2023年12月19日 13:15
協和キリン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮本 昌志、以下「協和キリン」)は、希少疾患であるFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に関するお悩みや気になる点を相談できる電話相談室について2022年7月の開設から2023年6月までの年間総括結果をまとめましたのでお知らせします。
FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症はFGF23というホルモンが過剰となることで、体内のリンが尿中に過剰に排泄され低リン血症となり、その結果として骨の成長・代謝に障害をきたす希少な疾患です。疾患への認知度が低く確定診断まで長い年月を要する方が多いのが現状です。
くるこつ電話相談室はFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に関するお悩みや気になる点を相談できる相談窓口として、2022年7月に開設いたしました。電話相談を専門とする医療資格保有者(看護師、保健師)に無料でご相談いただけます。
電話番号:0120-56-9652(相談無料、受付時間:月~金 9:00-18:00(土・日・祝日・12/31-1/3は除く))
くるこつ電話相談室の詳細は、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の情報サイト「くるこつ広場」(URL: https://www.kurukotsu.com/ )からご確認いただけます。
2022年7月から2023年6月にかけての1年間、計103件の相談に対応いたしました。相談いただいた対象者の皆様へのフォローアップアンケートを実施した結果、5名の患者さんが専門医への受診につながったことがわかりました。そのうち2名の患者さんからFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症と確定診断されたと回答しています。
確定診断された1名の患者さんは、以前は症状があるものの検査では確定診断に至らず、治療を受けていない状況でした。その後、くるこつ広場のウェブサイトで閲覧した病気の情報が自身の症状に類似しており、同じ病気である可能性を考え、当相談室に連絡したということです。電話相談後のアンケート調査により、この患者さんがあらためて受診し、確定診断されたとの回答結果となりました。
これからも、くるこつ広場で掲載している情報やくるこつ電話相談室が、患者さんの疑問の解消に繋がり、多くの患者さんが正しい診断や適切な治療を受けられることを期待しています。
協和キリンの執行役員 メディカルアフェアーズ部長 松下 武史は次のように述べています。
「当社は「患者さんを中心においた医療ニーズへの対応(Patient Centricity)」を経営戦略の中心に掲げています。くるこつ広場・くるこつ電話相談室はFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症患者さんの未だ満たされないニーズに少しでも応えるべく開発・導入したプラットフォームであり、上述のとおりその成果が徐々に見え始めています。このプラットフォームの活用を含め、引き続き患者さんに寄り添った取り組みを展開してまいります。」
協和キリングループは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。
※「くるこつ広場」について
FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は希少疾患で、2023年12月現在、日本では当該疾患の患者団体がなく、患者さんやそのご家族は疾患に関する情報を得にくい状況です。「くるこつ広場」では、患者さんやそのご家族を対象に、くる病・骨軟化症の原因、症状、診断法などの基本情報を紹介した上で、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症について、より詳しく解説しています。また、医療費助成制度についても、図表などを用いて、よりわかりやすい形で掲載しています。URL: https://www.kurukotsu.com/
※FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症は、指定難病の「ビタミンD抵抗性くる病/骨軟化症」(指定難病238)および小児慢性特定疾患の「原発性低リン血症性くる病」と「ビタミンD抵抗性骨軟化症」に対応する疾患で、FGF23作用過剰による腎近位尿細管リン再吸収障害に起因する、くる病・骨軟化症の総称です。この疾患は、先天性のX染色体連鎖性低リン血症(XLH)、後天性の腫瘍性骨軟化症(TIO)等が含まれます。これらの疾患は、FGF23が過剰となることで、体内のリンが尿中に過剰に排泄され低リン血症となり、その結果として骨の成長・代謝に障害をきたす希少な疾患です。
FGF23作用過剰の原因は、XLHにおけるPHEX(phosphate-regulating gene with homologies to endopeptidases on the X chromosome)遺伝子や、常染色体優性低リン血症性くる病・骨軟化症(ADHR)におけるFGF23 遺伝子などの変異による、FGF23の過剰産生であると報告されています。また、遺伝子変異以外にも、腫瘍性骨軟化症(TIO)では主として間葉系腫瘍による FGF23の過剰産生が原因として知られています。