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理研、スパコン「京」でクォーク6個からなる「ダイオメガ(ΩΩ)」粒子の存在を予言

クォーク、バリオン、ダイバリオンの模式図

 理化学研究所(理研)、京都大学、大阪大学による共同研究グループ「HAL QCD Collaboration」は24日、スパコン「京」を用いて、6個のクォークからなる新粒子「ダイオメガ(ΩΩ)」の存在を理論的に予言したことを発表した。

 この宇宙のあらゆる物質はクォークとレプトンと呼ばれる素粒子(根本的な粒子)でできている。物質を作る原子の原子核は陽子と中性子でできているが、これら陽子と中性子は、バリオンと呼ばれ、3つのクォークで構成されている。

 2つのバリオン(6個のクォーク)からなるもっとも簡単な原子核はダイバリオンと呼ばれ、1930年代に陽子1個と中性子1個が結合した重陽子が発見されているが、それ以外のダイバリオンは現在まで観測されていない。

 今回、研究グループは、新たな計算アルゴリズムを開発、理論手法を発展させ、高性能な京とHOKUSAIを用いることで、約3年をかけ、はじめて現実世界でのバリオン間に働く力を計算した。

現実世界でのダイバリオン研究を可能にした3つの鍵

 その結果、2個のΩ粒子(バリオンの一種)間に働く力に興味深い振る舞いを発見。2個のΩ粒子をだんだん近づけていった場合、0.3×10^-13cm程度までは互いに引き合うが、それ以上近付くと、強く反発し合うことがわかり、この引き合う力のおかげで、2個のΩ粒子が結合状態を作る可能性が示された。

 この新粒子ダイオメガは、重陽子とよく似た性質を持っており、ユニタリー極限近傍という非常に結合が壊れやすい特殊な状態になっているという。

 今回の予言を受け今後、重イオン衝突実験により、重陽子以来1世紀ぶりに新ダイバリオンが発見されることが期待される。

スーパーコンピュータ「京」を用いて得られた現実世界でのΩ粒子の間の相互作用
粒子の結合状態を特徴づける結合エネルギーと平均二乗距離を表す図