オーバークロック特化型マザーを来週発表
GIGABYTEブースでは、今春発売予定のオーバークロッカーやゲーマー向けに特化したマザーボードのほか、3D Vision対応ノートPC、スモールフォームファクターの標準規格に関する製品の展示が行なわれている。
●“オーバークロッカーだけ”に向けたマザーボードGIGABYTEが展示した「GA-X58A-OC」は、Intel X58 Express+ICH10Rを搭載するLGA1366マザーボードである。特徴はオーバークロックに特化した設計を施している点だ。後述のとおりGIGABYTEでは、ゲーム特化の別製品もリリースしている。他社製品ではゲーマーとオーバークロッカーの両方をターゲットにしたマザーボードが多いが、「ゲームとオーバークロックでは求められるものがまったく違うので、両方の目的を同時に追求するのではなく、それぞれ製品を分けた」(マザーボード・プロダクトマネージャのハンター・リー氏)としている。
GIGABYTEが来週発表を予定しているオーバークロッカー向けマザーボード「GA-X58A-OC」 |
GA-X58A-OCはヒートシンクやスロットにオレンジをあしらったデザインが特徴だが、これはオーバークロックを「HOT」というイメージに結びつけてのものだという。なお、展示されていたマザーボードは試作品で、製品化の際にはノースブリッジ上のヒートシンクにLEDが埋め込まれる予定だ。
本製品がオーバークロックを意識してどのような機能を盛り込んでいるかについてだが、それを示すキーワードとして、「OC-VRM」「OC-Touch」「OC-PEG」「OC-Cool」「OC-DualBIOS」の5つが挙げられている。
OC-VRMは文字通り、VRM周りの設計である。8ピン×2の電源端子を備え、最大1,500Wを入力。チョークコイルに効率の良いMFCを用いて、CPUへは1,200Wの電源供給を可能にしているという。また、VRMのPWMコントローラのクロックを3段階で切り替えることができるディップスイッチを備えている。
OC-Touchはメモリソケット脇に用意されたオンボードスイッチを表す。これはCPUの倍率、BCLKのアップ/ダウンを行なうボタンや、とりあえず4GHzで動作させる「4Gボタン」、BCLKのアップ/ダウンステップを1MHz刻みと0.3MHz刻みに切り替える「Gearボタン」を備えている。
OC-PEGはSATAポート脇に備えられた、SATA電源端子コネクタのことで、このコネクタはストレージとは関係なく、PCI Expressスロットへの電源供給を強化するために用意されたものとなっている。
OC-Coolはヒートシンクの設計に関するキーワードで、スリットの入ったヒートシンクとヒートパイプの効果、7個のファン端子の装備により、CPUの熱を効率よく外へ排気することを謳ったもの。
OC-DualBIOSは、文字通り2つのBIOS領域を持つことを意味するが、GIGABYTE製品でおなじみの冗長化を目的としたものではなく、例えば新しいBIOSがリリースされたときに、とりあえず片方に入れて様子を見る、といったことを目的としている。そのため、自動的にバックアップを行なう機能はなく、オンボードのディップスイッチによって2つを切り替える仕組みとなっている。
このキーワード以外のポイントとしては、I/Oリアパネルについても紹介があった。写真を見ても分かるとおり、本製品のI/Oリアパネルは極めてシンプルで、よりレガシーなものを好む傾向にあるというオーバークロッカー向けにPS/2ポートを2基用意していたり、サウンド機能などをシンプルなものに留めるなど特徴的なものとなっている。余計なCPU処理が入る可能性があるI/Oデバイスはオーバークロックにとって足枷にしかならないことから、こうしたシンプルな設計にしたという。
本製品は3月第2週に発表予定。価格は280ドル以下が予定されている。
●ゲーマー向けの「G1-Killerシリーズ」や、Intel Z68/H61製品も展示
先に少し述べたゲーマー向け製品は「G1-Killerシリーズ」として、すでに情報が公開され、仕様などは同社Webページで確認できる。このCeBITでも、同社にとっての初めてのゲーマー向けマザーということで、G1-Killerシリーズを一斉に展示、アピールしている。
G1-killerシリーズはいずれもIntel X58 Express+ICH10Rを搭載するLGA1366向けマザーボードで、そのデザインのほか、Bigfoot TechnologyのKiller 2100と、CreativeのSound Blaster X-Fiのオンボード搭載が特徴となる。
最上位モデルの「G1.Assassin」は16フェーズのVRMと、4基のPCI Express x16スロットを持つことを特徴とするXL-ATXの製品。また、USB 3.0ポートを8基備えるのも下位モデルとの差別化ポイントだ。
中位モデルの「G1.Sniper」は、スタンダードなATXフォームファクタの製品で、VRMが8フェーズ、PCI Express x16が3スロットとなる。G1.Assassin同様にKiller 2100とSound Blaster X-Fiをオンボード搭載する。
最廉価モデルの「G1.Guerrilla」は、ATXフォームファクタの製品で、8フェーズVRM、Killer 2100の搭載、3基のPCI Express x16スロットといった点ではG1.Sniperと同様だが、Sound Blaster X-Fiをハードウェア実装せず、ソフトウェア処理で機能が提供される。
ゲーマー向けマザーボードの「G1-Killer」シリーズ最上位モデルとなる「G1.Assassin」 | ミドルモデルの「G1.Sniper」は、G1.Assassinに近い機能を持ちつつ、ATX版とした製品 | X-Fiのハードウェア処理を省略した点がポイントとなる最廉価モデルの「G1.Guerrilla」 |
このほか、Intel Z68 ExpressやIntel H61 Expressを搭載したマザーボードも展示している。Intel Z68 Express搭載の「GA-Z68Z-UD4H-B3」は、展示機では青色の基板を用いているが、実際の製品では黒い基板を用いる予定になっているという。
Intel H61 Expressを搭載する製品は、その製品名に特徴がある。ATXのIntel H61 Express搭載製品は「GA-P61-USB3-B3」という製品名となる。このP61は、H61をべーすにディスプレイ出力を省き、Pxxシリーズのようにビデオカードを接続して使用することを前提とした製品であることを意味しているという。
同様にmicroATX版のうちの1モデルは「GA-HA65M-D2H-B3」と、Intel H65 Expressというチップセットがあるように錯覚しそうな製品名であるが、これはSATA 6Gbps対応コントローラを追加していることから、“H67に近いH61搭載製品”という意味で、こうした製品名になったとしている。
Intel Z68 Expressを搭載する「GA-Z68X-UD4H-B3」 | ディスプレイ出力を持たないIntel H61搭載製品「GA-P61-USB3-B3」 |
こちらはIntel H61 Expressに加え、SATA 6Gbpsコントローラを搭載した「GA-HA65M-D2H-B3」 | Intel H61 Expressを搭載するmicroATX製品「GA-H61M-USB3-B 3」 |
●3D Vision対応ノートやWindowsタブレットの新製品
ノート関連製品の話題では、GIGABYTEでは初めてとなる3D Vision対応ノートが展示された。2月に発表された「P2532」をベースに、3D Vision対応としたもので「P2532V」の製品名で、4月の発売が予定されている。CPUはCore i7-2630QM、GPUはGeForce GT550Mとなっており、ディスプレイは15.6型の1366×768ドットのパネルを使用。USB 3.0も2基備えている。
タブレットPCでは、ビジネスユース向けではあるがWindows 7 Home Premiumをプリインストールした「S1080」を展示。1,024×600ドットの解像度を持つ10.1型液晶をベースとし、CPUはAtom N550または次期Atom製品となる「N570」を使用するとしている。製品の発表は今月末を予定している。
当然ながら本製品はタッチパネルでの操作を行なえるが、ビジネスユーザにはポインティングデバイスを求める声も大きいとのことで、画面両脇に光学センサー式のポインティングデバイスと左右ボタンを装備している。またタブレット製品ではまだまだ珍しいUSB 3.0を備えているのも特徴となる。厚みは14.94mm、重量は890gとなっている。
3D Visionに対応した15.6型ノートPC「P2532V」 | AtomベースのWindows 7タブレットPC「S1080」。液晶サイズは10.1型 |
USB 3.0を搭載。液晶脇の黒い円形状のものはポインティングデバイスである | 反対側にも各種I/Oを装備。液晶面の角にあるのがポインティングデバイスの左右ボタンとなる |
●液晶一体型フォームファクタ策定に向けての動き
昨今は液晶一体型製品も多くのメーカーが提供するようになっているが、GIGABYTEでは、この一体型向けフォームファクタ策定に向けて、Intelに働きかけているという。
GIGABYTEが「QianTen(乾天)ソリューション」と呼ぶ一体型システムは、マザーボードのレイアウト、熱設計、I/Oパネルのレイアウトなどを規格化することで、新しい製品をより速く提供することを可能にしたというもの。Intelからも近いうちに発表があるはず、とブーススタッフは説明している。
一体型向けフォームファクタ策定について積極的な活動を行なっているというGIGABYTE。マザーボードの各種レイアウトや熱設計を規格化するものとなる |
(2011年 3月 2日)
[Reported by 多和田 新也]