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BOSE最新ノイキャンイヤフォンなら新幹線内ですら静寂に。WF-1000XM5やAir Pods Proと比べても好成績
2024年1月25日 06:29
BOSEの完全ワイヤレスイヤフォン「QuietComfort Ultra Earbuds」のノイズキャンセリング機能がすごいと話題になっている。筆者も昨年10月の発売時からずっと気になっていた製品なので、どれだけすごいのか試してみることにした。同時に発売されたノイズキャンセリング機能を搭載したワイヤレスヘッドフォンの「QuietComfort Ultra Headphones」も借りることができたので、こちらも一緒に検証に加えている。
QuietComfort Ultra Earbudsの主な特徴
まずはQuietComfort Ultra Earbudsの仕様について簡単に解説してしておこう。
本体の形状や充電ケースなどは2022年9月に発売された前世代モデルの「QuietComfort Earbuds II」とほぼ変わらない。本体の大きさは最近の完全ワイヤレスイヤフォンとしてはやや大きく、重量もやや重い。
ただし、イヤーチップとスタビリティバンドで耳にしっかりと固定する仕様なので装着感はすごくよい。きちんと耳に合う大きさのイヤーチップとスタビリティバンドを装着していれば少々激しく動いても耳から外れてしまうこともない。
再生/一時停止、音量調節などの各種操作は左右のサイドパネルに装備されたタッチセンサーにて行なうが、この操作感もなかなか良好だ。
イヤフォンの充電は付属の充電ケースで行なう。1時間の充電で最大6時間使用可能とバッテリ性能はまずまずといったところ。20分の充電で2時間使用可能となるクイック充電機能も搭載されている。
そのほかQuietComfort Ultra Earbuds注目点としては、ボーズ独自の空間オーディオ「イマーシブオーディオ」とハイレゾ再生と低遅延伝送などを実現するaptX Adaptiveに対応する点が挙げられる。
QuietComfort Ultra Headphonesの主な特徴
QuietComfort Ultra Headphonesはオーバーヘッドタイプのワイヤレスヘッドフォンだ。3.5mmのヘッドフォン端子に接続できるオーディオケーブルが付属しており有線接続でも使用できる。
今回試した感じでは、適度な側圧と柔らかいイヤーパッドで装着感がよく、長時間装着していても疲れなかった。再生/停止、ノイズキャンセリング機能のオン/オフや音量調節などは、右側ハウジングに装備されたボタンやタッチセンサーで行なえるのだが、この操作感も良好だ。
QuietComfort Ultra HeadphonesもQuietComfort Ultra Earbudsと同様に、ボーズ独自の空間オーディオ「イマーシブオーディオ」とハイレゾ再生と低遅延伝送などを実現するaptX Adaptiveに対応している。
屋内でノイズキャンセリング性能をチェック
今回、ノイズキャンセリング性能を試したのはBOSEのQuietComfort Ultra EarbudsとQuietComfort Ultra Headphonesに、ソニーの「WF-1000XM5」とAppleの「Air Pods Pro(第2世代)」を加えた4機種。
まずは家の中でエアコンの音などが消えるかどうか試してみた。結果は以下の表の通りだ。
QuietComfort Ultra Earbuds | BOSE QuietComfort Ultra Headphones | WF-1000XM5 | AirPods Pro 第2世代 | |
---|---|---|---|---|
強風にしたエアコンの音(43dB~49dB※1) | 聞こえない | かすかに聞こえる | 聞こえない | 聞こえない |
背後で掃除している掃除機の音(55dB~63dB※1) | かすかに高音のシャーという音が聞こえる | 高音のシャーという音が大きく聞こえる | かすかに高音のシャーという音が聞こえる | 高音のシャーという音が聞こえる |
ボリュームを30にしたTVの音(48dB~56dB※1) | バックの音楽は消えるが、ナレーションはそこそこ聞こえる。音量が1/3くらいになった感じ | バックの音楽は消えるが、ナレーションがよく聞こえる。音量が1/2くらいになった感じ | バックの音楽は消えるが、ナレーションはそこそこ聞こえる。音量が1/3くらいになった感じ | バックの音楽は消えるが、ナレーションはそこそこ聞こえる。音量が1/3くらいになった感じ |
QuietComfort Ultra Earbuds | BOSE QuietComfort Ultra Headphones | WF-1000XM5 | AirPods Pro 第2世代 | |
---|---|---|---|---|
強風にしたエアコンの音(43dB~49dB※1) | 聞こえない | 聞こえない | 聞こえない | 聞こえない |
背後で掃除している掃除機の音(55dB~63dB※1) | 聞こえない | 聞こえない | 聞こえない | 聞こえない |
ボリュームを30にしたTVの音(48dB~56dB※1) | 聞こえない | ほぼ聞こえない | 聞こえない | 聞こえない |
※1 騒音の値はスマホアプリ(騒音測定器)で簡易的に計測した参考値 ※2 iPhoneでザ・ローリングストーンズのAngryなどを再生、音量は60%くらい
イヤフォンタイプのQuietComfort Ultra EarbudsとWF-1000XM5、Air Pods Proは、音楽を再生していなくともノイズキャンセリング機能を有効にして装着しただけで、送風を「強」にした状態のエアコンの音(43dB~49dB)が聞こえなくなる。すぐ後ろでかけている掃除機の音(55dB~63dB)も高音のシャーという音が聞こえるくらいだ。
ボリュームを30にしたTVのニュース番組の音もバックグラウンドの音楽は聞こえなくなり、ナレーターの声が1/3くらいになる。3機種とも音楽を再生する(iPhoneで音量は60%くらい、以下同)と周りの音がまったく気にならなくなる。屋内で使用する場合においては、実用上の差は特に感じられない。
対して、QuietComfort Ultra Headphonesは音楽を再生していないと、大き目の音は結構聞こえる。耳の穴を塞ぐイヤフォンタイプと比べると、耳を覆うタイプのオーバーヘッドタイプはノイズキャンセリング性能に関してはやはり不利なようだ。
ただし、音楽を再生していれば、エアコンの音や掃除機の音は聞こえなくなり、TVの音もほぼ聞こえなくなるので、実用性は十分にある。
喫茶店でノイズキャンセリング性能をチェック
次に、客の多い東京駅の喫茶店でノイズキャンセリング性能を試してみた。結果は以下の表の通りだ。
東京駅の喫茶店(騒音レベル:59dB~67dB※1) | BOSE QuietComfort Ultra Headphones | QuietComfort Ultra Earbuds | WF-1000XM5 | AirPods Pro 第2世代 |
---|---|---|---|---|
テーブルの距離が1m弱くらいの男性の話声 | よく聞こえる。音量が1/2くらいになった感じ | ほぼ聞こえない | ほぼ聞こえない | ほぼ聞こえない |
テーブルの距離が1m弱くらいの女性の話声 | よく聞こえる。音量が1/2くらいになった感じ | ほぼ聞こえない | ほぼ聞こえない | ほぼ聞こえない |
店内の音楽などそのほか騒音 | ほぼ聞こえない | 聞こえない | 聞こえない | 聞こえない |
東京駅の喫茶店(騒音レベル:59dB~67dB※1) | BOSE QuietComfort Ultra Headphones | QuietComfort Ultra Earbuds | WF-1000XM5 | AirPods Pro 第2世代 |
---|---|---|---|---|
テーブルの距離が1m弱くらいの男性の話声 | ほぼ聞こえない | 聞こえない | 聞こえない | 聞こえない |
テーブルの距離が1m弱くらいの女性の話声 | ほぼ聞こえない | 聞こえない | 聞こえない | 聞こえない |
店内の音楽などそのほか騒音 | ほぼ聞こえない | 聞こえない | 聞こえない | 聞こえない |
※1 騒音の値はスマホアプリ(騒音測定器)で簡易的に計測した参考値 ※2 iPhoneでザ・ローリングストーンズのAngryなどを再生、音量は60%くらい
イヤフォンタイプのQuietComfort Ultra EarbudsとWF-1000XM5、Air Pods Proは、ノイズキャンセリング機能を有効にして装着しただけで音楽をかけていなくとも周りの音はほぼ聞こえなくなる。
1m弱離れた前の客席には4人組の男性が結構大きな声で会話しており、1m弱離れた左隣の席では、店内の騒音に声がかきけされないようにはっきりと通る大きな声で投資の勧誘をしている女性がいたのだが、店内の音楽やほかの客の話し声に加えて、それらの声もほぼ気にならないくらいまで聞こえなくなった。
音楽を再生してない状態ではややQuietComfort Ultra Earbudsのノイズキャンセリング性能が優秀と感じたが、3機種とも音楽を再生すると周りの音はまったく気にならなくなる。喫茶店で使用するぶんにはこの3機種は、実用上、ほぼ同等のノイズキャンセリング性能を有していると考えてよいと思われる。
対して、オーバーヘッドタイプのQuietComfort Ultra Headphonesは、音楽を流していない状態だと周囲の騒音が1/2くらいになりはするが、周りの話声などははっきりと分かる。ロックなどの激しい曲を再生すると周りの音はほぼ聞こえなくなるが、静かな女性ジャズボーカルなどの場合は若干周りの音が気になることもあった。
新幹線の中ではQuietComfort Ultra Earbudsが最強だった
筆者が完全ワイヤレスイヤフォンのノイズキャンセリング性能を特に重要だと思っているのは新幹線の中だ。新幹線の走行音はかなり大きく、窓側の席に座ると耳が痛くなることもあるほどだ。
普段の電車の移動であれば長くで数十分、ゆっくり休んだり、また反対に集中して仕事をするということもないので、多少ノイズキャンセリングの効きが甘くても、騒音を軽減してくれるだけで十分である。
だが、新幹線の移動となると1時間以上となるので仮眠をとったり、集中して仕事をすることがある。そういう時には新幹線の走行音がかなり気になってしまう。
また、周りに大きい声で話す集団などがいると、長時間乗車しているだけに、その声なども非常にわずらわしく感じられる。そこで今回は新幹線の中でも、各機種のノイズキャンセリング性能を試してみた。結果は以下の表の通りだ。
東海道新幹線の窓際席(騒音レベル:55dB~80dB※1) | QuietComfort Ultra Earbuds | BOSE QuietComfort Ultra Headphones | WF-1000XM5 | AirPods Pro 第2世代 |
---|---|---|---|---|
走行音 | 気にならない程度まで聞こえなくなる | 低音域から高音域まで結構大きく聞こえる | 若干気になる程度まで聞こえなくなる | 若干気になる程度まで聞こえなくなる |
通路を挟んだ隣の席の話し声 | 聞こえない | ほぼ聞こえない | 聞こえない | 聞こえない |
斜め後ろの席で大声を上げる甲高い子どもの声 | 若干聞こえる | 気になる程度には聞こえる | 若干聞こえる | 若干聞こえる |
東海道新幹線の窓際席(騒音レベル:55dB~80dB※1) | QuietComfort Ultra Earbuds | BOSE QuietComfort Ultra Headphones | WF-1000XM5 | AirPods Pro 第2世代 |
---|---|---|---|---|
走行音 | ほぼ聞こえない | それなりに大きく聞こえる | ほぼ聞こえない | ほぼ聞こえない |
通路を挟んだ隣の席の話し声 | 聞こえない | 聞こえない | 聞こえない | 聞こえない |
斜め後ろの席で大声を上げる甲高い子どもの声 | 聞こえない | そこそこ聞こえる | 聞こえない | 聞こえない |
※1 騒音の値はスマホアプリ(騒音測定器)で簡易的に計測した参考値 ※2 iPhoneでザ・ローリングストーンズのAngryなどを再生、音量は60%くらい
結論から書くと、新幹線の中ではイヤフォンタイプ3機種でもノイズキャンセリング性能にある程度が差が感じられた。
一番優秀だったのはQuietComfort Ultra Earbudsだ。QuietComfort Ultra Earbudsは音楽を再生していなくとも、ノイズキャンセリング機能を有効にした状態で装着すると、周りの音がスゥ~ッと聞こえなくなる。通常、新幹線の窓側の席ではゴォ~っという走行音が結構耳に痛いほど感じられる。
騒音レベルをiPhoneの騒音計アプリで簡易的に5分ほど計測したところ、最小で55dB、平均で69.97dB、最大で80dBと、実際にかなり大きな音であった。これだけの騒音が気にならないレベルまで消えるのだから、QuietComfort Ultra Earbudsのノイズキャンセリング機能はかなり高いレベルであると言える。
今回はローリングストーンズの「Angry」などのロックやノラジョーンズの「Come Away With Me」などの女性ボーカル曲を中心に聞いて試したのだが、音楽を流せば、走行音や人の話し声などの周りの音はまったくと言っていいほど聞こえなくなる。斜め後ろの席に、ひっきりなしに大声を出す子どもがいたのだが、その甲高い声さえ気にならなくなるほどだ。
筆者の同行者はその子どもの声がうるさくてたまらなかったらしいのだが、QuietComfort Ultra Earbudsを装着して音楽を聞いている間、筆者はまったく気にならなかった。周囲の騒音は消えても、甲高い人の声などは消えない製品もあるが、QuietComfort Ultra Earbudsはこの点も優秀である。
QuietComfort Ultra Earbudsの次にノイズキャンセリング機能が優秀だと感じたのはソニーのWF-1000XM5だ。QuietComfort Ultra Earbudsと同様、音楽を逃していなくとも装着するだけで周りの音はほぼ聞こえなくなる。
ただし、音楽を流していない状態だと、QuietComfort Ultra Earbudsよりも走行音が少しだけ大きく聞こえる。音楽を流していればQuietComfort Ultra Earbudsと同様、周りの音は気にならない程度まで聞こえなくなる。
AppleのAir Pods Pro 第2世代のノイズキャンセリング機能もかなり優秀であったが、厳密に比較すると音楽を再生していない状態では、上記2機種に比べ若干ながら走行音の消えが甘く、子どもの声も少し大きく聞こえた。ただし、音楽を再生していれば周りの音がほぼ気にならない程度まで聞こえなくなる。
イヤフォンタイプの3機種と比較すると、オーバーヘッドタイプのQuietComfort Ultra Headphonesは、やはりノイズキャンセリング機能は1段落ちる感じだ。音楽を流していない状態だと走行音が結構聞こえてくる。
感覚としては、装着していない時に対し、音が1/2くらいになる感じだ。人の話し声も結構聞こえてくる。ローリングストーンズの「Angry」などの結構激しめの曲を流しても、走行音は結構聞こえるし、人の話し声やぐずる子どもの声なども認識できるレベルだ。
ただ、確かに騒音はかなり軽減されているのだが、イヤフォンタイプを試した後ではその効果に不満を感じてしまった。
ノイズキャンセリング機能重視ならQuietComfort Ultra Earbuds
QuietComfort Ultra Earbudsのノイズキャンセリング機能は現行機種の中では間違いなくトップクラスである。特に今回検証したように、新幹線などでの長時間の移動中に騒音に悩まされたくない場合にはかなり重宝する。
ノイズキャンセリング性能を最重視するなら、QuietComfort Ultra Earbudsを購入して後悔することはないだろう。音質も完全ワイヤレスイヤフォンとしては最上位クラスと言える。ただし、パワフルな低音が持ち味なので、その点は好みが分かれるところかもしれない。音質に関しては、購入する前に試聴することをおすすめする。
なお、ノイズキャンセリング機能だけでなく音質も重視したいという人はオーバーヘッドタイプのQuietComfort Ultra Headphonesに要注目だ。イヤフォンタイプのQuietComfort Ultra Earbudsよりも音場が広い上に解像度が高いので、音の見通しがよく、歌声や楽器の音などもよりリアルに感じられる。
家の中の騒音、たとえば、エアコンの音やパソコンのファンの音が気にならならけばいいというのであれば、QuietComfort Ultra Headphonesのノイズキャンセリング機能は十分効果を発揮する。家の中でじっくり音楽に集中できる高音質のノイズキャンセリング機能搭載ヘッドフォンが欲しいという人にはおすすめだ。