レビュー

「ASUS GeForce RTX 3070 Noctua OC Edition」とNoctua一式で自作PCの佳境まで行ってみた

ASUS GeForce RTX 3070 Noctua OC Edition。コキンメフクロウの学名であるAthene noctuaの名前そのままに、フクロウの顔をモチーフとしたデザイン

 2021年の8月頃より、海外でEurasian Economic Commissionへの名前登録で話題となっていた「ASUS GeForce RTX 3070 Noctua OC Edition」が、10月に入ってようやく正式発表。このたび全世界で発売となった。実売価格は13万円だ。今回、ASUSより1枚お借りしたので、Noctua製ファンとCPUクーラーを買い揃え、写真レポートを中心にお届けしよう。

 もともとASUSのビデオカードは高い品質と高い静音性で定評があるのだが、ファンやヒートシンクで評価が高いNoctuaとタッグを組んで、ビデオカードでコラボレーションが実現したというのだから、自作界隈で話題になるのも当然だ。実際、秋葉原で発売からまたたく間に売り切れてしまったようなのだから、人気の高さが伺える。

 ちなみにASUSとNoctuaのコラボは今回が初というわけではなく、ASUSの簡易水冷CPUクーラーのファンがNoctua製のIndustrial iPPCファンになっていたりした。GeForce RTX 3070 Noctua Editionのトピックは、一般的にはそのままではビデオカードに採用されてない120mm角ファンを装備していて、なおかつそれが定評のある「NF-A12x25 PWM」となっている点だ。

 NF-A12x25 PWM自体は2018年に登場したファンなのだが、引張強度や熱膨張係数に優れる液晶ポリマー素材「Sterrox」ファンブレードの採用により、ブレードとフレームの隙間をわずか0.5mmにまで縮め、ブレードとフレームの隙間から漏れてしまう風を低減させている。これにより一般的なファンよりも高い性能を実現したのだ。

 GeForce RTX 3070 Noctua Editionではこのファンの採用のみならず、ヒートシンク部も特注となっており、ヒートシンクだけで2スロットほど消費する、厚みのあるものとなっている。また、ヒートパイプ配置とフィン密度も、NF-A12x25 PWM向けに最適化している。これにより低騒音駆動を実現しつつ、GPU温度も抑えている。

製品パッケージ
パッケージを開けると保証書や説明書などが
その下にASUS GeForce RTX 3070 Noctua OC Editionが鎮座
手にしただけで感無量だ
4.3スロット消費する。吸気スペース考えると、実質5スロット消費だ
端子にはあらかじめカバーが装着されている
液晶ポリマー素材「Sterrox」採用ファン「NF-A12x25 PWM」
NF-A12x25 PWMと並べてみたところ
若干GeForce RTX 3070 Noctua OC Editionの方が明るい色な気もするがおそらく気のせい……
ヒートシンクも特製。間から覗けるパーツも美しい
ヒートシンクは3ピース構成
バックプレートもブラウンで統一されている
タンタルコンデンサの部分はくり抜かれている
ストライプのアクセントが入っていてなかなか見応えある。バックプレートの一部がくり抜かれ、ファンの風がそのまま通り抜けるようになっているのは、GeForce RTX 30世代で他社含めて多く見られるようになった設計だ
電源ピンは8ピン×2。デュアルBIOSで、PモードとQモードを切り替えできる
存在感抜群な本体
側面もASUS×Noctuaのロゴ。ファン側でなくても見た目を楽しめる
ヒートシンクカバーはラメ入りのダークブラウン。金属プレートによる装飾で、デザインに抜かりはない
ネジ1本のところまでディテールが入っている
ファンは4ピンタイプで別基板と接続し、その別基板からまたメイン基板にケーブルで接続されている
ステンレススチール304によるバックプレートは剛性抜群。ポートはHDMI×2、DisplayPort×3の構成だ
どこからどう眺めても最高である

 実際に本機をPCに組み込んでゲームをプレイしたりしてみたが、GPU温度は60℃が上限といったところで、その状態においてもGPUファン回転速度は900~1,150rpm程度と、12cm角ファンとしては十分静音動作を実現できるレベルに留まり、騒音が気になることはまったくなかった。

 なお「OC」と製品名に入っていることからわかる通り、本製品はオーバークロックされており、BoostクロックはGaming modeで1,815MHz、OC modeで1,845MHzとなっている。基板はもちろんASUSオリジナルで、自動製造化プロセスの「オートエクストリームテクノロジー」などが採用されていたりするのだが、それ以外は普通の3070だ。

Ryzen Threadripper PRO 3975WXの環境でのTime Spyの結果。このベンチマークはRyzen Threadripper環境のデフォルトではスコアが低く出るので、ご参考程度まで
Final Fantasy XVプレイ中のファン回転速度とGPU温度/電力の関係。電力が230W程度に達したとしても、ファンの回転速度は1,150rpm程度に収まっている

 ちなみにNoctuaと言えば、渋いブラウンのカラーリングも特徴ではあるのだが、本機もその特徴をそのまま踏襲している。ヒートシンクカバーはかなり濃いダークブラウンで、ラメが入っているほか、V字型の金属プレートや、NoctuaおよびASUSのロゴ入りプレートが表面に貼られているなど、かなり上品に仕上げられている。

 側面は「GEFORCE RTX」の刻印のほか、これまたASUS×Noctuaのプレートが入っている。背面のバックプレートも同様、ダークブラウンのヘアライン仕上げで、アクセントにストライプが入っているなど、唯一無二のテーマで統一されている。筆者はこれまでASUSのビデオカードを多数見てきており、そのいずれも高い完成度で、クラフトマンシップが感じられるものだと評してきたが、GeForce RTX 3070 Noctua Editionに関してはまさにそれを究極にまで推し進めたものだと評してもいい。

 今回、Noctuaのケースファン「NF-A12x25 PWM」を3基、「NF-A14 PWM」を3基、CPUクーラー「NH-U14S TR4-SP3」を用意し、Ryzen Threadripper PROのシステムを構築してみたが、組んでみた後、テーマの統一感に改めて圧倒された。RGBで派手に光らせて眺めるのもいいのだが、ケースの中で至高とも言えるNoctuaファンとビデオカードが密かに動作しているのを心の中で想像しながら喜べるのも、自作PCならではの醍醐味だ。

編集長がNoctuaのファン全部買っていいよと言ってくださったので、Noctua一式そろえてみた。ブラウンのパッケージが勢揃い
至高のファンが揃った
Noctuaのファン自体独特な色で目立つが、それでもビデオカードの存在感が群を抜いている
Noctuaの空冷CPUクーラーは簡易水冷に劣らず冷却性能が高い。ネジもビシッと留まる精度の高さで、一度手にすると忘れられない存在
派手さはないが、優越感が半端じゃない。自作PCの佳境に行けた感じがする

 あえて本機の弱点を挙げるとすれば、RTX 3080 Tiや3090といった最強クラスではないことや、13万円という強気の実売価格だが、発熱とのトータルバランスや唯一無二であることを考えればそれでも即買いレベルだとは思う。ASUSのこの手のカードは1世代1製品限りであることも多いのでなおさらだ。

 ちなみこのカード、筆者も購入するかどうかかなり迷った。今回はお借りしたのでASUSに返却しなければならないわけだが、実物を手にしてみてやっぱり欲しいと思うも後の祭り。もう少し潤沢になってくれれば……と切に願うのであった。