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【懐パーツ】高性能CPUは取り扱いも注意。1.4GHz駆動のAMD「Athlon」

Athlon 1.4GHz

 懐パーツではこれまでボード類を多く紹介してきたが、そう言えば肝心なCPUをまったく紹介していなかった。というわけで今回はK7S5Aとともにヤフオクで1,000円で落札できた、1.4GHz駆動のAthlonプロセッサである。コーナー初にしては、新しすぎる気もするが……。

 AthlonはAMDが1999年に投入したプロセッサ。Alphaプロセッサを手がけるDECが開発したEV6バスを採用し、DDR駆動により200MHzという高いベースクロックや、それまでのx86互換プロセッサとは一線を画す高い浮動小数点演算性能などを特徴とした。

 2000年初め頃には、Pentium IIIとギガヘルツ競争を演じながら、投入から1年後の2000年6月にL2キャッシュをオンチップ化しさらに性能を高めた“Thunderbird”コアによって性能と完成度を高め、当時Pentium 4で苦戦したIntelを圧倒した。

 Athlon 1.4GHzは、アーキテクチャを改良した「Athlon XP」になる前の、Thunderbirdコアの最上位モデルである。Athlon XPは低クロックながら高クロックのPentium 4より性能が高く、マーケティング上の理由でモデルナンバーを導入したが、Thunderbird世代には導入されていない。2001年6月2日にフライングデビューしたようだが、10月にもAthlon XPが出たためあまり長生きはしなかった(笑)。

 性能的には、同クロックのCoppermineコアのPentium III(ただしCoppermineに1.4GHz駆動品はない)、もしくはWillametteコアのPentium 4 1.6GHzとほぼ同等であった。0.13μmにシュリンクし、L2キャッシュを256KBから512KBに増やしたTualatinのPentium III-Sには及ばないと見られる。

 FSBは266MHzで、これを10.5倍に逓倍して1.4GHz駆動させていた。ちなみにSocket AのCPUに共通化していることなのだが、パッケージ上にL1~L7までの金属コンタクトブリッジが用意されており、このうちのL3とL4ブリッジを切り離したり接続したりすることでCPUの駆動倍率を変更できた。そのため、導電性のある鉛筆でブリッジを接続したりカッターでブリッジを切断したりして、倍率を変更させる改造が世界的に大流行した。

 ちなみにAthlon XPではオーバークロック対策のため、倍率変更が行なえるようにするL1ブリッジを全てレーザーカッティングして、容易に改造ができなくなっている。

 元々速い上にオーバークロックも楽々できるということでさぞ楽しめるCPUと思われがちだが、Thunderbirdは発熱量が多い上に、サーマルダイオードによる保護が動かず、適切に冷却を行なわないと自身の発熱によって焼損してしまう。自作ユーザーはこの状態を“焼き鳥”と呼んだ(もっとも実際に焼かれたのはDuronが多そうだが)。

 加えて、コアがヒートスプレッダなどによって保護されておらずむき出しのため、重く大掛かりなヒートシンクを付けようとするとコアを破損(特に角やエッジ)してしまう可能性があった。かくいう筆者が入手したものも角が欠けていたのだが、Socket Aシステムの動作に向けて努力しようとは思っている。

刻印は「A1400AMS3C」とされている
Socket Aパッケージ
L1が全てブリッジされている場合、L3とL4によるブート時の倍率設定が有効になる。写真の場合、10.5倍動作となっている(133×10.5=1.4GHz)
L6は倍率設定、L7は電圧設定用のブリッジである。写真の場合、10.5倍と1.75Vが設定されている
パッケージ上にはコア欠け防止用のスポンジも貼り付けられているが、重いCPUクーラーには無意味である
実際入手した製品もコア欠けが確認できた
K7S5Aに載せたところ。動作するといいのだが