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キリン、電気刺激で塩味を約1.5倍に増強する箸型デバイスを開発。減塩食もおいしく

 キリンホールディングス株式会社は11日、電気刺激によって塩味が増強して感じられる効果を確認したと発表した。世界初という。

 微弱な電気刺激を発する箸型デバイスを用いて、人が感じる塩味をコントロールすることによって、減塩食の味わいを増強させる試み。明治大学 宮下研究室とキリンが2019年から行なっている「電気味覚」に関する共同研究の一環で、減塩食の食生活を送っている人を対象に箸型デバイスを用いた臨床試験を実施した結果、塩味が1.5倍程度に増強される効果が明らかになった。

 研究では、被験者に食塩を0.80%含有する「一般食品を模したゲル」と、0.56%含有する「減塩食を模したゲル」の2種類を試食してもらい、感じた塩味強度について評価する治験を実施した。このうち減塩食を模したゲルを試食する際に箸型デバイスを使用した結果、被験者から塩味の増強効果が感じられたという意見が得られたという。

 この箸型デバイスからは特定の波形の微弱な電流が発せられており、治験の結果から、この技術を用いた食器で減塩食を摂取した際に、通常の食事と同等の塩味が得られる可能性が示唆された。

 今後の展開としては、今回の研究結果を活用して、「おいしさ」による精神的な満足感と、栄養面から導かれる健康の両方を、減塩の食生活を送る人々に提供することを目指すとしている。

 ちなみに生活習慣病の予防を念頭に厚労省が設定した食塩摂取量の目標量は成人男性で8g未満、女性で7g未満とされている。

箸型デバイス
特定波形の微弱電流により人が感じる塩味をコントロールする
電気刺激によって塩味が約1.5倍増強して感じられた