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終わり近づくWindows 10搭載PC、UbuntuとChromeOSでまだ戦えるかも!

 2025年10月にWindows 10のサポートが終了した。しかしMicrosoftは、条件付きでWindows Updateによるセキュリティアップデートを継続できる「Extended Security Updates」(ESU)を提供しており、ひとまず2027年10月まではWindows 10搭載PCを利用できる。

 ただ、現時点でごく普通に使えているPCが、1年後にはサポートが終了してしまうという状況だ。そうしたPCの中には、Windows 11の要件を満たしておらず、アップグレードができないものもある。メモリやSSDの価格高騰でPCの買い替えや自作PCの組み替えが難しくなっている今、そう簡単にはWindows 11に移行できないというユーザーもいるだろう。

 今回はそういったユーザーに向けて、Windows 11以外のOSを使ってPCを延命する選択肢をご紹介したい。Windows 11未対応PCにインストールでき、無料で利用できるUbuntuやChromeOS FlexといったOSを取り上げ、その特徴や導入方法、どんなユーザーに向いているかなどを解説していこう。

【Ubuntu】多機能でWindows 10から移行しやすい

 UbuntuはLinuxをベースにしたディストリビューションの1つだ。誰にでも使いやすいOSを目指し、WindowsやmacOSのような分かりやすいデスクトップや、アプリの管理システムを組み込んでいるのが特徴になる。セットアップ時にWebブラウザやビジネス用アプリなど、Windowsユーザーがよく利用しているアプリをまとめてインストールするオプションを用意している。

 実際に試してみると分かるが、デスクトップやアプリアイコンが並ぶ左のバーの構造、アプリの起動方法などはWindowsやmacOSによく似ており、Windows 10から移行するユーザーにとってはかなり馴染みやすい。

WindowsやmacOSと似たデスクトップ構成
Ubuntuのデスクトップだ。左に並ぶアプリアイコンをクリックするとアプリが起動するという流れは、Windows 10と似ている
左下にあるボタンをクリックすると、インストールされているアプリのアイコンを表示する。アプリを起動したり検索したりできるスタートメニューに近い
アプリセンターから各アプリを検索してインストールできる

 Windows 10から移行を考える場合、今まで利用してきたファイルを同じように扱えるかどうかが重要になる。特にビジネス書類の扱いが気になるユーザーは多いだろう。Ubuntuでは、WordやExcel、PowerPointなどのファイルを開くために「LibreOffice」というオフィスアプリをセットアップ時に選択してインストールできる。

 LibreOfficeではファイル名や拡張子を変更することなく、WordやExcelのファイルを開ける。一部のマクロや高度な関数には非対応で、表示のズレが生じることもあるようだが、筆者が作成するようなシンプルな文書なら問題はなかった。加えてMicrosoftは、Webブラウザ経由で使えるWordやExcel、PowerPointも提供しているので、厳密な表示や操作感の統一を重視するなら、こちらも検討すると良いだろう。

Office系ファイルも扱える
Excelファイルでは、下地の色やタブなどもきちんと認識している
Webブラウザ経由で使えるMicrosoftのOfficeアプリを利用してもよい

 PDFやテキストファイル、動画ファイルや音楽ファイルを開くためのアプリは標準のものが存在するのでそれを利用しよう。Windowsのエクスプローラーに相当するファイルブラウザーもあり、ネットワークドライブへのアクセスもこのアプリから行なえる。左にフォルダーツリー、右にフォルダーの中身を表示するというスタイルもエクスプローラーに似ており、操作に悩むことはない。

 またUbuntuではセットアップ時の選択でインストールできるFirefoxだけでなく、さまざまなWebブラウザが利用できる。Google ChromeやMicrosoft EdgeもUbuntu向けのものが用意されており、お気に入りやブックマーク、各WebサイトのIDやパスワードをそのまま引き継げる。加えてある程度制限はあるものの、SteamをインストールしてPCゲームも楽しめるため、Windows 10からの移行という意味ではハードルがかなり低い。

ChromeはもちろんSteamのゲームも遊べる
ChromeはGoogleのWebサイトからダウンロードしてインストール可能
なんとSteamが起動でき、PCゲームがプレイできる

【Ubuntu】最新版をインストールしてみよう

 ここからは、UbuntuをPCにインストールするまでの手順を紹介していこう。Ubuntuは「Canonical」という企業が開発・管理を行なっており、インストール用のファイルもCanonicalのWebサイトから取得できる。

 まずはUbuntuをセットアップするためのISOファイルをダウンロードしよう。今回は長期サポート対応の「Ubuntu Desktop 26.04.1 LTS」で検証したが、最新の「Ubuntu Desktop 26.10」でも作業の流れは同じだ。

 光学ドライブを持っているなら、そのISOファイルをDVDメディアに書き込むことで、セットアップ用DVDメディアを作れる。しかし今は光学ドライブがないという人も多いだろう。今回は、起動可能なUSBメモリを作れる「Rufus」というツールを使ってUbuntuセットアップ用のUSBメモリを作り、Ubuntuをインストールしていこう。

セットアップ用USBメモリを作成
CanonicalのWebサイトにある「ダウンロード」タブをクリックすると、Ubuntuのダウンロードページに移動する。ここで「Ubuntu Desktop」にある「ダウンロード」ボタンをクリックして、ISOファイルをダウンロードする
Rufusの最新版をダウンロードして起動したら、容量が8GB以上のUSBメモリをPCに挿す。上から2段目にある「選択」ボタンから先ほどダウンロードしたISOファイルを指定して「開く」ボタンをクリック
画面下にある「スタート」ボタンをクリックするとUSBメモリに起動領域を作成し、Ubuntuのセットアップファイルをコピーする。書き込みモードは「ISOイメージモード」でOK
ファイルのコピーが終わると、「スタート」ボタンの上にある「準備完了」というバーが緑色に変わる。USBメモリをPCから抜いて、Ubuntuのインストールを始めよう

 先ほど作成したUSBメモリをWindows 10搭載PCに挿して起動し、Ubuntuをインストールする。自作PCではUEFIでデバイスの起動順序を変更し、USBメモリから起動できるようにしておくのも忘れずに。

 ノートPCではマニュアルをよく見て起動順序の設定機能を呼び出し、USBメモリから起動できるようにする。起動後は1つずつ質問に答えながらインストールするが、分かりやすい日本語設定が用意されているので特に問題はなく進められるはずだ。

Ubuntuをインストール
USBメモリから起動すると、このメニュー画面になる。Ubuntuをインストールする場合は一番上の「Try or Install Ubuntu」を選択した状態でEnterキーを押す
起動後にセットアップで使用する言語を「日本語」に設定。以降は利用しているキーボードの設定やインターネットへの接続設定を行なう
この選択肢では「Ubuntuをインストール」を選択しよう。内蔵SSDにUbuntuがインストールされる
アプリやドライバは最初からインストールしておくと楽なので、どちらにもチェックを入れよう
Ubuntuをインストールするパーティションを設定する画面。今回はSSDの領域をすべてUbuntuで利用する「ディスクを削除してUbuntuをインストールする」を選択した
Ubuntuで利用するアカウント名とパスワードを入力する
あとはしばらく待てばUbuntuのインストールが終わるので、PCを再起動する
PCを再起動後にアカウントとパスワード入力を行なうと、引き続き初期設定に入る。「Ubuntu Pro」は、Canonicalが提供する拡張セキュリティサービスのことだ。今回は試すだけなので利用しない
いくつかの初期設定を行なったあと、Ubuntuのデスクトップが表示される

【ChromeOS Flex】ネットサービスならだいたいOK、Google Playは非対応

 ChromeOS Flexは、「Chromebook」と呼ばれる低価格ノートPCにインストールされている「ChromeOS」を、一般的なPCで利用できるようにカスタマイズしたOSだ。こちらもGoogleが無料で配布しているため、Windows 11が利用できないPCを延命したい場合の選択肢の1つになる。

 ChromeOS Flexを起動すると、デスクトップとタスクバー(シェルフ)が表示される。シェルフのアイコンをクリックすると各アプリがウィンドウで表示されるのは、Windows 10やUbuntuと似ている。Webブラウザの「Chrome」、メールクライアントの「Gmail」、動画配信サービスの「YouTube」などは、シェルフから呼び出して利用できる。

ChromeOS Flexもタスクバーが設けられている
ChromeOS FlexをインストールしてChromeを開いた画面。デスクトップが表示され、シェルフとアイコンが並ぶ(今回セットアップしたデバイスでは左側にシェルフが配置されたが、下側や右側に配置することもできる)

 シェルフの「G」アイコンをクリックすると、インストールされているアプリなどが表示される。Windows 10のスタートメニューに近い機能といってよいだろう。Androidではおなじみの地図ソフト「Googleマップ」、Web会議ツールの「Google Meet」などが利用できる。

 WordやExcelなどで作成した書類は、ChromeのWebアプリとして提供されている「ドキュメント」や「スプレッドシート」などを利用して表示できる。また、Web版のMicrosoft Officeアプリで開くことも可能だ。マクロなどWeb版で非対応の機能を使っていない限り、表示の正確さはおおむね維持される。

おなじみのGoogleサービスが利用可能
Gアイコンをクリックすると、インストールされているアプリや設定などが一覧で表示される
WebアプリのスプレッドシートでExcelファイルを表示するとこんな感じ

 ただし、ファイルの扱いについては注意が必要だ。ChromeOS Flexは、Googleのクラウドサービス「Google Drive」上でファイルを扱う前提の設計で、ローカルドライブやネットワークドライブも使えるものの、Ubuntuと比べると自由度が低い。インターネット接続への依存度も高い。

 またAndroidに近い見た目ではあるが、Androidのアプリ配信システム「Google Play」には非対応だ。Windows 10やUbuntuのように、自分の好きなアプリを入れてカスタマイズすることは難しい。

 とはいえWebブラウザのChromeから、さまざまなネットサービスにアクセスすることは可能だ。各種動画配信サービスやMicrosoft Teams、Slackなどのコミュニケーションツール、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを利用したいときはChromeからアクセスすればよい。

Webブラウザ上で動くサービスなら問題なく使える
Webブラウザから利用できるユーザーインターフェイスが用意されているサービスであれば、Chromeからアクセスして利用できる

【ChromeOS Flex】リカバリ用USBメモリでセットアップ

 ここからはChromeOS FlexをPCにインストールしてみよう。ChromeOS Flexの配布サイトでは動作検証済みのモデルを紹介しているため、こちらのリストも参照しておきたい。またGoogleでは、ChromebookをリカバリするためのUSBメモリを作れるツールを配布しており、これをChromeOS Flexのセットアップ用USBメモリとして利用できる。

リカバリ用USBメモリの作成
Chromeの拡張機能からウェブストアにアクセスし「デバイスリカバリユーティリティ」を検索して表示。右上にある「Chromeに追加」ボタンをクリックして拡張機能に追加する
この拡張機能を起動すると、ChromebookをリカバリするためのUSBメモリを作成できる。「始める」ボタンをクリックする
デバイスの選択画面になる。ここでは「Chromebook」をクリックする
ここでは「リストからモデルを選択」をクリックする
「メーカーの選択」では「Google ChromeOS Flex」を選択、「製品を選択」では「ChromeOS Flex」を選択
表示がこうなっていることをよく確認して「続行」ボタンをクリックする
USBメモリの選択画面だ。USBメモリが正しく指定されていることをよく確認して「続行」ボタンをクリックする
最終確認画面だ。問題がなければ「今すぐ作成」ボタンをクリックしてリカバリ用USBメモリを作成する
リカバリ用USBメモリの作成が終わるとこの画面が表示される。USBメモリを抜いて「完了」ボタンをクリックする

 さきほど作成したリカバリ用USBメモリをWindows 10搭載PCに挿し、ChromeOS Flexを実際にインストールしていこう。インストール作業はきちんと日本語化されており、内容も分かりやすいので迷う部分はないだろう。

ChromeOS Flexのセットアップ
ChromeOS Flexのリカバリ用USBメモリから起動するとこの画面になる。英語表示になっている場合は言語選択を日本語にしよう
ChromeOS Flexを内蔵SSDにインストールするので「ChromeOS Flexをインストール」を選択して「次へ」ボタンをクリックする
内蔵SSDをフォーマットし、ChromeOS Flexのシステムファイルをコピーする。作業が終わったらUSBメモリを抜いて再起動する
再起動後、ChromeOS Flexをどのように利用するかの選択画面を表示する。今回は「個人での利用」を選択して「次へ」ボタンをクリックする
アップデートのインストールなどが終わると、アカウントの入力画面になる。必要な情報を入力していこう
これでChromeOS Flexのセットアップが終わり、デスクトップが表示される

低性能なCPUや4GBのメモリでも意外とちゃんと動いた

 ここでは実際の使用感をベースに、オススメの使い方を考えてみたい。今回の検証ではまず、Windows 10までの対応となる古い自作PCを引っ張り出して、Ubuntuをインストールした。Windows 10でも不満を感じない構成であり、快適に利用できた。構成は以下の通りだ。

  • CPU: Core i5-7600K
  • マザーボード: GA-Z170N-Gaming 5(Rev. 1.0)
  • メモリ: 8GB
  • ビデオカード: GeForce GTX 1050搭載カード

 ただ、この自作PCに対してChromeOS Flexをインストールしようとしたところ、セットアッププログラムが起動しなかった。どうやら今回のようにビデオカードを組み込んだ環境だとChromeOS Flexのインストールは難しいようだ。そこで急遽手元にある古めのノートPC(レノボのThinkPad T470s、A485、E560、X1 Carbon(初代)、およびYOGA 3 11)を充電して改めて作業したところ、どのノートPCでもUbuntuとChromeOS Flexを利用できた。

ビデオカードを組み込んだ自作PCもUbuntuで甦る

 かなり意外だったのが、スペックの低いPCでもそれなりに利用できたことだ。今回試用した中で一番古いのは2012年発売の初代ThinkPad X1 Carbonで、CPUはCore i5-3427U、メモリは4GBしか搭載していない。

 搭載OSがWindows 7のころのPCなのでこのスペックでもやむを得ないところはあるが、軽作業中心ならUbuntuやChromeOS Flexでもかなりイケた。もちろん使い込めば悩ましい部分は出てくるのだろうが、Chromeをベースに各種Webサービスを利用する程度ならまだ使えるのでは?という印象を持った。

手元にある壊れていないノートPCで一番古い初代「ThinkPad X1 Carbon」でも、UbuntuやChromeOS Flexならそれなりに利用できた

 2015年発売のYOGA 3 11も、搭載CPUはCore M-5Y70、搭載メモリはやはり4GBと最新PCと比べるとかなり貧弱なスペックだが、それなりに動いてしまう。そのほかのノートPCはこれら2機種より新しいCPUを搭載しており、搭載メモリも8GB/16GBと多めなので、かなり快適に利用できた。軽作業中心の使い方であれば、相当古いPCも復活できそうな感触がある。

 実際に試した感じでは、どちらを使ってもWindows 10搭載の古いPCの延命には役立ちそうだ。とはいえ、UbuntuとChromeOS Flexにはいろいろと違いがある。まず独立したPCとしてアプリなどを自由にインストールして使いたいなら、Ubuntuのほうがオススメだ。アプリやストレージの自由度は、Ubuntuのほうがはるかに勝る。

 ただ、こうした「不自由さ」がメリットになる場面もある。余ったPCを子どもや親に使わせることを考える場合、自由にあれこれカスタマイズしにくいChromeOS Flexのほうが適切ということもあるだろう。利用者と利用シーンに合ったOSを選択したい。