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超音波式水中可視化技術を活用して養殖マダイの個体数自動計測に成功

NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)と株式会社AquaFusion(以下、アクアフュージョン)は、超音波式水中可視化技術(FINE Technology)(※1)を活用し、生簀の魚をカウントする「MagicCounter」(以下、本システム)により養殖マダイの個体数を自動計測する実証実験に成功し、本システムを2022年12月19日に安高水産有限会社(以下、安高水産)のマダイ養殖場に本格導入します。

<個体数計測イメージ(本システム画面イメージ)>

画像1:
カメラと超音波の違い

1.背景
国内の養殖漁業の経営企業・団体数は減少傾向にあり、全国の魚類養殖生産量の約25%を占めるマダイ養殖においてはピーク時の1/3程度となっています。一方で、養殖生産量はほぼ横ばいで推移しているため、1つの企業・団体あたりの養殖業生産量は増え続けており、ICT技術の活用による一層効率的な養殖経営が求められています。
養殖漁業では、生簀内の養殖魚を適切な密度に保つため、養殖魚が成長すると「分養」という作業を行いますが、生簀内の密度を生育に適した状態に保つためには予定した個体数を確実に分養する必要があります。分養は非常に大がかりな作業であるため、1度で正確に完了させることが養殖漁業の負担軽減につながりますが、移動する養殖魚の個体数を目視で把握することには限界があり、予定した個体数を正確に分養することができずに作業のやり直しが発生することが養殖漁業における大きな課題の1つとなっていました。
この課題を解決するため、これまで水中カメラを利用した分養作業中のリアルタイムな個体数計測の実験が行われてきましたが、魚の重なりや海中環境の影響により正確な計測が困難で
した。
そこでNTT Comとアクアフュージョンは、2019年より、安高水産のマダイ養殖現場を実証フィールドとし、超音波による養殖魚の個体数自動計測に取り組んでおり、2021年3月には、超音波式水中可視化技術を活用した新たな養殖管理モデル確立のため、スマート水産業分野で業務提携を締結しました。
3年にわたる実証実験において、計測精度の向上、分養時の魚道(通過枠)の改良などに取り組み、このたび、高い精度で個体数把握が可能であることが確認できたため、本システムを安高水産のマダイ養殖場に本格導入します。

<分養作業のイメージ> <実際の分養作業および実証風景>

画像2:
カメラと超音波の違い

画像3:
カメラと超音波の違い

2.本システムの概要と特長
本システムは養殖魚の分養時に、生簀と生簀の網を繋いでつくった魚道(通過枠)に超音波の送受波器を設置し、通過する魚の個体数を海中でカウントするとともに、洋上でリアルタイムに確認できるシステムです。
これまで養殖魚の個体計測時に用いられてきた水中カメラでは、映像による個体計測を行っていましたが、本システムではアクアフュージョンの特許取得技術である「FINE Technology」(高頻度超音波送信センサーと、魚体識別アルゴリズム)を応用することで、水質の影響を受けず、魚が密集した状態でも魚1匹1匹を個体識別し正確に個体数をカウントする事が可能です。加えて、新たに特許出願中の技術(※2)により、未計測エリアを含め、全体の通過個体数を正確に推計することが可能となりました(特許出願中:特願2022-189848)。
現時点の計測誤差は平均約10%以内で、分養を実施するうえで十分な精度を確保しています。

<カメラと超音波の違い>

画像4:
カメラと超音波の違い

<本システムの仕組み>
画像5: https://www.atpress.ne.jp/releases/338165/img_338165_5.png

3.両社の役割
NTT Com:導入のコンサルティング、本システムの基本検討
アクアフュージョン:本システムの基本検討と開発製造、導入およびアフターサポート

4.今後の取り組み
両社は連携して、本システムを他の魚類の養殖へも適応させ、水産業のDXを推進するとともに、魚道を逆走している魚を検知する仕組みの開発など、さらなる技術革新にも取り組んでいきます。
また、両社は本システムと「養殖管理クラウド」(※3)を連携させ、給餌の効率化・高度化を推進するなど、さらなる水産業のDXに挑戦し、日本の水産業の発展と地域経済の活性化に貢献します。

(※1): 超音波式水中可視化技術(FINE Technology)は、アクアフュージョンが保有する特許技術で、高頻度で送信される超音波の反応を自動解析し魚を個体で識別することができる技術です。
(※2): 新たに特許出願中の技術は、個体識別に対応した計測エリアを推定し、全体としての通過尾数を高精度で予測することができるとともに、魚の移動方向を検知するアクアフュージョン独自の技術です。
(※3): 養殖管理クラウドは、水温や塩分、溶存酸素濃度などの海洋観測データや給餌記録、生育記録、生存尾数をクラウドで一元管理するサービスです。

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