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「マルチモニターが使いにくい」は過去のこと~Windows 11ならこんなに便利になる!機能まとめ
2024年4月4日 06:17
デスクトップを拡大して生産性を高められるマルチモニター環境。でも、Windows 10時代までは必ずしもメリットばかりではなかった。解像度の異なるモニター同士ではマウスカーソルの行き来がスムーズじゃなかったり、モニターの着脱でウィンドウの位置がすぐにリセットされてしまったりなど、使いにくいと感じる場面もけっこうあったのだ。
全てのモニターの解像度を合わせ、マルチモニターの使い勝手を補助するサードパーティツールを導入するなど、独自の工夫で乗り切ってきた人もいるかもしれない。が、Windows 11となった今、そうした不都合はほぼ解消されている。OS標準機能だけで快適なマルチモニター環境を実現できるのだ。
というわけで、今回はマルチモニター環境におけるWindows 11の改善ポイントと、より便利で快適なマルチモニターライフを送るためのテクニックをいくつかご紹介したい。なお、ここではWindows 11のバージョン「23H2」をベースに解説している。
Windows 11になって何が変わった?
Windows 10から11になったことで、マルチモニターまわりの挙動が変化した(変化させられる)ところがある。中でも使い勝手に大きく影響しそうなのが、各モニターの解像度が異なっていてもマウスカーソルの移動がスムーズに行なえるようになったことだ。
Windows 10までは、たとえば異なる縦解像度のモニターを横に並べて使用するとき、高解像度のモニターから低解像度のモニターへマウスカーソルを移動させようとするとモニター間で「引っかかって移動できない」状態になりやすかった。実際にはデスクトップに“段差”ができている状態なので、そうなるのも仕方がない。
ところが、Windows 11では「ディスプレイ」設定の「マルチ ディスプレイ」セクションが拡充され、「ディスプレイ間でカーソルを簡単に移動させる」という項目が追加された。これをオンにすると、マウスカーソルが高解像度モニターのどの縦位置にあっても低解像度モニターのデスクトップに移動させやすくなる。
反対に低解像度モニターから高解像度モニターにカーソルを移動するときは、低解像度モニターでのカーソル座標がある程度引き継がれるため、モニター間移動を繰り返すと若干「不思議な感覚」になることもある。とはいえ、“段差”を意識することなくモニター間をシームレスに移動できるようになったのはうれしい改善だ。
もう1つのポイントは、「モニターの接続に基づいてウィンドウの位置を記憶する」ようになったこと。こちらも「マルチ ディスプレイ」セクションに追加された設定項目だ。シングルモニターなのか、デュアルモニターなのか、あるいはトリプル以上のマルチモニターなのかといったモニターの接続状況ごとに各ウィンドウの位置をちゃんと記憶して、接続を変えたときにも自動で位置を復元してくれる、というものになる。
これは特にノートPCユーザーにとって便利な機能だろう。外出先ではノートPC本体のシングルモニター環境だけれど、オフィスや自宅では外部モニターを接続してマルチモニターにしている、という人も少なくないはずだからだ。
ノートPC本体のみの時はそれに最適なウィンドウ位置が、外部モニターを接続したときにもそれに最適なウィンドウ位置が、それぞれですぐさま復元される。モニターを接続/解除するたびに手動でウィンドウを配置し直す、なんていう煩雑な作業は一切不要なのだ。
マルチモニターと合わせて使いたいOS標準機能
デスクトップまわりのWindows 11の標準機能には、使い方次第でマルチモニター環境をより快適にできるものがある。その中から3つほどピックアップしよう。
狙ったレイアウトに素早く切り替えられる「スナップ」機能
Windows 10で導入されたウィンドウの「スナップ」機能は、Windows 11以降も継続的に改善が図られ、使い勝手が変わってきている。
現在のスナップ機能の利用方法は主に2通り。1つはアプリケーションウィンドウのタイトルバーにある最大化ボタンを使う方法。最大化ボタンの上にマウスカーソルを置く(またはウィンドウをアクティブ状態にして「Win+Z」キーを押す)と、スナップ レイアウトの候補が表示されるようになる。あとはそのウィンドウをレイアウトしたいゾーンをクリックすればOKだ。
もう1つはウィンドウのタイトルバーをドラッグして移動しているときに、デスクトップ上部に近づける方法。そうするとスナップ レイアウトの候補が現れるので、そのまま任意のゾーンにドロップすればレイアウトできる。先ほどの最大化ボタンからスナップする方法は、そのアプリケーションがタイトルバーを独自にカスタマイズしている場合に利用できないケースがあるが、こちらの方法だとほとんどのアプリケーションが対応する。
ある意味ウィンドウ単位でデスクトップを分割できるようにするスナップ機能は、マルチモニター化して広くなったデスクトップを有効活用するのに役立ってくれるだろう。
作業環境を一発で丸ごと切り替えられる「仮想デスクトップ」
Windows 11には仮想デスクトップの機能も標準で用意されている。現在見えているデスクトップとは別に、仮想的なデスクトップを複数保持して、いつでも好きなデスクトップに切り替えられるようにする機能だ。
仮想デスクトップの作成方法は、「Win+Tab」キーを押して画面下部に現れる「新しいデスクトップ」をクリックするだけ。切り替え方も「Win+Tab」キーを押して使いたい(仮想)デスクトップをクリックするだけだ。
配置したウィンドウの位置/大きさなどは、仮想デスクトップごとに記憶してくれる。そのため、通常使っているデスクトップではオフィスアプリケーションを、仮想デスクトップではWebブラウザや画像編集ソフトを立ち上げておいて、用途に応じて切り替えながら作業するのに都合が良い。
仮想デスクトップという考え方は古くからあり、もともとは解像度のあまり高くないモニターを利用している場合に、デスクトップを仮想的に広げて効率良く使えるようにすることを狙ったものでもあった。が、大容量のメモリを比較的低コストで搭載できるようになった今は、多数のアプリケーションを常時立ち上げておき、必要に応じて切り替えながら作業して、極限までマルチタスク化を極めるのもいいかもしれない。
なお、マルチモニター環境では全てのモニター画面がまとめて「1セットの仮想デスクトップ」として扱われることになる(モニター1台は通常のデスクトップにし、別のモニターは仮想デスクトップにする、というような使い方はできない)。マルチモニター前提の作業環境を「マルチモニター×仮想デスクトップ」で複数作成しておけば、劇的な生産性アップを図れるのではないだろうか。
モニターごとに壁紙をカスタマイズ
マルチモニターにすると、こだわりたくなってくるのが壁紙だ。ずっとワンパターンの壁紙だと飽きてしまうかもしれないが、Windows 11では(それ以前から)壁紙のさまざまなカスタマイズオプションが利用でき、デスクトップを賑やかに彩れる。
マルチモニター環境向けの壁紙設定としておすすめなのは、やはりモニターごとに異なる画像にするもの。設定方法はデスクトップの右クリックで表示されるコンテキストメニューから「個人用設定」→「背景」を選び、「背景をカスタマイズ」のプルダウンから「画像」を選択する。
次に「写真を参照」ボタンで壁紙画像を選択した上で、「最近使った画像」として候補表示されているサムネイルの上で右クリックし、表示させたいモニターの識別番号を選ぶ。これで任意のモニターに任意の壁紙が表示される。もちろんすべてのモニターで同じ壁紙に統一することも可能だ。
または「スライドショー」にするのもアリ。「ページ幅に合わせる」、「画面のサイズに合わせる」、「拡大して表示」、「中央に表示」のうちいずれかのレイアウトを選べば、モニター1台1台に異なる壁紙をランダムで表示させられる。
レイアウトを「スパン」にすれば、複数のモニターをまたがる形で1枚画像を表示できたりもする。統一感を出しつつモニターごとに壁紙に変化をつけたい時は、これもおすすめだ。
マルチモニターの使い勝手をさらに高めるショートカットキー
マルチモニターにすると、デスクトップが広くなるのと引き換えにマウス操作が非効率になったり、思わぬアクシデントに遭遇したりする場合もある。Windows 11が標準で用意しているキーボードショートカットなどの機能も活用して、マウス操作に頼ることなく自由自在にデスクトップを操れるようにしよう。
もしウィンドウを見失ってしまったら……
マルチモニター環境で作業中、直前まで使っていたはずのウィンドウが何かの弾みで画面外に移動するなどして見えなくなってしまうことがあるかもしれない。そんな時は下記の手順を試してみたい。
デスクトップ内・モニター間で簡単にウィンドウを移動したい
今使っているウィンドウを手っ取り早くきれいに配置したい、というときは、スナップ機能のショートカットキーとなる「Win+左右」キーを使おう。そのモニターのデスクトップ内で、ウィンドウを素早く左右に寄せたり、元の位置に戻したりできる。
モニター間でウィンドウを移動したいときは、それに「Shift」キーを加えるだけ。「Win+Shift+左右」キーで、一発でモニター間を移動させることが可能だ。全画面表示のゲームなど、タイトルバーがなくマウスで動かせないウィンドウもこれで移動できる。
また、Copilotのウィンドウをメインモニター以外に移動したいときにもこのワザは有効だ。通常はメインモニターの右側に固定表示となるCopilotだが、「Win+Shift+左右」キーでサブモニターに移動させておけば、常時表示でも邪魔にならず、いつでもAIのサポートを受けられるだろう。
ちなみに「スナップ」機能が有効で、かつ「ウィンドウをドラッグした時に、画面の端までドラッグしなくてもウィンドウをスナップできるようにする」がオフになっていると、ウィンドウをマウス操作で移動しにくくなってしまう。そんなときにも「Win+Shift+左右」キーを使えば簡単だ。
モニターごとのスクリーンショットを撮りたい
Windows 11の通常のスクリーンショット撮影手段としては「Win+PrintScreen」キーがよく知られている。押すだけでスクリーンショットを撮影し、自動で「ピクチャ」フォルダに画像ファイルとして保存してくれる機能だ。
ただ、この方法では全てのモニターのデスクトップがスクリーンショットの対象となってしまう。任意のモニターのデスクトップを撮影することは不可能だ。なので、代わりに使いたいのがWindows 11標準の「Snipping Tool」を利用する方法。
「Win+Shift+S」キーを押してSnipping Toolを起動し、画面上部に表示されるツールバーで「四角形」が選ばれていることを確認しよう。その後、スクリーンショットを撮りたいデスクトップの隅からマウスカーソルで矩形選択すればOK。
メインモニターのみのスクリーンショットを撮りたいのであれば、Snipping Toolで「ウィンドウ」を選択し、デスクトップやタスクバーにマウスカーソルを合わせてクリックする、という方法もある。ショートカットキー一発で、というわけにはいかないものの、ある程度省力化はできるはずだ。
マルチモニターで作業効率をもっとアップさせよう!
このように、Windows 11ではOS標準の機能が追加・改善され、マルチモニターの運用が以前よりもしやすくなっている。ショートカットキーもあわせて活用することで、作業効率は一段とアップするだろう。すでにマルチモニター環境の人はもちろん、これからデュアル、トリプルとモニターを追加していこうと考えている人にも、今回の内容が参考になれば幸いだ。