パソコン工房新製品レビュー

17万円台でいい感じに遊べるゲーミングノート

~パソコン工房「LEVEL-15FX157-i7-PKSX」

パソコン工房「LEVEL-15FX157-i7-PKSX

 パソコン工房の「LEVEL-15FX157-i7-PKSX」は、144Hz駆動の液晶パネルとGeForce RTX 5050 Laptop GPUを採用したLEVEL∞ブランドの15.6型ゲーミングノート。20万円を切る価格で最新のエントリークラスGPUを搭載したゲーミングノートPCの実力がいかほどのものなのか、その機能とパフォーマンスをチェックしてみた。

GeForce RTX 5050 Laptop GPUを搭載する15.6型ゲーミングノート

 パソコン工房の「LEVEL-15FX157-i7-PKSX」は、ゲーミングブランドであるLEVEL∞に属する15.6型ゲーミングノートで、Intelの16コア/24スレッドCPU「Core i7-14650HX」と、NVIDIAのエントリークラスGPU「GeForce RTX 5050 Laptop GPU」を搭載している。

パソコン工房の15.6型ゲーミングノート「LEVEL-15FX157-i7-PKSX」
本体カラーはマットブラックで、シックなデザインが印象的

 15.6型のディスプレイには144Hz駆動のフルHD液晶パネルを採用。そのほか、メインメモリに16GB(8GB×2)のDDR5メモリ、システムストレージにPCIe 4.0 x4接続の1TB NVMe SSDを搭載しており、Windows 11 Homeをインストールした標準構成の直販価格は17万9,800円に設定されている。

Intelの16コア/24スレッドCPU「Core i7-14650HX」
NVIDIAのエントリークラスGPU「GeForce RTX 5050 Laptop GPU」
【表1】iiyama PC LEVEL-15FX157-i7-PKSX
CPUCore i7-14650HX (8P+8Eコア/24スレッド)
dGPUGeForce RTX 5050 Laptop GPU
iGPUIntel UHD Graphics (CPU内蔵GPU)
メモリ16GB DDR5(8GB×2)
SSD1TB NVMe SSD
ディスプレイ15.6型フルHD液晶パネル(1,920×1,080ドット、144Hz)
有線LAN1GbE
無線機能Wi-Fi 7、Bluetooth 5
USBUSB 3.1×2(Type-C)、USB 3.1×1、USB 3.0×1
そのほかのインターフェイスヘッドセット端子、HDMI、Webカメラ(100万画素)
バッテリー駆動時間動画再生時=2.9時間、アイドル時=5.5時間(JEITA3.0)
ACアダプタ専用ACアダプター(180W)
OSWindows 11 Home
本体サイズ/重量約362×248×31.4mm/約2.3kg
通常価格17万9,800円~
天板。装飾はLEVEL∞ロゴのみというシンプルなデザインだ
底面。中央部から背面側に通気口を設けており、前面側の両サイドにスピーカーを搭載
ディスプレイを閉じた状態。筐体サイズは約362×248×31.4mm
ディスプレイを最大限に開いた状態

 15.6型の内蔵ディスプレイは非光沢仕様の液晶パネルを採用。画面解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)で、リフレッシュレートは144Hz。標準の動作設定ではCPUの内蔵GPU(iGPU)「Intel UHD Graphics」経由で接続されており、可変リフレッシュレートが有効になっていた。

内蔵ディスプレイは、144Hz駆動に対応する15.6型フルHD液晶パネルを採用
内蔵ディスプレイはIntel UHD Graphics経由で接続されている
iGPUの機能によって可変リフレッシュレートが有効になっていた

 なお、LEVEL-15FX157-i7-PKSXはGPUスイッチ機能を備えており、ユーティリティの「Control Center」でディスクリートGPUのみを選択することで、iGPUを経由することなくGeForce RTX 5050 Laptop GPUから直接内蔵ディスプレイに映像を出力できる。

 ディスクリートGPU(dGPU)のみを利用した場合、iGPUを経由することで生じるパフォーマンスのロスを最小限に抑えられるが、iGPU由来の機能が利用できなくなるほか、dGPU直結では内蔵ディスプレイの可変リフレッシュレート機能が利用できないなどのデメリットがある点には注意したい。

Control CenterのGPUスイッチ機能で、ディスクリートGPUのみを選択するとiGPUが無効になり、dGPUの性能を最大限に発揮できる
dGPUのみを選択した場合、iGPU由来の機能が利用できなくなるほか、内蔵ディスプレイの可変リフレッシュレート機能も利用できない

 USBポートをはじめとするインターフェイスは本体両側面と背面に配置されている。左側面はセキュリティロックスロット、USB 3.0、ヘッドセット端子。右側面はUSB 3.12、USB 3.1 Type-C。背面は有線LAN(1GbE)、HDMI、電源入力、USB 3.1 Type-C。

 背面のHDMIポートはGeForce RTX 5050 Laptop GPUに接続されており、内蔵ディスプレイのようにiGPUを経由することなく外部ディスプレイに映像を出力できる。

 また、Type-C形状のUSB 3.1ポート2基はDisplayPort Alt Modeに対応しており、これらはiGPUであるIntel UHD Graphics経由で映像を出力することが可能なのだが、GPUスイッチによってiGPUが無効になっていると映像出力機能も無効になる。

左側面。セキュリティロックスロット、USB Type-A、ヘッドセット端子
右側面。USB Type-A、USB Type-C
背面。有線LAN(1GbE)、HDMI、電源入力、USB Type-C

 キーボードはテンキー付き日本語配列で、一部に狭小なキーが配置されているが、主要キーについては18.2mmほどのキーピッチが確保されている。各キーにRGB LEDバックライトを採用しており、ユーティリティの「Control Center」を利用することで発光色を変更できる。

 キーボード右上には電源スイッチが配置されているほか、パームレスト部にはボタン一体型のタッチパッドを搭載。タッチパッドはマルチタッチに対応しており、ジェスチャー操作が可能。

テンキー付きの日本語配列キーボードを採用。右上に電源スイッチ、パームレスト部にタッチパッドが配置されている
主要なキーのキーピッチは18.2mmほど
ボタン一体型のマルチタッチ対応タッチパッド
キーボードの各キーはRGB LEDバックライトを備えている
バックライトのカラーはユーティリティ「Control Center」で変更可能

 LEVEL-15FX157-i7-PKSXの内蔵バッテリはリチウムイオンバッテリで、バッテリ駆動時間はJEITAバッテリ動作時間測定法(Ver.3.0)準拠で動画再生時2.9時間、アイドル時でも5.5時間とされている。

 付属のACアダプタは180W対応品で、突起部を除くアダプタのサイズは実測で約113.7×64.7×23.1mm。ケーブル込みの重量は500gを下回っており、携帯性に優れている。

LEVEL-15FX157-i7-PKSX付属のACアダプタ。180W(20V/9A)の出力が可能
ACアダプタの重量はケーブル込みで500gを下回る

LEVEL-15FX157-i7-PKSXのパフォーマンスをチェック

 ここからは、LEVEL-15FX157-i7-PKSXのパフォーマンスをベンチマークテストやゲームを用いて検証する。

 テスト環境は以下の通りで、室温約25℃の室内で計測を行なった。なお、LEVEL-15FX157-i7-PKSXの性能を最大限に発揮できるよう、テスト実行時はACアダプタを接続。さらに、ユーティリティのControl Centerで、動作モードを「パフォーマンス」、GPUスイッチを「ディスクリートGPUのみ」に設定している。

【表2】テスト環境
CPUCore i7-14650HX(8P+8Eコア/24スレッド)
動作モードパフォーマンス/ディスクリートGPU(Control Center)
CPU動作リミットPL1=135W、PL2=155W、Tau=96秒、TjMax=100℃
dGPUGeForce RTX 5050
dGPUドライバGame Ready Driver 581.42(32.0.15.8142)
メモリ16GB DDR5(8GB×2)
システム用SSD1TB NVMe SSD
OSWindows 11 Pro 24H2(build 26100.6725、VBS有効)
電源設定電源モード「バランス」、電源プラン「バランス」
計測HWiNFO64 Pro v8.30、FrameView v1.6
室温約25℃

基本的なベンチマークテストの結果

 まずは、PCの基本的なベンチマークテストの結果をまとめて紹介する。

 LEVEL-15FX157-i7-PKSXが搭載するCPUのCore i7-14650HXは、ノートPC向け14世代Coreプロセッサ(Raptor Lake-HX Refresh)がベースの旧世代製品ではあるのだが、Cinebenchのスコアはシングル・マルチともに優れている。このクラスのゲーミングPCとしては、かなりパワフルなCPUを搭載していることが伺える。

 また、GPUのGeForce RTX 5050 Laptop GPUはエントリークラスではあるものの、Blender BenchmarkやUL ProcyonのAI Vision Benchmarkでは、CPUを大きく上回るパフォーマンスを発揮できる実力を備えている。

Cinebench 2024
Cinebench R23
3DMark「CPU Profile」
UL Procyon「Office Productivity Benchmark」
Blender Benchmark
HandBrake「動画エンコード」
UL Procyon「Photo Editing Benchmark」
Adobe Camera Raw「RAW現像」
Adobe Camera Raw「AIノイズ除去」
UL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」│Windows ML
UL Procyon「AI Computer Vision Benchmark」│OpenVINO/TensorRT

3DMarkのゲーム系ベンチマークテスト

 続いて、3DMarkのゲーム系ベンチマークテストの結果をまとめて紹介する。実行したのはSpeed Way、Steel Nomad、Port Royal、Solar Bay、Wild Life。

 LEVEL-15FX157-i7-PKSXが搭載するGeForce RTX 5050 Laptop GPUは、エントリークラスのGPUではあるものの、その性能はミドルレンジGPUに近い実力を備えたGPUであり、各テストでは旧世代のミドルレンジGPU搭載ゲーミングノートPCに匹敵するスコアを記録している。

3DMark「Speed Way」
3DMark「Steel Nomad」
3DMark「Port Royal」
3DMark「Solar Bay」
3DMark「Wild Life」

実際のゲームを使ってパフォーマンスを計測

 一通りベンチマークテストの結果を紹介したところで、ここからは実際のゲームを使って計測したLEVEL-15FX157-i7-PKSXのパフォーマンスを紹介する。

 テストしたゲームは「VALORANT」「モンスターハンターワイルズ」「オーバーウォッチ 2」「エーペックスレジェンズ」「フォートナイト」の5本。

VALORANT

 VALORANTでは、グラフィックス設定を可能な限り高く設定し、射撃場の全景が見渡せるCPU負荷の高い場所でフレームレートの計測を行なった。

VALORANT

 LEVEL-15FX157-i7-PKSXが記録した平均フレームレートは254.4fps。これは内蔵ディスプレイのリフレッシュレートである144Hzを大きく上回るものであり、ディスプレイの表示性能を最大限に生かしたプレイが可能だ。

モンスターハンターワイルズ

 モンスターハンターワイルズでは、グラフィックスプリセットを「中」、レイトレーシングを「中」、超解像を「DLSS(パフォーマンス)」に設定し、DLSS 4によるフレーム生成を有効にした場合と無効にした場合のフレームレートを計測した。

モンスターハンターワイルズ

 計測された平均フレームレートは、フレーム生成無効時が51.0fps、フレーム生成2xモードで90.8fps、3xモードで121.8fps、4xモードでは151.8fpsだった。

 フレーム生成なしでも十分にプレイ可能なパフォーマンスが得られており、3xや4xのマルチフレーム生成を利用すれば、144Hz駆動の内蔵ディスプレイによるなめらかな映像を楽しめる。

オーバーウォッチ 2

 オーバーウォッチ 2では、グラフィックスプリセットを最高の「エピック」と、それに準ずる「ウルトラ」に設定し、カスタムマッチ実行中の平均フレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIはDirectX 12で、上限フレームレートは600fps。

オーバーウォッチ 2

 計測の結果、ウルトラ設定時の平均フレームレートは192.7fpsで、エピック設定時は122.0fpsだった。エピック設定で144Hz以上を維持するのは難しいが、多少画質設定を調整すれば、内蔵ディスプレイの144Hzを上回るフレームレートを維持することができそうだ。

エーペックスレジェンズ

 エーペックスレジェンズでは、グラフィックス設定をできる限り高く設定し、射撃訓練場でフレームレートを計測した。グラフィックスAPIはDirectX 12で、上限フレームレートは300fps。

エーペックスレジェンズ

 計測された平均フレームレートは175.4fpsで、ほとんどの場面で内蔵ディスプレイの144Hzを超えるフレームレートで動作していた。

フォートナイト

 フォートナイトでは、Naniteを「オフ」、アンチエイリアスを「TAA」、グラフィックスAPIを「DirectX 12」に設定。リプレイ機能を使用して、3種類のグラフィックスプリセット(中、高、最高)でフレームレートを計測した。

フォートナイト

 計測されたフレームレートは、中設定で196.5fps、高設定で127.9fps、最高設定で95.3fpsだった。画質設定次第では内蔵ディスプレイの144Hzを上回るフレームレートの維持が可能だ。

LEVEL-15FX157-i7-PKSXの冷却性能をテスト

 最後に、LEVEL-15FX157-i7-PKSXの冷却性能を高負荷テストの結果から確認してみよう。

 負荷テストとして用いたのはCinebench 2024の「CPU(Multi Core)」と3DMark「Steel Nomad Stress Test」で、計測時の室温は約25℃。テスト実行中のモニタリングデータ取得には「HWiNFO64 Pro」を使用した。

Cinebench 2024実行中のモニタリングデータ

 Cinebench 2024実行中のCPU温度は平均88.8℃(最大98℃)を記録しており、これはTjMaxの100℃を下回っている。ただ、動作モードをパフォーマンスに設定したLEVEL-15FX157-i7-PKSXでは、CPUコア温度が93℃を超えるとサーマルスロットリングが動作するよう調整されているため、高負荷動作中はサーマルスロットリングが動作している。

 なお、テスト中に何度か生じている大幅なスロットリングについては、電力リミットスロットリング(PL1)が動作した結果であると検出されており、電力管理上の都合によって生じているものであるようだ。

3DMark「Steel Nomad Stress Test」実行中のモニタリングデータ

 3DMark実行中のGPU温度は平均71.9℃(最大74.1℃)となっており、これはGPUの温度リミットである87℃を下回っている。モニタリングデータ上でも、GPUクロックとVRAMクロックはほとんど変動することなく推移しており、長時間の高負荷動作でも安定したパフォーマンスを維持している。

 ここまでCPUとGPUの性能を引き出せるLEVEL-15FX157-i7-PKSXの冷却性能は優秀なものであると言えるが、これは動作モードをパフォーマンスに設定しているからこそのものであり、引き換えに大きなファンノイズが生じる。動作モードの変更によって静粛性重視の動作も可能だが、性能を求めるならヘッドセットを利用するなどの騒音対策を検討したい。

ゲームを楽しむのに十分な性能を備えるゲーミングノート

 GeForce RTX 5050 Laptop GPUを搭載するLEVEL-15FX157-i7-PKSXは、フルHD解像度で多くのゲームをプレイできる実力と144Hz駆動の内蔵ディスプレイを兼ね備えており、しっかりゲームを遊べるノートPCを求めているユーザーに好適な1台だ。

 また、標準構成時の直販価格が179,800円であるため、購入時にメモリ容量を16GBから32GBにアップグレードした場合でも20万円以下で入手できる。予算20万円でできるだけ高性能なノートPCを探しているなら、LEVEL-15FX157-i7-PKSXを選択肢に加えることをおすすめしたい。