パソコン工房新製品レビュー
大きすぎず小さすぎずのちょうどよいスリムPCを見つけた!
~パソコン工房「STYLE-S2A6-R87G-EZ4X」
2025年2月17日 10:00
Windows 10のサポート終了が迫っており、Windows 11に対応しない古いPCを使っている場合は買い換えを検討しなければならない。ただ、用途を考えるとミドルタワーのデスクトップPCは持て余すし、置き場所もない。かと言って、今まで使ってきた大型の液晶モニターや優れたキーボード、マウスに愛着があるのでノートPCにもしたくない。
こうした「ちょうどよいサイズのデスクトップPC」が欲しいユーザーに向いているのが、今回紹介するパソコン工房のスリムデスクトップPC「STYLE-S2A6-R87G-EZ4X」だ。IntelやAMDの最新プラットフォームに対応して性能は十分、しかもコンパクトなスリムタイプなので机の上に置いても邪魔になりにくい。直販価格は13万4,800円だ。
省スペースで置き場所を選ばないスリムタイプデスクトップPC
置き場所を選ばないコンパクトなデスクトップPCとして、スリムタイプは根強いニーズがある。ミドルタワーやミニタワータイプよりも薄型で小さく、設置面積も小さくて済むほか、デスクトップPC向けのCPUや各種パーツを利用できるため、インターフェイスや拡張性が充実しているからだ。
特に最新のCPUやマザーボードの機能は、Windows 10が登場した頃の古いPCと比べると大きく底上げされている。ビデオカードやネットワークカード、あるいはUSB 3.2 Gen 2ポート拡張カードを追加して機能を強化した古いPCより、今回紹介するSTYLE-S2A6-R87G-EZ4Xのような最新PCのほうが快適、ということも多い。なるべく安くWindows 11へ乗り換えたいなら、検討する価値はある。
このSTYLE-S2A6-R87G-EZ4Xは、同社の新型筐体を採用するスリムタイプのデスクトップPCで、幅は9.5cm、奥行きは33.7cm、高さは32.9cmだ。従来モデルと比べると奥行きは6.6cm短くなり、高さも3.4cm低く、容積は26.5%小さくなったという。手持ちの27型液晶モニターと比べても高さは低く、左右に置いても邪魔には感じなかった。
省スペースという意味ではノートPCのほうが優れている。また、ノートPCでも今まで使ってきたお気に入りのキーボードやマウス、液晶モニターは利用できる。しかし、ノートPCでは机の上に平面的な設置スペースがある程度必要になるため、使用中はそれなりに場所を取る。
持ち歩いて使う機会がないなら、なおさらもったいないと感じることだろう。液晶モニター脇のスペースを少し確保すればよいSTYLE-S2A6-R87G-EZ4Xのコンパクトさは、特に今までデスクトップPCを使ってきたユーザーにとっては魅力的に感じるはずだ。
今回試用したのは、CPUにRyzen 7 8700Gを搭載するモデルだ。このほかにも、Intelの第12/13/14世代CoreシリーズやAMDのRyzen 4000/5000/8000Gシリーズを採用するモデルを用意するが、BTOメニューで選択できる中では最も性能が高いモデルとなる。後述するが、実際のベンチマークテストでもかなり高いスコアを示しており、サクサクと操作できた。
STYLE-S2A6-R87G-EZ4Xのスペック | |
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CPU | Ryzen 7 8700G(8コア/16スレッド) |
メモリ(空きスロット) | DDR5 SDRAM 8GB 2基(なし) |
ストレージ | 500GB SSD(PCIe 4.0対応) |
OS | Windows 11 |
拡張ベイ | 2.5インチシャドウ 2基 |
主なインターフェイス | USB 3.2 Gen 1 Type-C、USB 3.2 Gen 1 4基、USB 2.0 4基、DisplayPort、HDMI、Gigabit Ethernet |
本体サイズ | 約95×337×329mm |
直販価格 | 13万4,800円 |
試用機のメモリは16GB、ストレージは500GB。ストレージの容量はイマドキのニーズを考えると少々心もとないが、STYLE-S2A6-R87G-EZ4Xでは充実したBTOメニューを用意しており、こうした部分を簡単に補える。たとえば、メモリは最大64GBまで、システムストレージも1TBまで強化できる。
前面のドライブベイを利用すればスリムタイプの光学ドライブを追加でき、書き込み可能な光学メディアを利用してデータのやり取りを行なったり、市販BDを再生したりできる。保障サービスを強化したり、Microsoft Officeなどのよく利用するアプリを追加したりすることも可能だ。
こうした本体の基本スペックやソフトウェアだけではなく、パソコン工房がラインナップする優れたiiyama製の液晶モニター、別メーカーの高画素のWebカメラやヘッドセット、スピーカー、ネットワーク機器などさまざまな周辺機器も、BTOメニューから選択して購入できる。Windows 10で利用してきたPC周りの古い環境を、まとめてアップグレードするのもよいだろう。
内部はスッキリして拡張は容易、基本性能の高さも光る
筐体は基本的にスチール製だが、前面パネルはプラスチック製だ。ここにはUSB 3.2 Gen 1ポートとUSB 2.0ポートを2基ずつ装備するほか、スリムタイプの光学ドライブ用のベゼルもある。
背面にはDisplayPortやHDMIといった映像出力端子のほか、USB 3.2 Gen 1ポートやUSB 2.0ポート、Gigabit Ethernetポートを装備する。1基装備するType-Cには映像出力機能はなく、マルチモニターは2画面までの対応となる。突出した機能はないものの、必要な機能は過不足なく備える構成だ。
左側板(縦置き時)のCPUクーラー付近は、広い範囲でメッシュ構造になっており、外気を取り込んでCPUを冷却しやすい。また前面スリットの内側には8cm角ファンが排気方向に組み込まれていた。左側面から外気を取り込み、前面から排気するというちょっと変わったエアフローだ。
左側板は背面から2本のインチネジで固定されている。側板を外して内部を見ると、チップセットにAMD A620を搭載するマザーボードやCPU、CPUクーラーなどが組み込まれているのが分かる。光学ドライブ用のベイは前面方向からネジ止めされており着脱できる。配置は平面的で隠れている場所も少なく、拡張カードの組み込みやメンテナンスは楽に行なえそうだ。
今回の検証では、いくつか基本的なベンチマークテストを実行してみた。PCの基本性能をスコアで評価できる「PCMark 10」の総合スコアは6,849と、7,000に近いレベルにまで到達している。ビデオカードを組み込まないPCの中ではトップクラスだ。DisplayPortとHDMIはどちらも4K(3,840×2,160ドット)解像度で60Hzの出力に対応しており、4Kモニターを快適に利用できる。
グラフィックス描画を計測できる「3DMark」のスコアも高かった。Ryzen 7 8700Gを組み込んだシステムの検証は本誌でも行なわれているのでこれ以上深掘りはしないが、グラフィックス描画の負荷が低いちょっと古めのFPSゲームやレーシングゲームなら、普通に楽しめるレベルの性能はある。
3DMark 各テストのスコア | |
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Time Spy | 2,112 |
Fire Strike | 4,447 |
Night Raid | 22,977 |
また、Ryzen 7 8700Gが内蔵するGPUは、最近行なわれたデバイスドライバのアップデートによってフレーム補完機能にも対応するようになっており、魅力はさらに増している。
スリムタイプデスクトップPCの魅力を再発見
デスクトップPCと言えば、大型のミドルタワーケースを採用するゲーミングPCを想像する人は多いだろう。STYLE-S2A6-R87G-EZ4Xのようなスリムタイプは、オフィスに大量導入される低価格モデルが主流で、一般ユーザー向けのモデルは種類も少なくなっている。
しかし、スリムタイプはインターフェイスや拡張性がミドルタワーケースのデスクトップPCに近いレベルにあり、しかも置き場所を選ばず利用できる。STYLE-S2A6-R87G-EZ4Xは、そうしたスリムタイプデスクトップPCの魅力を再発見させてくれる優れたPCと言ってよいだろう。
また、今回試用したRyzen 7 8700G搭載モデルは、ほかのモデルと比べるとグラフィックス性能が特に高く、前述の通りちょっとしたゲームなら設定次第で普通に遊べる。軽作業を中心としたテレワーク用のPCとしてだけではなく、ちょっとした息抜きも楽しめるため、Windows 10を搭載する古い自宅PCの更新を考えているユーザーなら、特にお勧めしたい。