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10万円以下の「iPhone 17e」、15/16から乗り換えるべき理由と注意点

「iPhone 17e」9万9,800円から

 Appleのエントリーモデル「iPhone 17e」が3月11日より発売された。エントリー機ながらプロセッサには最新世代の「A19」を採用。メモリ価格が高騰する中、ストレージ容量256GBのモデルが9万9,800円に設定されており、iPhone 16eから最小のストレージ容量を倍増させつつ価格を据え置いた、実質的な値下げともいえる戦略的な価格設定である。

 とはいえ、約10万円という金額は、冷静に考えれば大きな出費だ。容易に購入を決断できるものではない。そこで今回は、iPhone 15やiPhone 16などのユーザーにとって、安価な選択肢として17eへの移行は「アリ」なのかという視点で検証する。併せて、上位モデルであるiPhone 17を選んだ方がよいケースについても検討したい。

ディスプレイ上面にはカメラ、TrueDepthカメラ、マイク、スピーカーを内蔵
このソフトピンク以外に、ブラック、ホワイトを用意
下面にはUSB-C、マイク、スピーカー、右側面にはサイドボタン、左側面にはアクションボタン、ボリュームボタンを配置
USB ACアダプタは別売り
本体の実測重量は168.22g

iPhone 17eのスペックアップとスペックダウンをどう捉えるか?

 まず、主なスペックの違いを確認する。機種変更先を17eと想定し、15および16それぞれとの主な差分をリストアップした。

【表1】iPhone 17eと15の違い
iPhone 17eiPhone 15
CPU A19A16 Bionic
メモリ 8GB6GB
ディスプレイ6.1インチOLED
2,532×1,170ドット
6.1インチOLED
2,556×1,179ドット
Dynamic Island 非搭載搭載
通信Wi-Fi 6Wi-Fi 6
SIMデュアルeSIM
(物理SIMスロットなし)
Nano SIM+eSIM
映像出力 非対応DisplayPort対応
カメラ広角、フロント 超広角カメラ、広角カメラ、フロント
バッテリ駆動時間 最大26時間(ビデオ再生時)最大20時間(ビデオ再生時)
Apple Intelligence 対応非対応
【表2】iPhone 17eと16の違い
iPhone 17eiPhone 16
CPU A19A18
ディスプレイ6.1インチOLED
2,532×1,170ドット
6.1インチOLED
2,556×1,179ドット
Dynamic Island 非搭載搭載
通信 Wi-Fi 6Wi-Fi 7
SIMデュアルeSIM
(物理SIMスロットなし)
Nano SIM+eSIM
映像出力 非対応DisplayPort対応
カメラ広角、フロント 超広角カメラ、広角カメラ、フロント
バッテリ駆動時間 最大26時間(ビデオ再生時)最大22時間(ビデオ再生時)
MagSafe/Qi2充電 最大15W最大25W

 比較項目を抜粋してもなお多岐にわたるが、重要なのは17eがエントリーモデルであるということ。スタンダードモデルと比較すると、16のみならず15からでもスペックダウンとなる項目が存在する。

 特に使い勝手に大きく関わるのは以下の4点だ。

  • Dynamic Island非搭載
  • 物理SIMスロットの廃止
  • DisplayPort(映像出力)非対応
  • 超広角カメラなし

 Dynamic Islandは、フロントカメラやFace ID用センサー部分を単なる切り欠きではなく楕円状の表示領域として活用し、その表示を拡大・縮小させることで、通知や進行中アプリの情報などを表示するUIのこと。これについては好みが分かれるし、物理SIMスロットの廃止も現在のスマートフォンの流れといえる。

 しかし、DisplayPort(映像出力)非対応となると、「XREAL One」などのディスプレイグラス(ARグラス)が利用できなくなる。また、超広角カメラがないことは、物理的に後ろに下がれない狭い場所での撮影において、構図が制限される。この2点を許容できないのであれば、17eを選択すべきではない。

iPhone 15から17eへの移行によりApple Intelligenceが利用可能に

 iPhone 15から17eへ移行する際の大きなメリットとして、「Apple Intelligence」への対応が挙げられる。

 Appleはこれまで、iPhoneに対して6〜7年間のメジャーアップデートを提供してきた。その慣例通りであれば、2023年発売の15には2029〜2030年までOSアップデートが提供される見込みだが、同モデルはApple Intelligenceには対応していない。17eへアップグレードすることで、最新のAI機能を利用可能になる点は大きな利点といえる。

 なお、16から17eへの移行を検討する場合、プロセッサがA18からA19へとアップグレードされる以外の大きなメリットはない。多くの機能はスペックダウンとなるため、ディスプレイの破損や紛失といった特殊な事情がない限り、16ユーザーが17eに積極的に乗り換える理由は見当たらない。

【表3】iPhone 17e/17/16/15の主なスペック
iPhone 17eiPhone 17iPhone 16iPhone 15
OSiOS 26
CPUA19A18A16 Bionic
メモリ8GB6GB
ストレージ256GB、512GB128GB、256GB、512GB
ディスプレイSuper Retina XDRディスプレイ(6.1インチOLED、2,532×1,170ドット)Super Retina XDRディスプレイ(6.3インチOLED、2,622×1,206ドット)Super Retina XDRディスプレイ(6.1インチOLED、2,556×1,179ドット)
通信Wi-Fi 6
Bluetooth 5.3
Wi-Fi 7
Bluetooth 6
Wi-Fi 7
Bluetooth 5.3
Wi-Fi 6
Bluetooth 5.3
WWAN5G(Sub6)
デュアルeSIM
5G(Sub6)
デュアルeSIM
5G(Sub6)
デュアルSIM(Nano SIM+eSIM)
インターフェイスUSB-C
(充電、USB 2)
USB-C
(充電、DisplayPort、USB 2)
カメラ●広角カメラ(48MP、F1.6、26mm、光学式手ぶれ補正)
●フロントカメラ(12MP、F1.9、オートフォーカス)
●広角カメラ(48MP、F1.6、26mm、センサーシフト光学式手ぶれ補正)
●超広角カメラ(48MP、F2.2、13mm)
●フロントカメラ(18MP、F1.9、オートフォーカス、センターフレーム)、マクロ写真撮影・空間写真対応
●広角カメラ(48MP、F1.6、26mm、センサーシフト光学式手ぶれ補正)
●超広角カメラ(12MP、F2.2、13mm)
●フロントカメラ(12MP、F1.9、オートフォーカス)、マクロ写真撮影・空間写真対応
●広角カメラ(48MP、F1.6、26mm、センサーシフト光学式手ぶれ補正)
●超広角カメラ(12MP、F2.4、13mm)
●フロントカメラ(12MP、F1.9、オートフォーカス)
バッテリ容量4,005mAh3,561mAh3,561mAh3,349mAh
バッテリ駆動時間ビデオ再生:最大26時間
ビデオ再生(ストリーミング):最大21時間
ビデオ再生:最大30時間
ビデオ再生(ストリーミング):最大27時間
ビデオ再生:最大22時間
ビデオ再生(ストリーミング):最大18時間
オーディオ再生:最大80時間
ビデオ再生:最大20時間
ビデオ再生(ストリーミング):最大16時間
オーディオ再生:最大80時間
本体サイズ146.7×71.5×7.8mm149.6×71.5×7.95mm147.6×71.6×7.8mm
重量169g177g170g171g
防水防塵性能IP68
Apple intelligence対応非対応
価格256GB版: 9万9,800円
512GB版: 13万4,800円
256GB版: 12万9,800円
512GB版: 16万4,800円
128GB版: 12万4,800円→11万4,800円
256GB版: 13万9,800円
512GB版: 16万9,800円
128GB版: 12万4,800円
256GB版: 13万9,800円
512GB版: 16万9,800円

 なお、機種変更における重要なポイントとして、ボディカラーについても触れておこう。Appleは同じカラー名であっても、世代によって色味が大きく異なる。今回の17eに用意された「ソフトピンク」は、桜の花びらを想起させるような色調だ。このカラーに魅力を感じたのであれば、ここまでの内容を度外視して17eを購入しても、後悔することはないはずだ。

製品パッケージ

ベンチマーク: iPhone 17eの性能はなかなか悪くない

 次は、定番の指標としてベンチマークスコアを確認する。今回計測したのはiPhone 17eのみ。15 Plus、16、17の数値は過去の記事から引用した。なお、iPhone 15については実機での計測を行なっていないため、チップ構成が共通で同等の性能を持つ「iPhone 15 Plus」のスコアを代用している。

CPU/GPU性能

CPU/GPUベンチマーク「Geekbench 6」

 まずCPU性能に注目すると、「Geekbench 6」において、17eは15 Plusと比較してシングルコアで約35.5%、マルチコアで約39.7%という大きなスコア向上を記録した。また、16との比較でもシングルコアで約5.7%、マルチコアで約11.2%向上している。さらに、17eと17のスコア差はほぼ誤差の範囲に収まっている。

 17eを15 Plusと比較した場合、マルチコア性能が重要となる動画の書き出しやエンコードといった重い処理において、処理時間の短縮により速度差を実感できるはずだ。

 一方、GPU性能についても15 Plus、16、17eと世代を追うごとにスコアが向上している。ただし、CPU性能の結果と大きく異なるのは17eと17の差だ。両モデルのGPUコア数の違いを反映し、17のスコアは17eの約119%に達している。クリエイティブ系アプリや3Dゲームなどでより高いパフォーマンスを求めるのなら、17eよりも17を選択すべきだ。

ストレージ性能

ストレージベンチマーク「Jazz Disk」

 もう1つ興味深いのが、15 Plusおよび16と、17eおよび17におけるストレージ速度の差だ。世代間で比較すると、シーケンシャルリードで約1.76倍、ライトでは約2倍もの速度差が付いている。

 これは17シリーズにおいて、最小容量が256GBへ引き上げられたことに伴うマルチチャネル化や、Apple Intelligenceの処理効率を高めるための新しいストレージアーキテクチャの採用が裏付けられた形だ。このストレージ速度の向上は、OS全体のレスポンス改善に寄与するだろう。

動画の書き出し

4K/60fps、5分の動画を「iMovie」で書き出したところ、2分56秒06で処理が完了した

 ベンチマーク以外でも17eの使い勝手を体感するため、5分間の4K/60fps動画を「iMovie」で書き出したところ、2分56秒06で処理が完了した。これは実時間の約58.7%という短時間で書き出しを終えている計算になる。並のノートPCを凌駕するほどのパフォーマンスを備えていることは、この結果だけでも明らかだ。

ゲーム性能

 3DアクションRPG「原神」も、画質「高」設定で快適に動作した。ディスプレイのリフレッシュレートが最大60Hzのため、Proシリーズほどのなめらかさは得られないが、現状のスマートフォン向けAAAタイトルであれば、極端な高負荷設定を除き、動作にストレスを感じる場面はほとんどないだろう。

3DアクションRPG「原神」も、画質「高」設定で快適に動作する

広角カメラはフラグシップクラスの品質、10倍ズームは実用的な画質

 カメラについては、今回はiPhone 17eのみでテスト撮影を行なった。桜の季節ながらあいにくの空模様であったため、発色は控えめだが、画質そのものは良好だ。解像感も高く、メインの広角カメラについてはフラグシップ機に迫る描写である。

リアカメラは広角カメラ(48MP、F1.6、26mm、センサーシフト光学式手ぶれ補正)を搭載

 特筆すべきは、10倍ズームの画質だ。48MPのイメージセンサーと、最新のA19による超解像技術の組み合わせにより、10倍ズーム時でも30インチ超のディスプレイでの鑑賞に耐え得る画質を維持している。実際の撮影画像を見ると、遠景にあるビルの壁面に掲げられた「SHIBUYA SCRAMBLE SQUARE」のロゴが、驚くほど鮮明に描写されている。17eの10倍ズームは、単なるスペック上の数値ではなく、実用的な画質を備えているといえるだろう。

作例
24MPモードで撮影
24MPモードで撮影
48MPモードの1倍で撮影
48MPモードの2倍で撮影
48MPモードの10倍で撮影

iPhone 17eを実際に使ってみてどう感じたか

 最後に、iPhone 17eを実際に使ってみた感想は、スマートフォンとしての操作感や使い勝手はProシリーズと比べても遜色ないということだ。17eに搭載された「A19」は、17 Proの「A19 Pro」よりGPUが2コア少ない4コア版だが、一般的な3Dゲームをプレイするかぎりでは差を感じない(もちろん、ゲーム側で画質が調整されていることも理由の1つ)。動画の書き出しなどでは有意な差が出るものの、同時に並べて比較して初めて気づく程度の違いだ。

 もうひとつの明確な違いとして、リフレッシュレートが17 Proの最大120Hzに対し、17eは60Hzに留まっている。しかし、6インチ程度の画面サイズでは、ユーザー体験を大きく変えるほどの差ではないと個人的には考える。画質自体はOLED(有機EL)ならではの鮮やかさを備えているのだから、一般的なアプリの利用やゲームプレイにおいては、十分に快適だと感じられるはずだ。

 16eから17eへの最大の進化点は、やはりMagSafeへの対応だ。筆者は16eを購入して半年ほど使用していたが、MagSafe非対応の不便さをカバーするため、ケースにサードパーティ製の磁気リングを貼り、カードケースや充電器を使用していた。スマートフォンを裸で運用するユーザーにとって、MagSafeは必須の装備といえるだろう。

 一方で、16eおよび17eで最も不便に感じたのは「常時表示ディスプレイ」に非対応である点だ。常時表示に対応していれば、スリープ状態(低消費電力モード)でもタイマーやナビなどの最小限の情報を確認できる。筆者はたまに室内自転車(エアロバイク)に乗っているのだが、常時表示対応機種であれば、画面をオンしなくてもタイマーの残り時間を把握できるのが非常に便利なのだ。実際の使い勝手には大きな差が出るポイントとして留意してほしい。

これは現在使っている17 Pro。スリープ状態では分数しか表示されないが、残り時間を把握できるのが本当に重宝している

 総括すると、スペック上の差異はあるものの、17eを使用していて上位モデルとの決定的な差を感じる場面は少ない。カメラについても、超広角カメラがない点は確かに不便ではあるが、使っているうちに広角カメラのみの画角に慣れてくる。前述したディスプレイグラス(AR)を利用できない点さえ除けば、非常に満足度の高いiPhoneのエントリー機であるというのが率直な感想だ。

iPhone 17eへの乗り換えは「アリ」か「ナシ」か

 さて、15や16から17eに乗り換えるのはアリなのか、それともナシか。筆者なりの結論をまとめてみよう。

 まず16ユーザーだが、結論からいえばスルーだ。チップがA19になったとはいえ、超広角カメラやDisplayPort出力、さらにはDynamic Islandまで失うデメリットの方が大きい。画面を割ってしまったなどの特殊な事情がない限り、現状維持が正解である。

 一方、15以前を使っているなら17eへの移行を個人的に強く推したい。Apple Intelligenceへの対応はもちろん、プロセッサとストレージの高速化はレスポンスを劇的に変えてくれる。15の128GB版でも買い取り価格が最大7万円(記事執筆時)というショップもあるため、下取りをうまく活用すれば比較的安価に最新世代へ乗り換えが可能だ。

 最後に悩ましいのが「17e」と「17」のどちらにするべきかという点。17eは9万9,800円から、17は12万9,800円からと3万円の価格差がある。これは非常に単純化すると、超広角カメラと、DisplayPort(映像出力)対応に3万円の価値があるかどうかに尽きる。

 筆者個人としては、超広角カメラは「まいっか」とあきらめられるが、もはやディスプレイグラス(ARグラス)のない生活は考えられないので17を選ぶ。逆にこのどちらも必要ないのであれば、17e一択となるわけだ。価格差が大きいだけに悩ましい選択だが、自分の利用スタイルをじっくりと見極めて、納得のいく答えを見つけてほしい。