【COMPUTEX 2010レポート】【GIGABYTEカンファレンス編】
iPadを使った「クラウドオーバークロック」をデモ

会期:6月1日~6月5日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



 台湾GIGABYTE TECHNOLOGYは2日(現地時間)、プレスカンファレンスを開催し、同社の最新マザーボード「GA-X58A-UD9」などについて解説。この中で同社は、今後提供予定の「クラウドオーバークロック」のデモを公開した。

 GA-X58A-UD9はすでに日本でも発売されているハイエンド向けのマザーボードで、同社の提供する最新の技術が凝縮されている。まず1つめの特徴が、24フェーズの電源回路。これにより同社ではCPUに対してどのマザーボードよりも大きな電力を供給できるとしている。

 その証明として、今回、同社の実験室でCPUに1,500Wという電力を供給することに成功したビデオが公開された。これはあくまでも実験目的で、そのような動作を保証/推奨するわけではないが、こういったオーバースペックとも言える仕様を提供することで、オーバークロックに対する耐性を可能な限り高めているのだという。

GA-X58A-UD9CPUに1,500Wというとんでもない電力を供給可能ビデオではあるが、その様子も公開された

 また、この24フェーズの回路は、低負荷時には12フェーズ×2として、12フェーズずつを交互に動作させることができる。こうすることで、電源の寿命を延ばせるほか、一方が故障しても、片方だけで動作させることができる。

 さらにオーバークロック関連で、他社にない機能としてアピールされたのが、同社独自のユーティリティ「EasyTune 6」を使ったホットキー設定。これは、任意のオーバークロックの設定に対してホットキーを設定することで、いつでもその設定を呼び出し、リアルタイムで変更をかけることができるというもの。例えば、ベンチマークを走らせる際、ホットキーを使ってこまめにCPUクロックを制御することで、少しでもよい結果が出せるようになる。

 そして今回のカンファレンスで初めて披露されたのが、同社が「クラウドオーバークロック」と呼ぶ機能だ。一般的にクラウドとはインターネットに接続されたサーバーを利用したサービスを意味する。以下に説明するとおり、その点においてこのクラウドオーバークロックは、語弊があると言えるが、ハードコアユーザーに向けたキャッチーな愛称を敢えてつけたのだと思われる。

 さて、その肝心の機能だが、一言で言うと、ブラウザを使ってインターネット経由でPCのオーバークロック設定などを変更するというものだ。今回デモされたのはベータ版なので、製品版では機能や設定項目が変更される可能性があるが、EasyTuneのように、CPUのベースクロックや倍率、メモリクロック、PCI Expressのクロックなどを設定できる。そして実行すると、ネット経由でPCに変更が即座に反映される。

 クラウドオーバークロックを行なうのに必要なのは、ブラウザだけなので、会場ではiPadを使って、デスクトップマシンの設定をリアルタイムで変更した(ただし、回線はLAN接続)。

 このほかにも、クラウドオーバークロックには、CPUのファン回転数、温度、電圧などをモニタリングする機能や、電源のオン/オフ、再起動なども実行できる。

 果たして、実際にインターネット経由でのオーバークロックが必要な状況があるのかと言われると、ニーズを見いだすのは難しいが、この世界はやったもの勝ち、言ったもの勝ちというのもあるので、ひとまず他社製品にはない機能の1つとしてとらえておくといったとこだろうか。

 もちろん、中身の伴わない機能だけつけても意味はないが、先日発表されたCPUのCore i5-665KやCore i7-875Kを使ったオーバークロックの世界記録は、いずれも同社の「GA-P55A-UD7」が使われたことが紹介された。

クラウドオーバークロックと言われてもピンとこないが、要はネット経由でオーバークロックができるというもの実際に会場でiPadを使ったデモが行なわれた
ベータ版ではあるがその操作画面。ブラウザさえあればOKシステムのモニタリングや電源のオン/オフ操作もできる

USBポートに通常の3倍の電力を供給

 オーバークロック以外で同社が最近力を入れているのがUSB周り。一部製品では「ON/OFF Charge」と呼ばれる機能に対応したUSBポートを装備。これは、最近一部のノートPCなどで採用されている、PCの電源がオフであってもポートに給電を続ける機能と、USB 2.0なら1,500mA、USB 3.0なら2,700mAという通常の3倍の電流を供給する機能の総称。これにより、PCの電源状況に関わらず、そして通常のPCより高速に他の機器に給電できるというのがウリだ。具体的には最大で4割、充電時間を短縮できるという。

 同社は「www.usb3motherboard.com」というコミュニティサイトも立ち上げており、同社のマザーボードだけでなく、USB 3.0に対応した周辺機器を幅広く紹介したりしており、USB 3.0のエコシステムの拡大に積極に務めていくという。

(2010年 6月 3日)

[Reported by 若杉 紀彦]