トピック

レッツノートLVは、Thunderbolt 3 1本でワークステーションにもなるモバイルノートだった

パナソニック「レッツノートLV」。Panasonic Storeで扱われるジェットブラックモデル

 PCは画面が大きいほうが使いやすい。同じPCなのに画面を大きくしたり、マルチディスプレイで使ったりするだけで、まるで性能が上がったかのように作業が効率的になる。だから、ちょっと長めの出張にはPCとあわせてディスプレイを持参する。できることなら毎日24型のディスプレイを持ち歩きたいくらいだ。そうすれば出先での作業がどんなにラクになるか。でも、さすがにそれはサイズ的にも重量的にも無理というもので現実的ではない。

 モバイルPCはさまざまな要素を妥協することでモビリティを確保している。画面サイズもその1つだ。大きな画面は確実に重量増に直結するし、フットプリントの肥大化も覚悟しなければならない。モバイル用途にはこれらの要素はマイナスになってしまうことが多い。

本体正面。画面サイズは14型

 それならシリーズ最大の14型液晶を持つ「レッツノートLV」シリーズはモバイル的に不利なのか? 今回、Panasonic Storeモデル LV7のジェットブラックを使って、ビジネスモバイル機としての活用法を探ってみた。

 レッツノートLVは、従来の「レッツノートLX」シリーズを刷新した新製品で、12型液晶のSVシリーズよりもひとまわり大きな画面サイズをもちながら、光学ドライブを搭載。Sサイズのバッテリ装着時、現行のPanasonic Storeモデル SV7の約1.019kgに対して、約1.27kgと重量的には約250gの増加ですんでいる。

天板はボンネット機構で強度を確保している
丸形のタッチパッドがアイデンティティ
今ではノートPCでは少数派となった光学ドライブも装備
通常サイズのSDカードに対応。UHS-IIで高速アクセス可能。前面からアクセスできるのはうれしい
左側面。左から電源端子、HDMI出力、USB 3.0、Thunderbolt 3、無線切り替えスイッチ
右側面。左から、USB 3.0×2、ミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、セキュリティロックポート

 この重量増をどうとらえるかは難しいところだが、「たった250gの負担で大きな画面が手に入るならそれがいい」と考えるユーザーは決して少なくない。なにしろ、水をめいっぱい注いだグラスと同じくらいの重さだ。カバンのなかに入れてしまえばSVとLVの違いは感じにくくなってしまうかもしれない。

 じつは、今回のレッツノートLV7の内部には、SV7とまったく同一の基板が実装されている。つまり、レッツノートの王道としてのSV7から失われるものはなにもなく、大画面が付加価値として与えられた製品がLV7と言うことができる。なお、製品の性能などについては、別途レビューを掲載しているので、そちらもあわせてご覧いただきたい(さらなる軽さを求めて進化した4コア搭載14型モバイル「レッツノートLV」)。

 iPhone的な表現をすると、「LV7=SV7 Plus」といったところだろうか。筐体が大きい分余裕が出て、クリアで大音量を実現するステレオスピーカーも実装できている。サウンドや動画を含むプレゼンテーションを見せたり、Skypeなどでの会議のさいには、その大きな画面にふさわしいサウンドを再生できる。

 バッテリ駆動時間も、Panasonic StoreのPCIe接続SSD搭載+Sバッテリで約12時間、Lバッテリなら約18.5時間とモバイルPCとして十分合格点を与えられる駆動時間が確保されている。大画面なのにSVシリーズにほぼ匹敵する駆動時間は頼もしい。これなら移動先でAC電源が確保できない場合にも安心だ。PCIe接続SSDは、店頭モデルのSATA接続SSDよりも、アクセスがかなり高速なのも見逃せないポイントだ。

半日以上動作するので、1日の出張程度ならACアダプタは持ち歩かなくてもいい
バッテリは取り外し可能なので、AC電源が確保できない場合に備え、予備バッテリを用意しておくというのもありだ

 SV7同様USB Type-Cポートも装備されている。Thunderbolt 3対応で、当然、USB Power Deliveryにも対応している。第8世代Core iプロセッサ搭載による4コア/8スレッドの性能も同じ。あらゆる点がSV7と同じで、画面サイズだけが異なる。そして、その大きな画面は作業をすこぶる快適なものにしてくれるはずだ。

このようにUSB Power Delivery対応の充電器から、Type-Cポート経由でも充電できる
今回、編集部で動作検証に利用したのはGOPPAの「65W USB PD認証 Type-C ACアダプタ 1.8m CableSET」。※パナソニックがレッツノートLVで本製品の動作保証をしているわけではありません。製品の問い合わせ先:アイ・オー・データ機器インフォメーションデスク=0120-777-618

 そう考えると、SV7とLV7は究極の選択となるし、自分自身のモバイルを考える試金石にもなるだろう。

 じつは、これまでのレッツノートLXシリーズのコンセプトを引き継ぎ、そこからさらに昇華しようとしているLVシリーズが、今、目指しているのは、働き方改革の時代を見据えたモバイルPCがどうあるべきかに対するレッツノートとしての提案でもあるのだ。

 これからの社会では、いつでもどこでも仕事をすることが求められる。カフェや空港ラウンジ、移動中の新幹線、飛行機内といった場所で仕事をするのが当たり前になる可能性もある。だったらモビリティの確保は最優先なんじゃないかと考えるのは早計だ。どちらかといえば、そうしたいけれどもできないというケースが多いのではないか。自分がそうしたくても会社がそれを許さないかもしれない。

 その一方で、コワーキングスペースのような場所で、業種や組織を超えたチーム指向で仕事をするワークスタイルにも注目が集まっている。

 テレワークやフリーアドレスのオフィス環境などで求められるPCのフォームファクタは、もう少し緩やかなモビリティ、言ってみれば「ポータビリティ」のようなものではないだろうか。臨機応変に、そのときの状況、環境に合わせて調整ができる融通のきくPCだ。

 それは究極のモバイル特化をめざしたフォームファクタでは難しい。1台のPCであらゆることをまかなわなければならないならどうしてもそうなるだろうし、そのためにも「余白のあるPC」が必要だ。

 LV7はまさにそんなPCだ。SV7同様、LV7はLTEにも対応可能(Panasonic Storeモデルのみ)なので、場所を問わずネットワークを利用できるが、諸事情がいつでもどこでもを許さないなら、PCを使える時間の効率を高めることも考えなければなるまい。小さな画面で四苦八苦するよりも、広々とした大画面をうまく使い、短時間で作業を片づけるスキルも必要だ。

直販モデルはLTEにも対応可能

 業種にもよるが、業務PCに求められるPC性能は日増しに向上している。そこで、LV7にRazerの「Razer Core V2」をThunderbolt 3接続し、日本ギガバイトのビデオカード「GV-N1070G1 GAMING-8」(GeForce GTX 1070搭載)を内蔵。外付けGPUボックスとして、HDMI経由でDOSHISHA製32型4Kディスプレイ「OD4K-32B1」をつないでみた。

Thunderbolt 3を使った外付けGPUボックス「Razer Core V2」
ビデオカードには日本ギガバイトの「GV-N1070G1 GAMING-8」を利用してみた

 クアッドコアプロセッサの処理能力に加えてGPUが助っ人となり、4K解像度でも3D CGや動画製作をストレスなく扱えることが実感できた。もちろんゲーム用途にも抜群の性能を発揮する。モバイルだからとあきらめていたことがこうしてできる。

 Thunderbolt 3なら、外付けGPUボックスやディスプレイ(要Power Delivery対応)から、LV7をType-Cで充電しながら映像を出力といったこともできる。Razer Core V2はUSB Hubとしても機能するので、そこにマウスやキーボードを接続しておけば、オフィスに戻ってケーブル1本をつなぐだけで、LV7がデスクトップワークステーションとして使えるようになる。拡張が容易な新しい世代のPCならではの使い方だ。

レッツノートLV7とRazer Core V2をThunderbolt 3で接続。ケーブル1本で、LV7に外付けGPUを拡張しつつ、LV7は給電もされている。GV-N1070G1 GAMING-8のようなビデオカードなら、4K環境でも高い性能を発揮できる。※パナソニックがレッツノートLV7で本製品の動作保証をしているわけではありません。製品の問い合わせ先: Razer Core V2→Razer カスタマーサポート=0120-94-1981、GV-N1070G1 GAMING-8→CFD販売 050-3786-9585、OD4K-32B1→ドウシシャ=03-3474-6855
外付けGPUの性能があれば、レッツノートLV7でVR向けの開発なども可能

 LV7のPower Delivery対応はSV7同様にじつにフレキシブルだ。27W以上のアダプタがあれば使いながらの充電ができるし、スリープ中を含め、電源が入っていなければ、15Wのアダプタでも充電ができる。

 USB BC1.2による7.5Wという低い電力にも対応しているため、緊急時には一般的なモバイルバッテリがあればバッテリ駆動時間を延長することができる。こういう仕様はPD対応機としてはめずらしい。まさかiPhoneの充電器でレッツノートを充電できるようになる日が来るとは思わなかった。充電はできなくても、もらえる電力はもらうという仕様もマニアックだ。

 なお、発売を記念して、Panasonic Storeでは、LV7/SV7の購入者を対象に先着600名にGOPPAのType-C ACアダプタをプレゼントするほか、LTEモデル購入者に初期費用を0円に、月額費用を最大3カ月無料にするキャンペーン、下取り金額の引き上げなども行なう。

 こういった具合に、モバイルのエッセンスを凝縮し、レッツノートのお家芸としてのモバイルにこだわりつつ、そこに大画面という、一見、モバイルとは相反する要素を付加価値として与えられたレッツノートLV7。それはモバイルというスタイルへの先入観を解体する新しいムーブメントだ。