イベントレポート

10万円以下のCopilot+ PCを実現する最廉価版Snapdragon X登場。ミニPCもLenovoから

Snapdragon Xのパッケージ

 Qualcommは、1月6日にCopilot+ PC対応CPUの最廉価版となる「Snapdragon X」を発表した。昨年の9月に発表した「Snapdragon Plus 8-core」で導入した、8コア版のダイを活用し、より廉価版向けのクロック周波数設定などにより、Copilot+ PCがノートPCの価格を600ドル以下、日本円にすると10万円以下のレンジの製品を実現することが可能になる。

 今回QualcommはCESで、そうしたSnapdragon Xを搭載したノートPCや、ミニPCなどを展示して注目を集めた。

600ドル以下と日本円で10万円以下のCopilot+ PCを実現するSnapdragon X

左がSnapdragon X Elite、右がSnapdragon X

 Qualcommは一昨年(2023年)の10月に行なわれた発表会においてSnapdragon Xシリーズの最初の製品となる「Snapdragon X Elite」を発表した。その後にバリエーションとして、「Snapdragon X Plus」を2024年4月に発表し、さらにその8コア版となる「Snapdragon X Plus 8-core」を9月に発表。そして今回その最廉価版としてSnapdragon Xを発表した形になる。

 今回発表されたSnapdragon Xは1SKUで、型番はX1-26-100。スペックはCPUが8コアで、L2キャッシュが30MBで、9月に発表されたSnapdragon X Plus 8-Coreの下位SKUとなるX1P-42-100と同じくGPUは1.7TFLOPSの性能を実現している。NPUは上位モデルと同じく45TOPSとなっているため、Copilot+ PCの要件を満たすことが可能になる。

左がSnapdragon X Elite、右がSnapdragon X。Snapdragon XがSnapdragon X Plus 8-coreと同じ小型ダイであることが分かる

 公開したSnapdragon Xのパッケージを確認する限り、Snapdragon X Plus 8-Coreと同じダイサイズに見えるので、おそらくSnapdragon X Plus 8-Coreとダイは同じだ。主な違いはCPUのクロック周波数で、Snapdragon X(X1-26-100)はマルチコア時の最高クロックが3GHzになり、ターボモード時のブーストクロックの設定がなく、最大動作クロックは3GHzとなる。今回のSnapdragon X(X1-26-100)を加えたSnapdragon XシリーズのSKU構成は以下のようになる。

【表1】Snapdragon XシリーズのSKU構成
ブランドパーツナンバーCPUコアキャッシュマルチコア時最大クロックブースト時最大GPU性能NPU性能メモリ(最大構成)
Snapdragon X EliteX1E-00-1DE1242MB3.8GHz4.3GHz(デュアルコア)4.6TFLOPS45TOPSLPDDR5x-8488
Snapdragon X EliteX1E-84-1001242MB3.8GHz4.2GHz(デュアルコア)4.6TFLOPS45TOPSLPDDR5x-8488
Snapdragon X EliteX1E-80-1001242MB3.4GHz4GHz(デュアルコア)3.8TFLOPS45TOPSLPDDR5x-8488
Snapdragon X EliteX1E-78-1001242MB3.4GHz-3.8TFLOPS45TOPSLPDDR5x-8488
Snapdragon X Plus 10-coreX1P-66-1001042MB3.4GHz4GHz(シングルコア)3.8TFLOPS45TOPSLPDDR5x-8488
Snapdragon X Plus 10-coreX1P-64-1001042MB3.4GHz-3.8TFLOPS45TOPSLPDDR5x-8488
Snapdragon X Plus 8-coreX1P-46-100830MB3.4GHz4GHz(シングルコア)2.1TFLOPS45TOPSLPDDR5x-8488
Snapdragon X Plus 8-coreX1P-42-100830MB3.2GHz3.4GHz(シングルコア)1.7TFLOPS45TOPSLPDDR5x-8488
Snapdragon XX1-26-100830MB3GHz-1.7TFLOPS45TOPSLPDDR5x-8488

 このSnapdragon Xは、システムの価格が600ドル(1ドル=158円換算で約9万4,800円)以下のノートPCを実現する。従来のSnapdragon Xシリーズを搭載したCopilot+ PCのシステムは10万円を超える価格設定が一般的だったが、それが10万円以下の価格帯になる。

CESでSnapdragon Xを搭載したOEMメーカーのノートPCが発表される、LenovoからミニPCも

CESで発表されたSnapdragon Xシリーズ搭載製品

 今回のCESで、Qualcommは報道関係者や同社顧客を対象にしたデモ展示ブースにおいてそうしたSnapdragon Xシリーズを搭載した最新の製品を展示、公開した。

ASUS Zenbook A14

 ASUSの「Zenbook A14」は、Snapdragon X Eliteを搭載したCopilot+ PCで、重量が900~980gと軽量な筐体を実現しており、14型ディスプレイを搭載したCopilot+ PC準拠のノートPCとしては世界最軽量になるという。

 このほかにも、「Acer Aspire 16 AI」、「ASUS Vivobook 14」、「ASUS Vivobook 16」、「ASUS Vivobook S16」などのSnapdragon Xを搭載したノートPCが展示された。

Acer Aspire 16 AI
ASUS Vivobook 14
ASUS Vivobook 16
ASUS Vivobook S16

 LenovoからはSnapdragon Xシリーズを搭載したミニPCが発表された。一般法人向けの「ThinkCentre neo 50q QC」、一般消費者向けの「IdeaCentre Mini x(1L、10)」で、いずれもSnapdragon X PlusないしはSnapdragon XをSoCに採用し、前者はメモリ16GBまで、後者はメモリ32GBまでの設定がある。いずれもLenovoからCopilot+ PCに準拠しているとアナウンスされている。

ThinkCentre neo 50q QC
IdeaCentre Mini x(1L、10)

 ThinkCentre neo 50q QCは2月から販売開始予定で価格は849ドルから、IdeaCentre Mini x(1L、10)は4月から販売開始予定で、価格は659.99ドルからとなっている。

Snapdragon X