イベントレポート
10万円以下のCopilot+ PCを実現する最廉価版Snapdragon X登場。ミニPCもLenovoから
2025年1月14日 10:02
Qualcommは、1月6日にCopilot+ PC対応CPUの最廉価版となる「Snapdragon X」を発表した。昨年の9月に発表した「Snapdragon Plus 8-core」で導入した、8コア版のダイを活用し、より廉価版向けのクロック周波数設定などにより、Copilot+ PCがノートPCの価格を600ドル以下、日本円にすると10万円以下のレンジの製品を実現することが可能になる。
今回QualcommはCESで、そうしたSnapdragon Xを搭載したノートPCや、ミニPCなどを展示して注目を集めた。
600ドル以下と日本円で10万円以下のCopilot+ PCを実現するSnapdragon X
Qualcommは一昨年(2023年)の10月に行なわれた発表会においてSnapdragon Xシリーズの最初の製品となる「Snapdragon X Elite」を発表した。その後にバリエーションとして、「Snapdragon X Plus」を2024年4月に発表し、さらにその8コア版となる「Snapdragon X Plus 8-core」を9月に発表。そして今回その最廉価版としてSnapdragon Xを発表した形になる。
今回発表されたSnapdragon Xは1SKUで、型番はX1-26-100。スペックはCPUが8コアで、L2キャッシュが30MBで、9月に発表されたSnapdragon X Plus 8-Coreの下位SKUとなるX1P-42-100と同じくGPUは1.7TFLOPSの性能を実現している。NPUは上位モデルと同じく45TOPSとなっているため、Copilot+ PCの要件を満たすことが可能になる。
公開したSnapdragon Xのパッケージを確認する限り、Snapdragon X Plus 8-Coreと同じダイサイズに見えるので、おそらくSnapdragon X Plus 8-Coreとダイは同じだ。主な違いはCPUのクロック周波数で、Snapdragon X(X1-26-100)はマルチコア時の最高クロックが3GHzになり、ターボモード時のブーストクロックの設定がなく、最大動作クロックは3GHzとなる。今回のSnapdragon X(X1-26-100)を加えたSnapdragon XシリーズのSKU構成は以下のようになる。
ブランド | パーツナンバー | CPUコア | キャッシュ | マルチコア時最大クロック | ブースト時最大 | GPU性能 | NPU性能 | メモリ(最大構成) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Snapdragon X Elite | X1E-00-1DE | 12 | 42MB | 3.8GHz | 4.3GHz(デュアルコア) | 4.6TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Elite | X1E-84-100 | 12 | 42MB | 3.8GHz | 4.2GHz(デュアルコア) | 4.6TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Elite | X1E-80-100 | 12 | 42MB | 3.4GHz | 4GHz(デュアルコア) | 3.8TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Elite | X1E-78-100 | 12 | 42MB | 3.4GHz | - | 3.8TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 10-core | X1P-66-100 | 10 | 42MB | 3.4GHz | 4GHz(シングルコア) | 3.8TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 10-core | X1P-64-100 | 10 | 42MB | 3.4GHz | - | 3.8TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 8-core | X1P-46-100 | 8 | 30MB | 3.4GHz | 4GHz(シングルコア) | 2.1TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X Plus 8-core | X1P-42-100 | 8 | 30MB | 3.2GHz | 3.4GHz(シングルコア) | 1.7TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
Snapdragon X | X1-26-100 | 8 | 30MB | 3GHz | - | 1.7TFLOPS | 45TOPS | LPDDR5x-8488 |
このSnapdragon Xは、システムの価格が600ドル(1ドル=158円換算で約9万4,800円)以下のノートPCを実現する。従来のSnapdragon Xシリーズを搭載したCopilot+ PCのシステムは10万円を超える価格設定が一般的だったが、それが10万円以下の価格帯になる。
CESでSnapdragon Xを搭載したOEMメーカーのノートPCが発表される、LenovoからミニPCも
今回のCESで、Qualcommは報道関係者や同社顧客を対象にしたデモ展示ブースにおいてそうしたSnapdragon Xシリーズを搭載した最新の製品を展示、公開した。
ASUSの「Zenbook A14」は、Snapdragon X Eliteを搭載したCopilot+ PCで、重量が900~980gと軽量な筐体を実現しており、14型ディスプレイを搭載したCopilot+ PC準拠のノートPCとしては世界最軽量になるという。
このほかにも、「Acer Aspire 16 AI」、「ASUS Vivobook 14」、「ASUS Vivobook 16」、「ASUS Vivobook S16」などのSnapdragon Xを搭載したノートPCが展示された。
LenovoからはSnapdragon Xシリーズを搭載したミニPCが発表された。一般法人向けの「ThinkCentre neo 50q QC」、一般消費者向けの「IdeaCentre Mini x(1L、10)」で、いずれもSnapdragon X PlusないしはSnapdragon XをSoCに採用し、前者はメモリ16GBまで、後者はメモリ32GBまでの設定がある。いずれもLenovoからCopilot+ PCに準拠しているとアナウンスされている。
ThinkCentre neo 50q QCは2月から販売開始予定で価格は849ドルから、IdeaCentre Mini x(1L、10)は4月から販売開始予定で、価格は659.99ドルからとなっている。