2022年5月26日 16:00
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「民事裁判のIT化は迅速化のためだけではない」
概要
民事裁判の長期化が問題視されるようになり、1996年の民事訴訟法改正によって迅速化が進みました。さらに、近年はIT技術の導入が目指され、第208回通常国会にて裁判手続のIT化に関する規定を盛り込んだ改正民事訴訟法(以下「改正民事訴訟法」といいます。)が令和4年5月18日に成立しました。民事裁判の審理期間のさらなる短縮が期待されています。しかし、ただ迅速化を図るのではなく、裁判本来の機能を踏まえることが重要です。この話題について詳しく解説します。
ポイント
■「民事訴訟手続の迅速化に関する立法論的・解釈論的手段」を研究テーマとする柳川鋭士准教授が執筆。
■民事裁判の審理が長期化する背景について解説。裁判の迅速化、適正化、充実化を図っていく手段として、IT化の導入が進められている一方、セキュリティ上の問題や、訴状を確実に相手側に届けるシステムの確立などが必要だと指摘。IT化によって裁判のすべてが改良されるわけではなく、道具として上手く使いこなすことで、裁判をより良いものにするきっかけになると論述。
■記事構成
民事裁判のIT化は迅速化のためだけではない
●問題だった漂流型審理
●裁判のIT化には様々なメリットがある
●ITを上手く活用することで裁判を変えていく
執筆教授プロフィール
柳川 鋭士(明治大学 法学部 准教授)
■研究分野:民事手続法
■研究テーマ:民事訴訟手続の迅速化に関する立法論的・解釈論的手段
■キーワード:民事裁判の迅速化、司法制度論、弁護士論
■主な著書・論文
「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案の概要と若干の検討―コロナ禍における民事裁判手続のIT化を踏まえて―」(『法律論叢』94巻第2・3合併号327頁-370頁・2021年)
「自動運転車による交通事故訴訟における証拠の役割と課題―模擬裁判事例を契機として」(共著・『自動運転と社会変革―法と保険―』33-54頁・商事法務・2019年)
“Further Reforms of the Japanese Code of Civil Procedure: How do reforms of the information provision process harmonize procedural and substantive fairness?” UC Davis Journal of International Law & Policy Vol.19, No.2(2013)
「司法アクセスを保障する手段としての経済的支援策 ―実体的正義実現のための経済的支援の必要性とその可能性」(『自由と正義』63(12),87-93頁・2012年)
「弁護士と裁判所間の情報共有化の過程と弁護士・裁判所双方の役割―民事訴訟に対する信頼の向上と更なる改善策の一提言―」(『判例時報』(2153),3―27頁・2012年)
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