【CES 2011レポート】ケース&クーラーメーカー編
Thermaltake、Antec、Corsair、Shuttleが多数の新製品を展示

Thermaltakeはキーボード、マウスといったゲーミングデバイスも展示

会期:1月6日~9日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center/The Venetian



●Level 10の遺伝子を受け継ぐ「Level 10 GT」を披露

 ThermaltakeはInternational CESの会場近くのスイートを設け、新製品の展示を実施。再注目は、一昨年(2009年)、Thermaltake創立10周年の記念モデルとして、BMW Group Designworks USAと共同開発した「Level 10」の後継モデルとなる「Level 10 GT」だ。“GT”の名を持つものの、前モデルよりも普及価格帯として使いやすさを向上させたモデルとしている。価格もかなり安くなっており「250ドル程度で発売できるだろう」としている。発売は3月を予定している。

 全体的なデザインはLevel 10に似てはいるものの、仕様は大きく異なっている。まず側面のカバーは、さまざまな部分が開閉した前モデルに対して、GTでは1カ所のみ扉状のカバーが開閉するのみで、一般的なPCケースに近い印象だ。ちなみに、この扉は取り外すこともできる。

 扉の内側には200mm角のファンを備える。このファンの内側にはルーバーが付いており、空気の向きを調整することができる。なお、カバー内側のファンと本体上部のファンはLED内蔵タイプとなっており、本体に設けられたLEDスイッチを押すことでLEDの色を変更することができる。また、LEDスイッチの脇にはファン回転数切り替えスイッチも備えており、高回転/低回転の2段階に回転数を調整することも可能だ。

 拡張ベイ類は、5インチ×4、3.5インチ×1、HDD×5となっている。HDDベイはケースを開けずに、サイドから脱着することができる。また、ケーブルマネージメント対策として、縦列に5系統を接続できるSATA電源ケーブルも付属している。

一昨年話題になったLevel 10の後継モデル「Level 10 GT」が登場Level 10 GTの全体像。5インチベイのメッシュパネルが剥き出しになっているなど、Level 10よりも一般のケースに近い印象上部の様子。後方のファンが緑色に光っているが、これはスイッチで変更可能。この色は側面カバーのファンも連動して変更される
上部のスイッチ類とインタフェース。手前からファンカラー変更スイッチ、ファン回転速度切り替えスイッチ、USB 3.0×2、eSATAを備えるサイドにヘッドホンを引っかけておくための付属パーツが取り付けられる。サイドカバーを開いた様子。GTモデルでは、HDDベイが個別に取り外せる以外、マザーボードや拡張ベイへは、このカバーを開けるのみでメンテナンスする
サイドカバーファンの内側には上下方向に空気の流れを調整できるルーバーを備える。これは手動での調整となるサイドカバーファンの外側には取り出ししやすいフィルターを備えているケース内部。Extended ATXもサポートする
HDDベイはサイドカバーを開けることなく脱着が可能マザーの裏側。シリアルATAの電源を一直線につなぐケーブルが付属する

 CPUクーラーでは、既存のFrioの上位モデルとなる「Frio OCK」を展示した。カバーとファンが一体化し、正方形に近い形状となり、Frioに比べ一回り大きくなった。もっともカバーだけでなく、ヒートパイプは細くなった代わりに6本へ増加。フィン枚数も増えているという。重量は1,093gとなる。

 ファンは2基で、1,200~2,100rpm、最大121CFMの仕様となっている。ノイズレベルは21~48dB。片方のファンを取り外せたFrioとは異なり、Frio OCKはカバーと一体となっているため、片方のみを外すことはできない。

 冷却能力は「240Wを冷却できる」としており、現行Frioの220Wより強力になっていることをアピールした。価格は80ドルが予定されており、現行のFrio(70ドル)に比べて、高くなる見込みとしている。

Frioの後継モデルとなる「Frio OCK」。デザインも大きく変更され、ヒートシンクを覆うカバーとファンが一体化した構造しているヒートシンクも多少大型化しているとのことで、フィン枚数も増加しているというヒートパイプはFrioの直径8mm×5本から、直径6mm×6本の構成へ変更されている

 ThermaltakeはInternational CESというイベントの性格もあってか、今回はゲーミングデバイスの展示にも力を入れている。

 キーボードでは、フルサイズのキーボードと省スペースタイプのキーボードの2製品を展示。フルサイズキーはバックライトキーを備えており、このキーを押すことでW/A/S/Dや方向キーなど、ゲームで主に使うキーのみバックライトが点灯。光の強さを数段階に調整することができるほか、点灯と消灯を繰り返すモードも用意されている。省スペースキーボードにはそうしたギミックはないものの、先述のフルサイズのキーボードとともに、全キーロールオーバーを備える点やCherryの黒軸を用いたメカニカルキーボードである点をアピールしていた。価格は70ドル。

 マウスは9個のカスタマイズキーを備える。スクロールホイール、Thermaltakeロゴ、マウスサイドのシェイプライン状のデザインに沿ってLEDが埋め込まれており、この色をWindows上からカスタマイズできるようになっている。解像度は6,500dpi。価格は100ドル。

フルサイズのキーボードはゲームで多用するキーにLEDが埋め込まれている。12個のカスタマイズ可能なキーが用意される右上に用意されたLEDキー。輝度を数段階に切り替えられる省スペースタイプのキーボードと、ゲーマー向けマウス
マウスにはLEDが埋め込まれているWindows上から内蔵LEDのカラーを変更可能なほか、光らせる部位の指定もできるマウスに備えられた9個のカスタマイズキーの設定画面

●メンテナンスフリーの水冷クーラーを投入するAntec

 Antecブースでは、まずブースの目立つ場所において同社電源ユニットのデモを実施しているのが目に飛び込んできた。このデモは、Core i7-980XとGeForce GTX 580 SLIの環境2つを、1台の1,200Wの電源ユニットを用いて稼働させるというもの。これは「同じ1,200W電源でも、Antecの電源は瞬間最大出力ではなく、定格最大出力を表示していることを紹介するデモ」とのこと。ワットチェッカーの表示は1,190W近い値を示していた。

 このデモは使用しているCPUクーラーもポイントになっており、同社の新製品である「Kuhler H2O 920」が装着されている。Kuhler H2O 920はラジエータ、ポンプ、水冷ヘッドが一体化したメンテナンスフリーのCPUクーラー。

 AntecではこのKuhler H2O 920のほか、下位モデルとなる「Kuhler H2O 620」の投入も予定している。両製品はラジエータの大きさが異なっており、920のほうがより厚みのあるラジエータを採用する。

 製品はKuhler H2O 620が2か月以内に発売され、その後にKuhler H2O 920が発売される順番となる。日本での発売も検討されているという。価格は前者が70ドル、後者が120ドルを予定している。

Antecブースで実施された1台の1,200W電源で、i7-980Xと2枚のGeForce GTX 580のPC 2台を動作させる続けるデモ2台のPCを動作させたさいの消費電力は1,190W近く、電源ユニットの1,200Wが定格出力の表示であることをアピールしているデモ機で使用されていたメンテナンスフリーのCPUクーラー「Kuhler H2O 920」。120mm角ファンのラジエータを一体化した製品
Kuhler H2O 920のヘッド部こちらは下位モデルとなる「Kuhler H2O 620」
Kuhler H2O 620のヘッド部の形状は、920と同様左がKuhler H2O 920、右がKuhler H2O 620。920にはファンが二つ付いているものの、ラジエータ部の厚みに差があることがわかる

 ケースの話題としては、SONATA IIIの後継モデルとなる「SONATA IV」の展示が行なわれた。ピアノブラックの塗装を特徴としたSONATA IIIのデザインを受け継ぎつつ、前面のUSBポート1基をUSB 3.0に対応させたほか、電源ユニットを500Wから620Wへ強化している。

 なお、USB 3.0の内部接続については、SONATA IVではマザーのI/Oリアパネルに引き回す方式となるが、その後に登場するモデルでは、Intelのガイドラインに基づく内部ヘッダピン仕様が採用されるとのことだ。

SONATAシリーズの最新作となるSONATA IV。デザインはSONATA IIIを踏襲するがフロントUSBの1基がUSB 3.0になっている電源もSONATA IIIの500Wから620Wに強化。500Wでは不安というユーザーの声に応えたものという

 このほか、2010年6月のCOMPUTEX TAIPEIにおいてリリースを予告したスピーカーについてのデモルームがブースに用意された。スピーカー自体はCOMPUTEX TAIPEI時にレポートをお届けしたとおり。ただ、このデモルームに設置された液晶TVの側面にはLEDが埋め込まれており、これも同社の新製品とのことで、ここでお伝えしておきたい。

液晶ディスプレイの背面に貼り付けることで、黒が引き締まり、コントラストが高まって見えるようにするためのLED。USBバスパワーで駆動する

 このLEDは、TVやPCの液晶ディスプレイの脇に取り付けることで、相対的にTVの黒を強調することで、TVのコントラストが高まるように感じられるようにするもの。六連の白色LEDを備えており、USBバスパワーで駆動することができる。価格は12ドルで、4月の発売を予定している。


●CorsairがObsidianシリーズの小型版を展示

 Corsairのブースでは、Obsidianシリーズの最小型モデル「650D」が展示された。小型といっても一般のミドルタワーケースで、5インチベイ×4基、HDDベイ×6基の構成となる。上位のフルタワーモデルとは異なり、Extended ATXはサポートしていない。

 上部には2.5インチSSDなどを取り付け可能なSerial ATAコネクタを備えるほか、フロントインタフェースにはUSB 3.0×2も装備。また、トップとフロントに200mm角ファンを装着可能となっている点も特徴として挙げられている。価格は199ドルで、3月の発売が予定されている。

Corsairが展示したObsidian 650D。Obsidianシリーズ初のミドルタワーモデル内部の様子。HDDは独立したガイドケースを備える
上部にはSerial ATA端子を装備。2.5インチSSDなどを接続可能フロントインタフェースはUSB 3.0×2を装備しているのが特徴。ただし背面からケーブルを通してマザーのIOリアパネルへ接続する方式となる
リード最大480MB/secをうたう、Serial ATA 6Gbps対応のSSD「P3シリーズ」

 このほかCorsairブースでは、Serial ATA 6Gbpsに対応したSSD「P3シリーズ」も展示していた。CrucialのC300に近いハードウェア構成ながら、ファームウェアが異なることで、より高い性能を発揮できるという。公称速度はリード480MB/sec、ライト320MB/sec。来月にも発売される予定になっている。


●ShuttleはSandy Bridge対応のキューブ製品を展示

 キューブ型PC/ベアボーンでおなじみのShuttleのブースでは、Intel H67を搭載するキューブ型製品「Shuttle H3シリーズ」を展示。マザーボードに「SH67H3」を採用した、Sandy Bridge対応製品となる。

 ディスプレイ出力にDVIとHDMIを備えるほか、USB 3.0端子を前面に2基、背面に2基備えるのが特徴的。拡張スロットはPCI Express x16とx1を1スロットずつ備えている。製品はすでに量産可能な体制にあるという。

Intel H67搭載マザーを組み合わせたSandy Bridge対応キューブ「Shuttle H3シリーズ」前面にはUSB 3.0×2のほか、eSATA/USB 2.0兼用ポートを備えている内部の様子。PCI Express x16スロットも1スロット備えている
背面。インタフェースはDVI、HDMI、USB 3.0×2、USB 2.0×5といったあたりが特徴電源側の側面。16Aの12Vラインを2系統備える300W電源を採用している

 このほか、OEM向けではあるものの、Tegra 2搭載のAndroidタブレットも展示された。「P10AN01/02」(カラーリングにより型番が異なる)で、1,024×600ドットの10.1型マルチタッチ液晶を搭載。3G、Wi-Fi、Blutoothの通信機能を備える。Androidのバージョンは2.2。

 このほか、プロセッサにVIAのWM8605を搭載する10.1型と7型のAndroidタブレットも展示されている。こちらのAndroidバージョンは2.1となっている。いずれも独自のUIを付加したデモを実施していた。

Tegra 2を搭載する「P10AN01」。10.1型のAndroid 2.2採用タブレット上部は電源スイッチのほか、デバイスロック、外部ディスプレイへの出力スイッチを持つサイドにはHDMI、USB、SDカードスロットを備えている
こちらはVIAのWM8605を搭載するAndroid 2.1タブレット。液晶サイズは10.1型で解像度は800×480ドットとなっている同じくVIAのWM8605を搭載するAndroid 2.1タブレットで、液晶サイズは7型

(2011年 1月 11日)

[Reported by 多和田 新也]