2024年12月3日 11:30
エクスポート・ジャパン株式会社(以下、「エクスポート・ジャパン」)は、文具業界としては初めてコクヨ株式会社(以下、コクヨ)に、同社のAccessible Code(R)(アクセシブルコード)技術を提供することを発表します。
アクセシブルコードとは、多言語・音声対応の2次元バーコードで、スマートフォンで読取るだけで、その端末の設定言語に商品説明が翻訳され、音声化して読み上げる機能が付帯していす。また、アクセシブルコードには、指で触ってコードのある場所を特定出来る加工が施されており、視覚に障害のある人も、スマートフォンで読み取る事が可能(*1)な仕様となっています。アクセシブルコードは、QRコード(*2)と同規格の為、読取りに専用アプリを必要とせず、世界中の幅広い消費者に情報を届けることが出来るユニバーサルでインクルーシブな技術です。
エクスポート・ジャパンでは、12月にコクヨからリニューアル発売される針を使わないステープラーの<ハリナックス>シリーズと、機能性の高いハサミの<サクサ>シリーズの製品パッケージにアクセシブルコードを提供し、日本語の説明書を読むことが難しいディスレクシアの方、弱視や全盲の方々、そしてインバウンドの消費者にも製品情報を正確に届けるための環境整理をサポートします。
(*1) エクスポート・ジャパン株式会社がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成を受けた研究開発によって幅広い実証試験を行い、有効性を確認しました。
詳しくは以下のURLをご確認ください。
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101245.html
(*2) QRコードは株式会社デンソーウェーブが発明し、登録商標を持つ2次元バーコードです。
【導入の背景】
今回のアクセシブルコードは、ユーザーの多様なニーズに応えるインクルーシブなデザインを具現化したものであり、環境に優しい素材の採用や製造工程の見直しを通じて持続可能な社会の実現を目指すコクヨの取組みの一環として採用されました。
アクセシブルコードは、これまでOTC医薬品の業界で主に利用されてきましたが、その有用性と開発理念に共感したコクヨによって文具業界での初採用となりました。
日本の文具は、細部に渡るユーザビリティ上の工夫やそのデザイン性によって、海外でも高い人気を博しています。2024年にはすでにコロナ前を大きく上回った訪日外国人客にとっても、自国の言語で気に入った文具についての詳細な情報を得られることは、商品満足度の向上につながり、今後益々成長していくインバウンド消費にも好影響をもたらすものと期待されています。
【世界中の消費者から情報を収集】
コクヨが導入するアクセシブルコードには、コードを読み取った各国の消費者が、自分の言語で商品説明を読めたり音声で聞いたり出来るだけでなく、自分の言語で購入した製品に対するフィードバックを行う機能も実装されています。管理画面上では、様々な言語で書き込まれたユーザーの声を、全て(AIによって翻訳された)日本語で確認することができます。このことによって、世界中の消費者の多様なニーズをいち早く汲み取り、グローバルなマーケットを視野に入れた今後の製品開発に役立てることが出来る仕様になっています。
【アクセシブルコードの詳細】
現在では世界人口の約7割(*3)が所有するようになったスマートフォンには、視覚障害等がある人にも使用可能な音声読み上げ機能(下図)が標準で付帯しています。この機能を利用すると、全盲の人であっても、音声と触覚でスマートフォンを自在に操作し、ブラウザで指定のページを読み上げることが可能です。(下記はiPhoneでの「ボイスオーバー」機能の設定例。Androidでも「TalkBack」という同様の機能があります。)
(*3) Digital 2024 Global Overview Report
現在では、この機能を利用して、視覚障害のある方々(特に全盲の人)の中で、スマートフォンを使いこなせる人の割合が高まっている事が調査結果(*4)としても報告されています。
また、QRコードの読取りについても、視覚障害がある方々のべ150名が参加した全国規模の試験(*5)によって、9割以上の人がその場所を触覚で認知できれば、読み取ることは可能である事が証明されています。
そして、PIJIN社が開発したQR Translator(*6)というシステムによって、Web上から、複数言語に対応したQRコードを簡単に発行・管理する事が可能になっている為、このQRコードを包装パッケージ上に11mm四方で印刷するだけで、QRコードを読み取った人は、自身のスマートフォンの設定言語に合わせて、手元にある商品の詳細な情報を音声で受取ることが可能になります。
アクセシブルコードはこれらの技術の組み合わせによって具現化されたサービスです。
(*4) 「視覚障害者の意思疎通支援サービス、及びICT機器利用状況の地域間差の分析」新潟大学工学部 渡辺哲也
(*5) NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受け、NPO法人アイ・コラボレーション神戸、神戸ライトハウス、エクスポート・ジャパンが共同して実施。
(*6) 株式会社PIJINが開発したシステムで、発行されたQRコードをスマートフォンで読取ると、ユーザー端末の言語設定を自動認識して、翻訳された情報がテキストと音声で取得できる。(日本、アメリカ、EU、中国、韓国等で特許を取得)
【コクヨ担当者の声】
コクヨは2030年までに、新商品の50%をインクルーシブデザインのプロセスを開発に取り入れて発売すると既に発表をしています。コクヨではこのプロセスに「HOWS DESIGN」という名前をつけて、共感・共創によるモノづくり、コトづくりを今後も積極的に進めてまいります。今回のアクセシブルコード採用は、弊社が業界初の取り組みとなりますが、今後発売する商品にもインクルーシブデザインを可能な限り取り入れて、将来的に文具業界全体に浸透する仕組みとなるように願っております。
【エクスポート・ジャパンのバリアフリーDX部の声】
今回、コクヨ様による文具業界初となるアクセシブルコードの採用が実現し、この技術をご活用いただける業界がさらに広がったことを大変嬉しく思います。
幅広い消費者にわかりやすいコンテンツを提供するため、コクヨ様と何度も話し合いを重ね、デザインや構成に細心の注意を払いながら、アクセシビリティに最大限配慮した内容を作り上げました。また、世界中の消費者から反応が寄せられることを心待ちにしており、その声が次なるインスピレーションとなることを期待しています。
私たちは、アクセシブルコードを単なる技術ではなく、デファクトスタンダードとして社会に浸透させ、誰もが平等に情報へアクセスできる未来の実現を目指して、引き続き取り組んでまいります。
【より詳しい情報】
アクセシブルコードの開発には、より多くのストーリーがありますが、文章に収まりませんので、ここでは割愛させて頂きます。ご興味をお持ち頂けたら、文末のお問い合わせ先にご質問下さい。
【エクスポート・ジャパンについて】
「ビジネスを通じて多文化共生社会に貢献する」を経営理念に、2000年の設立時から、外国語とデジタルマーケティングを専門領域として活動しています。社員の国籍は、アメリカ、中国、ポーランド、バングラデシュ等10カ国以上に及び、省庁・自治体、公共交通機関等を主なクライアントとしてサービスを提供しています。また、インバウンド領域では、月間200万人が閲覧する世界最大級の訪日メディア「ジャパンガイド( https://www.japan-guide.com/ )」の運営にも携わっています。