やじうまPC Watch
中国科学院ら、武漢の新型肺炎治療に効く可能性のある30種類の薬を発見
2020年1月27日 19:06
中国科学院上海薬物研究所、および上海科技大学らの研究チームは25日(現地時間)、武漢を中心に感染が広がりつつある新型コロナウイルス(2019-nCoV)による肺炎の治療において、効用がある可能性のある30種類の薬を発見したと発表した。
これらの30種類の薬は、いずれも既存の西洋薬、もしくは漢方薬であり、患者の臨床治療において考慮すべきだとしている。今後、研究チームは抗2019-nCoVに特化したテストを行なうとしている。
研究チームは以前のSARSに関する薬の経験を活かし、抗2019-nCoV薬の研究を展開。研究をはじめてから間もなく、2019-nCoVの加水分解酵素(Mpro)および高解像度な結晶構造を得られた。これを基礎とし、既存の市販薬に加え、カスタマイズされた薬性化合物と薬用植物の化合物成分データベースのなかから、シミュレーションによる選別と酵素テストを組み合わせ、30種類の治療薬を発見した。
発見された30種類の薬物のうち、12種類がHIV治療薬(インジナビル、サキナビル、ロピナビル、カルフィルゾミブ、リトナビルなど)、2種類が抗RSウイルス剤、1種類が抗サイトメガロウイルス剤、1種類が抗精神分裂症薬、1種類が免疫抑制剤、およびほかが2種となっている。
薬物のなかで、スチルベン構造を持つモンテルカスト、および植物薬効成分であるPolydatinおよびDeoxyrhapontinがMproと結合し、ウイルスの抑制作用がある可能性を示した。
また、前期のSARS研究およびコンピュータのシミュレーションにより、シナンセリンがウイルスの3CL加水分解酵素の抑制に効くことがわかった。さらに、シクロスポリンAがウイルスのヌクレオカプシド(ウイルスのゲノムとそれを包むタンパク質)と人のシクロスポリンが相互結合することを防ぎ、インターフェロンと同時に服用すれば、コロナウイルスによる気管支および肺へのダメージを抑制できるとしている。
同研究チームは、すでにシナンセリンのキログラム級の生産に向けた合成手法を編み出しており、量産に向けた研究を進めている。また、シクロスポリンAのカプセルの製造手法についても確立し、そのほかの薬物成分の合成手法についても完成したとしている。