Thermaltakeブースで展示された多くの製品は、1月のInternational CESにおいて紹介されたものがほとんどだったが、今年(2011年)第2四半期発売予定というゲーマー向けケースの新製品が展示された。
その製品である「Chaser MK-I」は、先月発売された「Level 10 GT」の機能を一部引き継ぎつつ、新しいデザインで開発されたもの。169ドルが予定されており、Level 10 GTより低価格で発売される予定だ。
Level 10 GTとの機能面での類似点は、本体側面に設けられたヘッドフォンを引っかけるためのパーツや、上部に備えられたファン回転速度の切り替えスイッチ、LEDカラー変更スイッチなどである。インターフェイス類は上部に集中的に配置されており、USB 3.0×2、USB 2.0×2、eSATA、オーディオ入出力の各インターフェイスと、Serial ATA接続のストレージを接続できるドックを備えている。
ファンは前面と上部にLED内蔵型の200mm角ファン、背面に140mm角ファンを装備。各面のファンは、さまざまなサイズに対応できるようになっている。また、上部には水冷キットのラジエータを取り付けることもできる。
本体サイズは237×581.6×567.9mm(幅×奥行き×高さ)。拡張スロットは、5インチベイ×4、シャドウベイ×6の構成となっている。
側面カバーを開けたところ。HDDスロットはトレイ式で、そのすべてが3.5/2.5インチ両対応となっている | 上部のファンコントローラやLED変更スイッチなど | こちらは上部のUSB 3.0/USB 2.0、eSATAインターフェイス |
上部のファン取り付け部。140mm×2といった構成も可能。展示機は水冷のラジエータを取り付けた状態 | 上部にはHDDドックも備えている |
●Cooler Masterもゲーマー向けケースや一体型水冷キットを予定
CPUクーラーやPCケースなどを手がけるCooler Masterは、同社のゲーマー向けブランドである「CM STORM」の新製品となるゲーマー向けケース「Enforcer」を展示。現時点の予定では、発売は4月上旬、約89ユーロとしている。
フロントはカバーで覆われており、カバー内には5インチベイ×4を装備。内部のベイは3.5/2.5インチシャドウ×6、2.5インチシャドウ×2。ビデオカードへのエアフローを強くしたい場合に、3.5/2.5シャドウベイのうち4個分を独立して取り出せるようになっている。
ファンはフロントに200mm角ファンを装備、トップには200mm角ファンを装着可能。リアは120mm角ファンとなっている。なお、今回の展示機はあくまでサンプルであり、大きくコンセプトが変わることがないが、最終仕様は展示機とは異なる可能性があるとしている。
ケースの新製品としては、もう1つ「Project Silent M」と呼ばれる開発中のケースが展示された。その名のとおり静音性を重視したモデルで、前面・側面の内側に吸音材を貼付。正面からの音を軽減するため、フロントファンは側面から吸気する仕組みとしている。
ケース内部のシャドウベイはEnforce同様にビデオカードへのエアフローを強化できるよう、中央部分のみ独立して取り外せる構造。下部には3台分の固定シャドウベイを備える。5インチベイは3つで、うち1つはHDDドックとして使用済みとなっている。
こちらの発売は4月中旬。価格は78ユーロ程度を予定しているとのこと。
フロントファンはフロントパネル脇のスリットから吸気。フィルタやファンを簡単にメンテナンスできる構造も特徴 | 側面カバーの内側にも吸音材が貼られている |
シャドウベイは中央部のみを取り外し可能。取り外した状態でも下部にある3個分の3.5/2.5インチベイが利用できる | 上面のフロントインターフェイス。「非常に多くのユーザーが利用している」ことからSDカードスロットを装備したという |
電源負荷に応じてファンレスモードとファンモードを切り替える「SILENT PRO HYBRID」 |
電源ユニットでは、完全なプロトタイプという「SILENT PRO HYBRID」がデモ展示された。この電源は使用電力が200W以下の場合はファンを停止し、それ以上の場合には自動でファンの回転が始まるというタイプの電源。ファンは135mm角で、手動でのファンコントロールも可能。
電源ケーブルはモジュラータイプが採用されており、このケーブル接続口付近には、ファンを直接接続するための電源端子も装備。マザーボードのファン電源端子が少ない場合に便利だとする。
発売は8~9月の予定で、現時点の計画では850W、1,050W、1,300Wの3モデルを投入したいとしている。
クーラー関連製品の話題では、ラジエータ・ポンプ・ヘッド一体型のメンテナンスフリー水冷クーラーの開発モデルを展示。「Project A-L2」の開発コードネームを持つ製品で、第2四半期中の発売を目指している。
詳しい仕様はまだ決まっていないというが、ヘッドのCPU接地部のパーツは銅製で、この内側をメッシュ状に加工することで効率を高めている点をアピール。このヘッド部は特許を出願しているという。
もう1つ開発中の製品として、空冷クーラーの「Project V-A2」の開発コードネームを持つ製品も展示された。これはロープロファイル環境で利用するための薄型クーラーで、全高は59mm。4本のヒートパイプをCPUに直接触れさせるように取り付けたヒートシンクを持つ。
この製品には関しては、この薄型ファンの開発が大きなチャレンジであったとしており、「XtraFlo 120 Slim」の製品名で発売が予定されている。ファンの口径は120mm角、厚みは15mmで、このサイズでこの薄さを出すのに苦労したという。薄型PC以外でも、例えばサイドフロータイプのCPUクーラーでメモリとファンが干渉するような場合に本製品に付け替えることで干渉を避けることができる、といった用途を提案している。
同じトップフロータイプの大型クーラーとしては「Geminii S524」が展示された。こちらは全高105mm、120mm角ファンを用いたモデル。5本のヒートパイプを使うほか、ヒートシンクはノースブリッジのヒートシンクやメモリなどとの干渉を防ぐためにL字型となる。
また、新しいリテンションユニットを採用しているのも特徴で、Intel製CPUの場合はベースユニットを取り付けたうえで固定金具をスライドさせることでクーラーの脱着が可能。取り付けた状態を見ることはできなかったが、その固定金具はAMD製CPUにも使われるという。
サイドフロータイプのCPUクーラーとしては、「Hyper 612S」「Hyper 412S」が展示された。外観はよく似ている両製品だが、前者は6本のヒートパイプ、後者は4本のヒートパイプを用いており、前者のほうがよりサイズが大きい。また、Hyper 412SのみがヒートパイプをCPUに直接触れさせる構造となっている。
ファンは固定回転式のものが装着されているが、付属のサイレントアダプタ(要するに抵抗入りケーブル)を用いてファンの回転数を下げて利用することもできる
●無限の新型と、薄型クーラーの新製品を展示したScythe
CeBITにおけるScytheのブースでは、「無限2 リビジョンB」の後継モデルとなる
無限3」が展示された。夏前には製品化したいとするもの。無限シリーズはScythe製品のサイドフロータイプクーラーの上位にラインナップされるモデル。
無限3はその最新作となり、ヒートシンクは無限2 リビジョンBに比べて小型化したものの、ヒートパイプの本数と形状を工夫することで、より冷却性能を高めたという。とくにヒートパイプを交差させることで、ヒートパイプにファンの風を当たりやすくしたことが冷却能力向上の大きなポイントになっているとしている。
また、1~2カ月内の発売を目指している薄型クーラー「Kozuti」も展示。同社の薄型クーラーといえば「Shurikenシリーズ」が存在するが、Kozutiはより薄く全高40mmとなっている。
そして、ファンをヒートシンクの中央に挟み込んでいるのが大きな特徴。ロープロファイル環境において、ケース上面のスペースが小さい場合でも、エアフローを確保しやすくするのが目的だ。ファンは下から上に向かって吹き上げる向きになっている。
このほか目に留まったCPUクーラーとしては、既存の「峰2」の全銅モデルが展示された。あくまで試作品であるため発売するかは未定としている。
電源ユニットでは、80Plus Bronze対応の「鎌力5」シリーズが近日発売予定。モジュラーケーブルタイプと固定ケーブルタイプの2シリーズが用意され、基本的な特徴は同じ。ファンは100mm角ファンを備えている。
また、鎌力5より後の発売となる電源ユニットとして、80PLUS GOLDに対応した「極力」も展示されている。750W、850W、1,000W、1,200Wの4モデルの発売を予定している。
このほか、台湾のクーラーベンダーであるReevenもCeBITにブースを出展。国内にもサイズを代理店として製品を展開していくという。
サイドフロータイプの「KELVEROS」、薄型タイプの「VANXIE」が早期に投入される見込みで、そのほかの製品についても量産でき次第、順次発売していきたいとしている。
(2011年 3月 7日)
[Reported by 多和田 新也]