2024年11月7日 14:00
IEEE(アイ・トルプルイー)は、『AIとサイバーセキュリティの最新動向』と題したプレスセミナーを開催しました。今回は、IEEEメンバーで情報セキュリティ大学院大学の大塚 玲 教授にご登壇いただき、近年注目を浴びる「AI(人工知能)」とサイバーセキュリティに関する最新の動向を解説いただきました。
情報セキュリティ大学院大学 大塚 玲 教授
今回のセミナーでは、第4世代AIに対応する大規模言語モデルによる高度なセキュリティ攻防を中心に解説を行いました。
まず、AIによるサイバー攻撃対応にどんなメリットがあるのかについて「近年の大規模言語モデルや深層強化学習の進展を踏まえれば、AIによる対応は人間の能力の限界を超えた高度なサイバー攻撃対処を実現できる可能性が高く、これまで少数の情報セキュリティ技術者しか為し得なかった高度なサイバー攻撃対処が24時間365日連続かつ大規模分散的に可能になる。」と大塚先生は説明しています。
現状、暗号プリミティブや暗号プロトコル、小規模システムに比べ、複雑な大規模システムにおいては、安全性証明がついておらず、「見つかった脆弱性をふさぐ」というような対処療法しかできず、本当の意味での「安全性」が達成できていない現状であるとし、そんな状況に対して、攻撃者がAIを利用することが容易に想定されるため、攻防のイタチごっこにAIを活用し、「高度な攻防」の準備を急ぎ、安全性を担保する必要があると大塚先生は伝えました。
まず、大規模言語モデルをスケーリング則に従い、リソースを投入すればいくらでも性能を高められると説明し、AIを使ったサイバー攻撃対応の最新動向の例として、「CTF(Capture The Flag)ソルバー」、「マルウェアレポートの自動生成」、「マルウェア・リバースエンジニアリング支援」を解説しました。
これらの例から、高いセキュリティ対応能力を有する大規模言語モデルですが、大塚先生は「すでにテキスト化された情報を学習しており、別の言い方をすれば“すでに人間が獲得している知識“を学習しているに過ぎない」といいます。
そこで、“人間が持っていない知識を獲得していける可能性のある”深層強化学習との組み合わせによるセキュリティ攻防の高度化を今後は期待されているとし、膨大な言語の知識とAI自身が獲得した新たな知識を使って、重要な判断については人間に指示を仰ぎながら、AIが自律的に判断し行動することで、AIを使った相手からの攻撃に対処できる「スキのない防御が可能になる」と主張しました。
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