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配信/Web会議用機材で絶大な支持を得るElgato製品。その高品質と高機能さを4K修行僧が解説!
~人気の秘密は洗練されたアプリにあり!
- 提供:
- SB C&S株式会社
2022年4月5日 06:00
ゲームなどの個人配信や、仕事でのWeb会議で利用するカメラやマイクは山のように選択肢がある。4K修行僧こと筆者は、仕事で配信関連も手がけているので、どういう機材を利用したらいいかという相談はよく受ける。だが、予算や部屋の環境などが人によってまちまちなので、あらゆるニーズに応えられる唯一の選択肢というのは存在しない。しかし、ほとんどの人に幅広くお奨めできる製品群がある。それがCORSAIRが販売するElgatoブランドの製品だ。
Elgatoはもともとはキャプチャ製品などを手がける専門企業だったが、2018年にCORSAIRに買収された。買収以降もCORSAIRは、配信関連の製品はElgatoブランドで開発/販売を続けており、その製品群は幅広く、製品ジャンルも拡大している。
Elgato製品の特徴を一言で表わすなら「手軽な値段で高品質」となる。数十万円のカメラなどを使えば画質が良くなるのはある意味当然だ。しかし、そこまで予算をかけられる人はなかなかいない。この後紹介するElgatoのWebカメラ「Facecam」なら、プロ用カメラに近い画質を十分の一程度の価格で実現できる。
そして、それらElgato製品の高品質さや高機能を支えているのは、そのソフトウェアによるところが非常に大きい。もちろんハードウェアの質も高いのだが、Elgato製品が世界中で多数の配信者の支持を得ているのは、痒いところにまで手が届く高機能なソフトウェアが、それらを競合製品とは一段違うレベルにまで仕上げられているからだ。
本稿では主に、メインの配信機材となるWebカメラのFacecam、Wi-Fi対応照明「Key Light」、USBマイクの「Wave:3」について、その特徴や使いこなすためのテクニックを紹介していく。
本題に入る前に、Facecam、Key Light、Wave:3で撮影した映像を紹介する。画質、音質とも非常に高いレベルにあることが分かるはずだ。もちろん、これだけ見て導入を決めてもいいが、Elgato製品のキモは、非常に柔軟で高機能なアプリにこをあると言っても過言ではない。ぜひ、この先も読み進めて、その良さを知っていただきたい。
ISO感度やシャッタースピードまで設定できるWebカメラ「Facecam」
FacecamはいわゆるWebカメラで、USBでPCに接続するだけで撮影ができるようになる。技術的な仕様としては、最大取り込み解像度が1,920×1,080ドット(60fps非圧縮)、絞りがF2.4、焦点距離が24mm、画角が82度となる。光学部分に同社独自のガラス製Elgato Prime Lensを、センサーにはソニーのSTARVIS CMOSを採用するなど、ハードウェア面でも高品質実現のための特徴が見て取れる。
もちろん、Facecamは、特に難しいことを考えずとも、デフォルトの設定のままで使っても、高いレベルの画質を得られる。だが、Facecam用ソフト「Camera Hub」を使えば、他社のWebカメラと一線を画し、ミラーレスや一眼レフカメラにさえ匹敵する画質を実現できるようになるのだ。
と言うのも、印象的で高い品質の映像を得ようとしたとき、Facecamに限らずそれがミラーレスカメラなどであったとしても、ISO感度やシャッタースピード、ホワイトバランスなどを手動で設定する必要がある。しかし、ホワイトバランスの調整はできても、ISO感度やシャッタースピードまで指定できるWebカメラはFacecam以外にほとんどない。
過去、Webカメラを使ったことがある人なら、日によって顔の明るさが違うといったことを体験したことがあるだろう。これは、カメラが全体的な明るさを見て露出を自動調整しているからで、黒っぽい服を着ると、それに引きずられて全体の露出が上がり、顔が必要以上に明るくなり白飛びしたりする。しかし、Facecamなら、手動で露出やホワイトバランスなどを調整できるので、そういったことが発生しない。
一般的なWebカメラでも、配信アプリ側で色味などを調整できる。しかし、アプリを終了する度に設定が初期化されるので、頻繁に配信する人には面倒で、結局自動設定のままになったりする。
その点についてもFacecamは、Camera Hubで設定した内容をカメラ内蔵メモリに保存でき、配信アプリなどに依存せず同じ設定で写すことができる。これについても、こういった機能を持つWebカメラはFacecam以外にほとんどない。
なお、Facecamはフォーカスが固定となっている。フォーカスが合う集束範囲は30~120cmなので、被写体にフォーカスが合わないことはまず起きないので、特に心配しなくていい。むしろ、Webカメラにありがちな、フォーカスが迷って一瞬ボケるということが起きないメリットの方が大きい。
コンパクトでありながら、十分な輝度と”柔らかい影”を生み出す動画照明「Key Light」
Facecamの高画質さの理屈が分かったところで、カメラ撮影にあたっては照明の設置と適切な設定が不可欠となる。例えハリウッド映画で使われるようなカメラを使ったとしても、適切な照明を用いないと、なんとも程度の低い映像になってしまう。逆に、照明を駆使すれば、Webカメラでもプロ向け機材に匹敵する映像を実現できるようになる。
そこで、Key Lightの出番だ。Key Lightは撮影用の照明製品。「キーライト」というのは、メイン照明を意味する言葉で、Key Lightという製品名は、その用途をそのまま指し示している。
レンズ交換式カメラに嵌まると、いわゆる「レンズ沼」に陥ってしまうが、撮影用の照明も、何をどのように撮るかによっていろいろな種類があり、凝り始めると、あれもこれもと欲しくなる。とは言え、個人の配信だと基本的にはメイン照明が1つあれば十分だろう。
ただ、そのメイン照明を選ぶにあたっては、いくつか気に留めるべき点があるが、簡単にまとめると「昼白色でソフトシャドウを作れるモノ」を選ぶといい。ソフトシャドウとは、明るい部分と暗い部分の境目がなだらかな影のことで、人の顔を写す時に適している。
シーリングライトには黄色っぽいものと白っぽいものの2種類があるが、白っぽいものが昼白色と呼ばれる色だ。色温度だと5,000Kくらいを示す。撮影用のメイン照明は、ほとんどがこの昼白色に対応しているので、ここはあまり考える必要がない。
一方、ソフトシャドウを作れる照明となると、ある程度限られてくる。ソフトシャドウを作るには、光源(LEDや電球など)で被写体を直接照らすのではなく、間に白い布や磨りガラスのような板(ディフューザー)をかまして、光を散乱させる必要がある。
もう1つ大事なのが、光源が大きければ大きいほど影がソフトになるということだ。ディフューザーがある照明の場合、その面積がそのまま光源の大きさだと思っていい。光源と被写体との距離にもよるが、光源の大きさは直径30~40cmはほしいところだ。
従来、こういう場合は、照明に傘型のディフューザーを取りつけて利用することが多かった。だが、傘型ディフューザーは直径も奥行きも50~60cmほどあり、個人宅にはおいそれと置きにくいものだ。
しかし、Key Lightは350×250×35mm(幅×奥行き×高さ)という、非常に薄型の筐体に高品質なディフューザーがついており、コンパクトでありながら、理想的な柔らかい影を創り出すことができる。クランプ付きのアームがセットになっているので、机などに簡単に取りつけられるのもうれしい。
明るさについても最大2,800lmと必要十分。また、2,900~7,000Kの間で色温度を調節できる。色の正確さを示すCRI(最大100)は92と高い。
説明が長くなったが、一言でまとめると、Key Lightによって撮影スタジオような本格的照明環境を個人宅でも手軽に実現できるということだ。
ちなみに、Elgatoでは、Key Lightより一回り小型な「Key Light Air」も展開している。
Key LightとFacecamの実際の設定
Key LightとFacecamの設置と設定について手短かに説明しよう。
照明は、自分の斜め前45度の角度で、頭より少し高いところから照らすのがいい。これで、顔に印象的な陰影が生まれる。
ちなみに、細かいことだが、Key Lightには、本体からぶら下がる電源ケーブルを、ポールに固定するためのケーブルクリップが付属しており、配線をきれいにまとめられる。こういった細かい配慮も同社製品の評判を上げるのに一役買っている。
さて、実はこの製品、PCやスマホなどと組み合わせて使う設計になっている。一般的な照明だと電源ボタンを入れ、背面にあるダイヤルやボタンで、明るさや色温度などを調整するが、Key LightはWi-Fiを内蔵しており、電源オン/オフを含めた全ての設定をWi-Fi(アプリ)経由で行なう。
制御には「Control Center」というアプリを使う。アプリでKey Lightを自宅のWi-Fi環境に登録すると、電源操作のほか、色温度と明るさを調節できるようになる。なお、有線LANしかないデスクトップだとKey Lightの初期設定ができないが、その場合はスマホアプリを使って初期設定を行なえば、あとは有線LANからでもオン/オフや設定変更ができる。
色温度は先にも書いたとおり5,000K前後の昼白色が使いやすい。輝度は顔の明るい部分が白飛びしない範囲で明るくする感じでいいだろう。
カメラの設置場所は間取りなどによって変わってくるが、高さについては基本的に目線と同じか少し高いくらいにした方がいい。目線より下だと、煽る角度になって、配信や会議には向かない画角になる。
置きやすいのはディスプレイの上となるが、Elgatoが出している「Solid Arm」を購入すると、うまい具合にKey Lightのポールから横にアームを伸ばすことができ、その先端にカメラを取りつけられる。ディスプレイに置くよりも設置の自由度が高まるのでお奨めだ。
ソフトのミキシングが非常に高機能なマイク「Wave:3」
もう1つ配信やWeb会議になくてはならいのがマイクだ。この点についてもElgatoでは「Wave:1」、「Wave:3」という2つのUSBマイクを発売している。
Wave:3の方が上位モデルで、Wave:1の最大サンプルレートが48kHzなのに対し、Wave:3は96kHz対応のほか、Wave:3には入力ゲイン調節機能、タッチによる消音機能などの追加機能が搭載されている。
それ以外の基本的なマイクの仕様は、解像度24bit、周波数応答70~20,000Hz、感度-25~15dBFS、最大SPL 120dB (Clipguard使用時140dB )、ダイナミックレンジ95dB(Clipguard使用時115dB)という部分は共通だ。今回はWave:3しか試していないが、こういった仕様から判断すると、両者の音質面で大きな差はないだろう。
音質についてWave:3は、先の動画からも分かる通り、非常にクリアで存在感のある音声を記録してくれる。ノートPCや、Webカメラ内蔵などはもとより、定番のゲーミングヘッドセットよりも遙かに高い音質だ。USB接続なので導入もしやすい。
また、入力レベルがピークに達すると、Clipguardテクノロジにより、低音量で実行される第2の信号経路へと音声ルートが即座に切り替えられる。これにより、ゲーム中に興奮して大きな声で叫んでも、音声が割れない設計となっているのもポイントだ。
ちなみに、Facecamにはマイクが内蔵されていないので、Waveマイクはある意味必須だ。Facecamを使うようなハイエンドなユーザーは、Waveシリーズのようなマイクを別途用意するという判断に基づき、使われないマイクに余計なコストをかけない設計となっている。
柔軟で強力なミキシング/ルーティングができるWave Linkアプリ
さて、Waveシリーズは、前述の通りレベルの高いマイクなのだが、その価値はマイクだけではなく、アプリにもあり、むしろ配信者はこのアプリのためにWaveシリーズを買うべきだと言えるほどだ。そのアプリが「Wave Link」で、配信を行なう上で非常に便利で強力なミキシング機能を搭載している。
通常、配信では音声入力としてPCにつないだマイクを選び、音声出力はデスクトップ音声を選ぶ。このデスクトップ音声とは、PCで再生される全ての音声のことを差す。この一般的な環境で問題になるのが、配信者が一部のアプリの音声は配信に流したくない場合だ。
例えば、配信者と視聴者が生配信で同じ別の配信を視聴して、感想を伝え合うことがよくある。しかし、別の配信はほとんどの場合著作権上、自分の配信でその映像や音声を流すことはできない。配信の音声出力がデスクトップ音声となっている場合、配信者は第三者の配信の音声をミュートした状態で視聴することになる。
あるいは、配信中にメッセンジャーアプリでメッセージを受信した場合、配信者としては通知を知るために着信音を聞きたいが、視聴者には完全に不要な音だ。そのほかにも、一緒にプレイしているユーザーのボイスチャット音声を一時的に配信から除外したい状況などもあるだろう。
こういった状況において、Wave Linkを使えば、どのアプリの音を配信に載せるかを自由に選べるのだ。具体的には、そのアプリが音声を鳴らしている状態でWindowsの設定アプリのシステム→サウンド→音量ミキサーを開き、アプリの出力デバイスとしてWave Link(の下記のいずれか)を選べばいい。
Wave Linkをインストールすると、仮想的な音声出力として、System(規定)以外に、Music、Voice Chat、Game、Browser、Aux 1、Aux 2の6つの出力デバイスがOSに登録されるので、アプリごとにこの中から自由に出力先を割り当てられる。
これらの各出力は個別に音量を調節できるのだが、モニター(自分)用とストリーム(視聴者)用を個別に設定できるのがミソだ。ゲーム配信時、配信者はゲーム音を大きくしたいが、そのままだと配信ではゲーム音が自分の音声をかき消してしまうが、Wave Linkを使えば、同じゲーム音でもモニター用とストリーム用の音量を別個に調節できる。
どちらかだけをミュートすることもできるし、モニターとストリームで音量差をつけたまま、同時に音量を上げ下げするロック機能もあるなど、細かいところまで作り込まれている。お気に入りの音楽を聴きながらゲームのプレイを配信しつつ、その音楽は配信には載せないといったことも簡単に制御できるわけだ。
配信ソフトのOBSでは、音声出力キャプチャでこれらの各出力を個別に音声トラックとして追加できる。あらかじめ、OBSにWaveマイク、Game、Voice Chatなど必要最低限のもののみを登録しておけば、意図せずシステム音やブラウザで再生した動画や音楽の音が配信に載ることはなくなる。
また、ゲーム配信中につい興奮して大声を出しても音声が割れるのを防ぐ「Clipguard」機能を搭載するほか、VSTプラグインにも対応しており、マイクを含めた各入出力に対して、オーディオエフェクトを適用することもできる。
こういったミキシング機能を持ったマイクは極めて少数しか存在しておらず、Waveシリーズの際立った特長として覚えておきたい。
アームでより効率的な環境を
今回紹介したElgato製品を使う上で、もう1つできたら用意したいのが同社の各種アームだ。Key Lightにはクランプ付きのアームが付属しているが、これが単体でも「Master Mount」として製品化されている。高さ55~125cm対応のLサイズと33~54cm対応のSサイズがある。また、その先端に取りつけて、細かく位置を調整できる「Flex Arm」という製品もある。これらを使うと、カメラやマイクをより柔軟に設置できる。
マイクについては「Wave Mic Arm」と「Wave Mic Arm LP」というアームも用意されている。これらもMaster Mountと同等のクランプがあり、机に挟んで簡単に設置できる。そして、先端にマイクを取りつけて、自由自在に動かせる。
マイクは配信しないときは、顔の前にあると邪魔になるので、こうしたアームにつけておくと、さっと払いのけて動かせる。カメラについても、毎回固定位置から撮影するのならMaster Mountがいいが、いろいろと動かしながら使いたい人は、このアームにカメラを取りつけるのもいい。
今回Wave Mic Arm LPを使ってみたが、非常にスムーズに動かすことができ、動かす際にきしんで音が鳴ったりするようなことは全くない。また、アームの上側はマグネットで固定された蓋になっており、これを取り外すと、中にケーブルを通せるようになっている点も、しっかりケーブルマネジメントしたいというユーザーニーズを的確に把握した製品だと言える。
もう1つWave Mic Arm LPに関しておもしろいのが、顔より下の高さからアームを伸ばしてくる構造だ。一般的なマイクアームはいったん上に伸びて、顔よりも高い高さから口元に降りてくる構造になっている。音声だけの録音ならこれで問題ないが、配信では、こういうアームだと顔や体に大きく被ってしまうことがある。しかし、Wave Mic Arm LPなら、体との被りは最低限で済む。
より上位を目指す人向けの製品もラインナップ
以上の通り、ElgatoのUSBカメラとマイクは非常に高品位な配信を手軽に始められる製品だ。そして、そのアプリを活用することで、さらに品質を高めたり、柔軟な運用ができるようになるなど、幅広いユーザーにお奨めできる。
そして、Elgatoの製品はこれだけではない。例えば、ミラーレスカメラや高級なオーディオマイクなどを使って、さらにレベルの高い配信を行ないたいユーザーにも、USB HDMIキャプチャユニットである「Cam Link 4K」や、XLRマイクを接続できるUSBオーディオインターフェイスである「Wave XLR」といった製品もラインナップしている。
また、配信をより便利にするための周辺機器も取り揃えている。それらについては、また別途紹介するのでご期待いただきたい。