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必見!コンパクトなゲーミングPCの作り方。小さくてもRTX 3060が積めるとっておきの構成

 eスポーツの盛り上がり、コロナでの巣ごもり需要、いつまで経っても手に入りにくいPS5などなど、さまざまな状況が絡み合って“ゲーミングPC”の注目度が上がっている。Call of Duty: Modern Warfare 2など2022年末発売のビックタイトルが登場する今は、ゲーミングPCを自作するのにナイスなタイミングだ。しかし、悩ましいのが設置スペース。高性能なゲーミングPCは欲しいが、ごついデスクトップPCを部屋に置きたくないという人もいるだろう。

 ただ、あまりに小型なゲーミングPCを目指すとサイズの問題からパーツの選択肢が狭まり、組み立ての難易度も大きくアップしてしまう。そこで、ここでは小型ながらも組み立てやすく、見た目にもこだわりながら、価格も高くなりすぎないという、なんともワガママな要望に可能な限り答えるゲーミングPC自作プランを考えていきたい。

小型ゲーミングPCを構成するパーツ

 まずは基本方針をまとめよう。小型ゲーミングPCを目指すので、当然PCケースやマザーボードはMini-ITXサイズから選ぶことになる。Mini-ITXは、170×170mm(幅×奥行き)と定められたマザーボードの規格。ATX規格の305×244mmに比べるとかなり小さく、小型PC自作の強い味方と言える。

 ビデオカードはゲーミングPCの心臓部と言えるだけに、高価になりすぎないのが目標とは言え、一番予算を割きたいところ。そのため、ミドルレンジから選ぶことにする。

 PCケースは、小型なMini-ITX規格ながらもパーツを組み込みやすい構造、ある程度の拡張性を確保、見た目にもオシャレというものからチョイスしたい。そして、その条件を満たせるプランとして考えたのが以下の構成だ。

【表1】小型ゲーミングPCの構成その1
メーカー名・製品名実売価格
CPUCore i3-12100F
(4コア8スレッド)
1万6,000円前後
マザーボードASRock B660M-ITX/ac
(Intel B660、Mini-ITX)
2万3,000円前後
メモリMicron Crucial CT2K8G4DFRA32A
(DDR4-3200 8GB×2)
6,500円前後
ビデオカードGainward GeForce RTX 3060 Ghost
(GeForce RTX 3060)
5万4,000円前後
ストレージWestern Digital WD Green SN350 NVMe SSD WDS200T3G0C
(PCI Express 3.0 x4、2TB)
2万3,000円前後
CPUクーラーCPU付属
PCケースdarkFlash DLH21
(Mini-ITX)
1万1,000円前後
電源ユニットCooler Master V SFX Gold 650W
(650W、80PLUS Gold)
1万9,000円前後
合計15万2,500円前後

 CPUは、第12世代の「Core i3-12100F」を選択した。GPUを内蔵していない「F」型番ということもあり、4コア8スレッドで1万6,000円前後と手頃な価格だ。4コアだと物足りないように思えるが、ミドルレンジのビデオカードと組み合わせてゲームをプレイするなら十分な性能がある。

 というのも、ミドルレンジのビデオカードでは、CPU性能がゲームのフレームレートに影響する前に、ビデオカード側の性能限界に到達してしまうケースが多いからだ。Core i5-12400Fに変えた場合のベンチマーク結果もあとに掲載しているが、結果がほとんど変わらないことからも明らかだ。ただ、CGレンダリングやエンコードなどCPUパワーの影響が大きい処理では、コア数が多いCPUのほうがもちろん有利になる。

CPUとCPUクーラー
CPUはCore i3-12100Fを選択。4コア8スレッドで実売価格は1万6,000円前後
CPUクーラーが付属しているので、別途用意する必要がなく、おサイフに優しい

 マザーボードは、Core i3-12100Fに対応するMini-ITXサイズで価格も手頃なASRockの「ASRock B660M-ITX/ac」を選んだ。シンプルな作りだが、無線LANやPCケースのフロント用USB Type-Cコネクタ、アドレサブルRGB LED端子を用意するなど、現在求められる機能を一通り備えているのがポイントだ。M.2スロットにヒートシンクがないのが惜しいくらいだろう。

マザーボード
マザーボードはASRockのASRock B660M-ITX/acをチョイス。実売価格は2万3,000円前後
バックパネルには無線LAN(Wi-Fi 5)も備える
電源回路は6フェーズのDr.MOSを採用

 ゲーミングPCで重要となるビデオカードは、NVIDIAのミドルレンジGPU「GeForce RTX 3060」を搭載するGainwardの「GeForce RTX 3060 Ghost」を選んだ。RTX 3060として平均的な価格、2ファン仕様で2スロット厚と冷却性能と取り回しやすさのバランスがよいのが選択理由だ。

 RTX 3060であれば、フルHD(1,920×1,080ドット)なら高フレームレートが出せて、WQHD(2,560×1,440ドット)までは重量級と呼ばれる描画負荷の高いゲームも遊べるパワーがある。その実力は後述するベンチマークで確認してほしい。

ビデオカード
ビデオカードはGainwardのGeForce RTX 3060 Ghost。実売価格は5万4,000円前後
映像出力はDisplayPort 1.4×3、HDMI 2.1×1とスタンダードな構成
補助電源として8ピン×1の接続が必要だ

 小型ゲーミングPCとして、最大のポイントになるのがPCケースだろう。現在Mini-ITX対応のPCケースは数多く存在するが、今回はdarkFlashの「DLH21」を選択した。

 それほど小型ではないが、カード長32cm、2スロット厚までのビデオカードを搭載でき、側面、天面とほとんどのパネルを取り外しが可能とパーツを組み込みやすいのが特徴。インテリアっぽいキューブ型のデザインもナイスだ。

 土台の部分にLEDが内蔵されているので、ゲーミングPCっぽい演出も楽しめる。2.5/3.5インチのドライブベイもあり、大容量ストレージを搭載できる拡張性があるのもポイントだ。

PCケース
PCケースはdarkFlashのDLH21を選択。カラーは今回のミントを始め、ブラック、ホワイト、ピンクが用意されている。実売価格は1万1,000円前後
ほとんどのパネルを取り外せるのでパーツを組み込みやすいのが強み
天面のコネクタ類にはType-Cポートも用意されている

 そのほか、メモリはDDR4-3200の8GB×2枚のセットで合計16GBとゲームをプレイするのに十分な容量を確保。

 SSDはゲーム1本で100GBを超えることも珍しくなくなった現状を考えてWestern Digitalの「WD Green SN350」から2TBモデルを選択。コスパを重視したエントリークラスのNVMe SSDで、公称のシーケンシャルリードで3,200MB/sと速度はそこそこだが、その分発熱が小さく、M.2スロットにヒートシンクを備えていないマザーボードと組み合わせるにはちょうどよいと言える。

 電源は、PCケースがSFX対応なので、Cooler Masterの「V SFX Gold 650W」をチョイスした。RTX 3060の推奨電源は550W以上なので、余裕を見て660W出力を選んでいる。

メモリとSSD
メモリはMicronのCrucial CT2K8G4DFRA32A。DDR4-3200で8GBが2枚セットになったモデルだ。実売価格は6,500円前後
SSDはWestern DigitalのWD Green SN350 NVMe SSD WDS200T3G0C。M.2タイプで接続はPCI Express 3.0 x4。QLC NANDを採用している。実売価格は2万3,000円前後
電源
電源はCooler MasterのV SFX Gold 650W。SFXサイズで出力は650W。実売価格は1万9,000円前後。550/750/850Wのモデルも用意されている
フルモジュラーなので必要なケーブルだけ接続して配線をラクにできるのもポイント

一部のケーブル以外はラクラク組み立て

 パーツが決まれば次は組み立てとなるが、PCケースのDLH21はほとんどのパネルを外せるので、小型ながらパーツは組み込みやすい。

 マザーボードにCPU、CPUクーラー、メモリ、SSDを装着してPCケースに固定。電源ユニットをPCケースに取り付け、電源やUSB、スイッチ類など各種ケーブルをマザーボードに接続し、最後はビデオカードを取り付ければOKだ。一度でも自作を経験したことがあれば、組み立てで困るところはほとんどないだろう。

マザーボードにCPU、CPUクーラー、メモリ、SSDを取り付け、PCケースに固定する。バックパネルカバーを取り付け忘れしやすいのに注意
電源ユニットを固定する。直接電源ケーブルをケース外に出すことはできず、天面の電源コネクタに引き出すためのケーブルが内部にあるので、それを取り付ける。この時点で電源ユニットのスイッチはオンにしておこう
電源ユニットに接続したケーブルは天面の電源コネクタに接続されている。天面に電源ケーブルを接続するのがこのケースの独特なところだ
唯一接続しにくいのがメイン電源コネクタ、フロント用のUSBコネクタ類だ。ここだけは隙間が狭いので焦らず向きを確認しながら慎重に挿し込んでいきたい
PCケースはカード長32cmまで対応。今回のビデオカードは24.5cmなのでまだまだ余裕がある
PCケース底面にあるLEDを点灯させるにはSATAの電源ケーブル接続が必要だ。またLEDのコントロールをマザーボードで行ないたい場合はアドレサブルRGB LEDコネクタへの接続も必要になる(LEDはケース天面のボタンでもコントロール可能)
すべてのパーツを組み込んだところ。今回はミドルレンジ構成で簡易水冷も使っていないので内部には余裕がある。ケーブルの取り回しもそれほど難しくはない
コネクタ類は天面に集中している。電源やモニターのケーブルなどあらかじめ接続し、天面のパネルを閉じる
これで完成だ。スマートなデザインがだが、光らせるとゲーミングPCっぽい雰囲気と言ってもよいのではないだろうか

 組み上がったところで、あとはOSインストールと各種ドライバの導入を済ませれば使うための準備は完了だ。

マザーボードのドライバは「Auto Driver Installer」で簡単に導入できる
ビデオカードのドライバはNVIDIAの最新版をダウンロードして導入するのがベターだ

CPUとGPUの温度をチェック

 次は性能チェックといこう。まずは定番のPCの基本性能を測る「PCMark 10」、3D性能を測る「3DMark」、ストレージの速度を測る「CrystalDiskMark」を実行しよう。

PCMark 10の結果
3DMark Fire Strikeの結果
3DMark Time Spyの結果
CrystalDiskMark 8.0.4bの結果

 比較対象がないので分かりにくいが、スペック通りの性能が出ていると言ってよい。Mini-ITXケースにリテールのCPUクーラー、それでPCケースのファンは天面に9cm角ファンが1基だけ。しかも、NVMe SSDにはヒートシンクなしでむき出しの状態で運用と冷却面で不安に感じる部分はあるだろう。

 そこでOS起動10分後をアイドル時、3DMarkのStreet Test(Time Spy)を10分間実行したときを高負荷時として、CPUとGPUの温度をモニタリングアプリの「HWiNFO Pro」でチェックしてみた。

 高負荷時でもCPUは69℃、GPUは75.9℃まったく心配のいらない温度だ。PCケースのDLH21はパネルがメッシュ構造で空気が通りやすく、今回の構成ならエアフローは十分確保されていると言える。その分、静音性は高くはないが……。

 SSDに関してもOS起動10分後、CrystalDiskMarkを3回連続実行した時の温度を「HWiNFO Pro」でチェックしてみた。

 CrystalDiskMark3回目でも最大64℃までしか上がっていない。データ転送速度も1回目、2回目、3回目とも誤差レベルしか変わっておらず、ヒートシンクがない状態でも問題なく運用できている。エントリークラスのNVMe SSDは速度はそれほど高くは分、温度も上がりにくいという点では使い勝手がよい。

ゲームはどこまでフレームレートが出る?

 次は実ゲームを試そう。タイトルとテスト条件は以下の通りだ。Marvel's Spider-Man Remasteredとサイバーパンク2077に関してはレイトレーシングを無効/有効にした状態それぞれを試している。

ゲーム内のベンチマーク機能を使用
トレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測

 レインボーシックス シージは4Kでも平均97fpsと十分快適にプレイできるフレームレートが出ている。フルHDなら平均319fpsと高リフレッシュレートのゲーミングモニターの性能を十分引き出せるだけのフレームレートだ。Apex Legendsは多少重くなるが、それでも4Kでほぼ平均60fpsを達成。フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)なら高いフレームレートを出している、

リムグレイブ周辺の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測

 エルデンリングは最大60fpsまでしか出ないゲームだ。そのためフルHDなら、ほぼ最大fpsで動作できると言える。WQHDでも平均55.3fpsと十分プレイできるレベルだ。4Kだと平均34.3fpsとさすがに厳しくなる。

マップの一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測
マップの一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測

 Marvel's Spider-Man Remasteredは美麗なグラフィックのアクションゲームだが、レイトレーシングを使わなければ、最高画質設定でもWQHDで平均95.8fpsと余裕で快適に遊べるだけのフレームレートを出せる。4Kでも平均51.4fpsとプレイは可能だが、このゲームはすばやい移動などでフレームレートが10~20fpsほどガクッと落ちる場面があるので、最高画質で遊びたいならWQHDまでがよいだろう。

 また、レイトレーシングを有効にしても描画負荷を軽減するアップスケーラーのDLSSと組み合わせれば、WQHDで平均76.5fpsと快適に遊べるフレームレートを出せる。レイトレーシングも楽しめるだけのパワーが十分あると言ってよいだろう。RTXシリーズはDLSSが使えるのが大きな強みと言える。

ゲーム内のベンチマーク機能を使用

 サイバーパンク2077は2020年発売ながら、いまだにもっとも描画負荷の高いゲームと言われるほど。そのため画質設定が最上位の「ウルトラ」ではフルHDでようやく平均60fps以上に到達できる。

ゲーム内のベンチマーク機能を使用

 レイトレーシングを有効にすると、DLSSを活用しても平均57.14fpsとギリギリ平均60fpsに届かない。いかに重いゲームか分かる。今回のスペックではフルHDで遊ぶのがよいだろう。WQHDでプレイしたいなら、画質設定をワンランク下げる必要がある。

CPUとビデオカードを変更してみる

 ここからは、パーツを買えた場合、どう性能が変わるか試していきたい。CPUをワンランク上のCore i5-12400F(6コア12スレッド)、GPUをワンランク下のGeForce RTX 3050を搭載したGainwardの「GeForce RTX 3050 Pegasus」に変更した場合の性能をチェックする。

【表2】小型ゲーミングPCの構成その2
メーカー名・製品名実売価格
CPU Core i5-12400F
(6コア12スレッド)
2万7,000円前後
マザーボードASRock B660M-ITX/ac
(Intel B660、Mini-ITX)
2万3,000円前後
メモリMicron Crucial CT2K8G4DFRA32A
(DDR4-3200 8GB×2)
6,500円前後
ビデオカード Gainward GeForce RTX 3050 Pegasus
(GeForce RTX 3050)
4万3,000円前後
ストレージWestern Digital WD Green SN350 NVMe SSD WDS200T3G0C
(PCI Express 3.0 x4、2TB)
2万3,000円前後
CPUクーラー Thermaltake TOUGHAIR 110
(トップフロー、12cm角)
5,000円前後
PCケースdarkFlash DLH21
(Mini-ITX)
1万1,000円前後
電源ユニットCooler Master V SFX Gold 650W
(650W、80PLUS Gold)
1万9,000円前後
合計15万5,500円前後
CPUとビデオカードを変更
Core i5-12400F。6コア12スレッドで実売価格は2万7,000円前後。手頃な6コアCPUとして人気だ
GainwardのGeForce RTX 3050 Pegasus。ショート基板を採用し、カード長17cmと小型PCにも組み込みやすい。実売価格は4万3,000円前後
映像出力は映像出力はDisplayPort 1.4×3、HDMI 2.1×1で補助電源は8ピン×1
実際に組み込んだところ。短いので、より内部にスペースの余裕はできる

 今回のプランであるCore i3-12100FとGeForce RTX 3060のほか、CPUをCore i5-12400Fに変えた場合、ビデオカードをGeForce RTX 3050に変えた場合、CPUとGPUの組み合わせをCore i5-12400FとGeForce RTX 3050に変更した場合の合計4パターンのベンチマーク結果を掲載する。タイトルはレインボーシックス シージとApex Legendsとサイバーパンク2077でテスト条件は上記と同じだ。

ゲーム内のベンチマーク機能を使用
トレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測
ゲーム内のベンチマーク機能を使用

 ビデオカードをGeForce RTX 3050に変更するとフレームレートはおおむね40%下がる。ビデオメモリの搭載量、CUDAコア数、メモリバス幅のすべてがRTX 3060のほうが上なので仕方がない部分ではある。ゲーミングPCとしてはRTX 3060を選びたいところだ。

 そして注目がCPUを変えてもフレームレートにほぼ差がないこと。基本的なCPUパワーはもちろん6コア12スレッドのCore i5-12400Fのほうが上だが、ゲームにおいては前述した通り、CPU性能の差が出る前にビデオカードの性能限界にぶつかってしまうことが多い。もちろん、ハイエンドクラスのビデオカードを使う場合は性能を引き出すためにCPU性能も重要になるが、ミドルレンジではCore i3-12100Fで十分と言える。

 参考までにCore i3-12400FとCore i5-12400FのCinebench R23の結果も掲載しておこう。CPUパワーの差は歴然だ。CGレンダリングや動画編集などCPUパワーが必要な用途でもPCを使おうと考えてるなら、上位のCPUを選ぶのはアリだ。

 もう1つ、今回のプランではCPUクーラーはCPU付属のいわゆるリテールクーラーを使用しているが、これを交換した場合、温度や騒音がどう変わるのか試してみたい。PCケースのDLH21は、対応CPUクーラーは高さ134mmまでと大型の空冷クーラーは取り付けできない。

 そこでチョイスしたのがThermaltakeのTOUGHAIR 110だ。高さ114mmとコンパクトながら、直径6mmのヒートパイプを4本備え、ヒートシンクもそこそこ大型とリテールクーラーよりは確実に冷えるはず。スペック上の動作音は23.6dBと非常に低く、静音性の向上も期待したいところだ。

CPUクーラー
ThermaltakeのTOUGHAIR 110。12cm角のファンを備えるトップフロー型のCPUクーラー。実売価格は5,000円前後
実際に組み込んだところ。それほど大型のクーラーではないが、Mini-ITXケースだとけっこう内部スペースに余裕がなくなる

 温度と騒音はどう変化するだろうか。OS起動10分後をアイドル時、3DMarkのStreet Test(Time Spy)を10分間実行したときを高負荷時としてCPUの温度をモニタリングアプリの「HWiNFO Pro」、動作音をPCケースの前面から15cm離れた位置に騒音計を設置して計測した。

 冷却力に関しては、さすがにTOUGHAIR 110のほうが上だ。アイドルで2℃、高負荷時でも9℃も温度が下がった。冷却力の強化にはCPUクーラーの交換は有効と言える、一方で動作音については、このケースは前面側にビデオカードがある構造なので、CPUクーラーを変更しても騒音に変化はなかった。

 CPUクーラー自体の動作音は小さくなっている印象だが、ビデオカードは同じなので動作音が変わらないのは当然とは言える。ほぼ前面メッシュにケースなので、冷却性はよいが静音仕様ではない。しかしゲーミングPCなので、ヘッドフォンをしながらゲームをしていれば気にならないだろう。

小さめゲーミングPCを求めるならピッタリのプラン

 今回のプランはMini-ITXケースとしては、それほど小さくはないが、それでもATXやmicroATXに比べればコンパクト。組み立ての難易度もそれほど高くはなく、自作PCの初心者でも挑戦しやすいプランになっていると思う。

 IntelのCPUは第13世代Coreシリーズ、NVIDIAのGPUもRTX 40シリーズが登場しているが、どちらも上位モデルしか出ていない。ミドルレンジでは第12世代Coreシリーズ、RTX 30シリーズがまだまだ現役だ。小さめのゲーミングPCが欲しいと考えているなら参考になるのではないだろうか。