。

 最後に、アームではないが、ユニークな製品として吸音パネル「Wave Panels」も紹介したい。直径50cm程の六角形をしたポリウレタン&ポリエステル製の吸音パネルで、壁に貼って使う。配信や動画にとって音声の品質は最も重要な要素の1つであり、部屋の音声の反響を防ぐのが本製品の目的だ。

 フレームはネジ止めのほか、両面テープでも取り付けできるので、賃貸でも利用しやすい。見た目がおしゃれなのでインテリアにもなる。自分の配信を見返して、ちょっとエコーが気になるなと思ったら、こういった製品の活用を考えてみよう。

Wave Panels

配信機材の選択に迷ったらまずElgatoを検討しよう

 Elgatoの主な製品を2回に分けて紹介してきた。機能性、独自性が高い製品が多く、かつ配信者のことをよく考えて開発された製品群を展開していると感じる。

 在宅勤務やハイブリッドワークが当たり前の現在、配信をしなくても、カメラや音声を使って自分の映像を相手に見せることが当たり前になった。そういった中、機材を新規に導入あるいは買い換える際、どこの製品を選べばいいのか迷ったら、まずElgato製品を選んでおけば間違いない。