イベントレポート

Arrow Lakeは2024年後半登場で、デスクトップPCにも対応。低消費電力なLunar Lakeの実物も初公開

Lunar Lakeのパッケージを公開するIntel 上席副社長 兼 クライアントコンピューティング事業部 事業本部長 ミッシェル・ジョンストン・ホルトス氏

 Intelは12月にニューヨークで行なった発表会でCore Ultraプロセッサーを発表したが、1月9日(現地時間)から米国ネバダ州ラスベガス市で開催中のCESでは、ハイエンドゲーミングノートPC向けの「Core HXシリーズ・モバイル・プロセッサー(第14世代)」、そして昨年秋に出てきたデスクトップPC向け「Core デスクトップ・プロセッサー(第14世代)」のメインストリーム向けSKUなどを発表した。

 今回IntelはCES開幕前日となる1月8日(現地時間)に記者会見を行ない、Core HX(第14世代)やCore(第14世代)の追加SKUを正式に発表したほか、12月に発表したNPUを内蔵したCore Ultraを搭載した「AI PC」を多数紹介した。

AI PCはPC産業にとって大きな転換点になると、Intel、Microsoft、PCメーカーが一致

MSIのCrawを紹介するIntel 上席副社長 兼 クライアントコンピューティング事業部 事業本部長 ミッシェル・ジョンストン・ホルトス氏

 Intel 上席副社長 兼 クライアントコンピューティング事業部 事業本部長 ミッシェル・ジョンストン・ホルトス氏は、「AI PCはPC産業にとって転換点になる。AIはPCの位置づけや形を変えていくことになる」と述べ、同社が12月にリリースしたNPUを内蔵したCore Ultraと、それを搭載した「AI PC」(AIの処理をローカルのプロセッサで行なえるPCのこと)という同社の戦略が、今後1年という単位でなく、数年から数十年の単位でコンピューティングの形を変えていく可能性を指摘した。

AIがPCのユーザー体験を変えていく
AI PCはPC産業にとっての転換点になる
AI PCのデモでは手話をAIが理解して文字にして、音声入力で文字を入力する人との会話がPCアプリ上で可能に

 ホルトス氏は、OEMメーカーのCore Ultra搭載製品を紹介した後、ステージに米国の著名なコンピュータ関連のアナリストになるムーア・インサイトのパトリック・ムーアヘッド氏や、Dell、HP、Lenovo、そしてOSパートナーとなるMicrosoftの関係者をステージに呼び、AI PCに関して議論した。

ムーア・インサイト パトリック・ムーアヘッド氏(左)とIntelのホルトス氏
Dell Technologies クライアントソリューション事業部 事業本部長 サム・バード氏
HP パーソナルシステム事業部 事業本部長 アレックス・チョー氏
Lenovo Group 上級副社長 兼 Intelligent Devices Group President ルカ・ロッシ氏

 Lenovo Group 上級副社長 兼 Intelligent Devices Group President ルカ・ロッシ氏は「大規模言語モデル(LLM)をローカルで利用することになれば、プライバシーやセキュリティの懸念も軽減される。それがエンドユーザーにとってのキラーアプリケーションになる」と述べ、さらに活用が進むようになると指摘した。

Microsoft Windows・デバイス担当 執行役員 パヴァン・ダビュルリ氏

 Microsoft Windows・デバイス担当 執行役員 パヴァン・ダビュルリ氏は「MicrosoftはCopilot in WindowsやCopilot for Windowsでエンドユーザーの生産性を上げていく。今はまだスタートに過ぎず、今後Intelのようなシリコンパートナーと協力して、PCのエコシステムにもっとAIのパワーを提供していきたい。我々の未来はAIと共にある」と述べる。

 AI PCがOSベンダーであるMicrosoftにとっても非常に重要な取り組みと認識しており、ファーストパーティのISV(独立系ソフトウェアベンダー)としてOSやCopilot for Microsoft 365のような生成AI機能を積極的に実装していくという。

Arrow LakeはデスクトップPCをカバーし、Lunar LakeはCPUの電力効率が改善する新アーキテクチャ

IntelのクライアントPC向けロードマップ、24年後半にArrow LakeとLunar Lakeが投入される

 記者会見の最後にホルトス氏は2024年のIntelのクライアント向けCPUロードマップについても触れた。

 すでにIntelが明らかにしてきたように、2024年にArrow Lake、Lunar Lakeの2製品が用意されている。これまでIntelは両製品の投入時期を「2024年」とするだけで、具体的な時期を説明してこなかったが、今回「本年の後半で、どちらも順調に開発が進んでいる」と時期を少しだけ明確にして、両製品が2024年の後半に投入されることを明らかにした。

 ホルトス氏は「Arrow LakeはCore Ultraのアーキテクチャを拡張する製品になり、ハイパフォーマンスなゲーミングシステム向けの製品となり、デスクトップ向けのゲーミングCPUとなり、AIにも対応する」という。

 Arrow Lakeは、Core Ultra(開発コードネーム : Meteor Lake)の延長線上にある製品で、現状は存在していないCore UltraのデスクトップPC向け製品もラインナップに含まれることを正式に明らかにした。

 もう1つのLunar Lakeに関しては「Lunar Lakeは次世代のノートPC向けプロセッサとなる。新しい低消費電力なアーキテクチャを採用しており、CPUのIPCが向上して電力効率が改善される。そしてGPUとNPUのAI性能が、どちらも現行製品と比較して3倍になる」と述べた。

 Lunar LakeはMeteor Lakeと比較してCPUの電力効率が大きく改善し、さらにはGPUとNPUのAI推論性能(TOPSで表現される性能のことだと考えられる)がどちらも3倍になると明らかにした。

Lunar Lakeを公開するホルトス氏

 そしてホルトス氏は、Lunar Lakeの実物チップを初めて公開。DRAMとチップがSOMに実装されているLunar Lakeを、詰めかけた聴衆に向けて見せつけた。