イベントレポート

ASUS、新メカニカルスイッチ「ROG NX Snow」を採用したゲーミングキーボード

ASUSの新メカニカルスイッチ「ROG NX Snow」。従来ROG NXスイッチはレッド(赤)とブラウン(茶)だけだったが、そこにスノー(白)が加わる形となる

 ASUSは、5月30日より開幕しているPC関連の展示会COMPUTEX 2023に出展し、同社の最新製品などを展示して顧客にアピールしている。ブースなどでは、4月発表の13.3型OLEDと第13世代Coreを搭載して1kgという軽量さを実現した一般消費者向けモバイルPCとなる「Zenbook S 13 OLED (UX5304)」、14型OLEDと第13世代Coreを搭載してこちらも1kgと軽量さを実現している企業向けモバイルPCとなる「ExpertBook B9 OLED (B9403)」をハイライトした展示を行なっている。

 これに際し記者説明会を開催。同社の共同CEO サムソン・ヒュー氏が登壇し、企業戦略である2050年のカーボンニュートラル(CO2の排出と吸収のバランスが取れていること)実現に向けた新しい取り組みとして「ASUS Carbon Partner Services」を導入することを明らかにした。

 また、同社の強みである一般消費者向け製品のポートフォリオを、企業向けにも拡充する取り組みを行なっていて、ノートPCの「ExpertBook」シリーズの展開を強化しており、今回のCOMPUTEX 2023でもそうした製品にスポットライトを当てている。

 さらに、ROGブランド向けの新製品として新しいNXスイッチとなる「ROG NX Snow」を採用した独自無線、Bluetooth、USBの3方式での接続を可能にするROG Strix Scope II 96 Wirelessなどのキーボード製品を発表した。

顧客にASUS製品のCO2削減情報を提供するCarbon Partner Servicesを開始

ASUS 共同CEO サムソン・ヒュー氏

 ASUS 共同CEO サムソン・ヒュー氏は「我々は2050年にネットゼロ(筆者注:CO2排出と吸収を等しくすること、カーボンニュートラルとほぼ同義)を実現する意欲的なロードマップを引いている。2030年には台湾で再生エネルギーの利用率を100%にし、2035年にはそれをグローバルに展開する。そして最終的に2050年までに革新的な技術を導入するなどしてネットゼロを実現していく」と述べ、ASUSが企業目標として掲げている2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて着実に取り組んでいくと強調した。

2050年にネットゼロを実現するASUSの企業戦略

 現在、ほぼすべてのグローバル規模のPCメーカーがカーボンニュートラルへの取り組みを進めており、再生由来の素材をノートPCの部材として利用したりしている。PCメーカーがそうした取り組みを進めるのは、別に理念だけが先行しているわけではなく(もちろんそうした側面があることは否定しないが)、ユーザーとなる企業がそうした取り組みを求めているからだ。カーボンニュートラルの取り組みをしない企業は、この先存立できなくなる認識が企業の経営者にあるからだ。従って、PCを選択するときに、PCメーカーがそうした取り組みを行なっているかどうかが、選択時にチェックする項目の1つになっている。

製品レベルでもカーボンニュートラルの取り組みを進めていく

 そうしたカーボンニュートラルの取り組みを行なっているASUS製品の代表例としてヒュー氏は2つの製品をあげた。1つは4月にASUSが台湾で行なった発表会で発表された一般消費者向けのZenbook S 13 OLED (UX5304)、そしてもう1つが1月のCESで発表した企業向けのExpertBook B9 OLED (B9403)。いずれも再生由来のアルミニウムやマグネシウムなどが外装に使われていることが大きな特徴だ。

Carbon Partner Servicesの導入を発表

 ヒュー氏は「今回のCOMPUTEX 2023で我々は新しいサービスとなるCarbon Partner Servicesを導入する。このサービスを利用することで、顧客は購入したASUS PCでCO2排出削減がどのように行なわれているかを把握できるようになる。CO2削減がどの程度行なわれたのかを第三者機関が検証して顧客に直接その情報を届ける、柔軟で高精度なサービスとなる」と述べ、ASUSがPC製品においてどの程度CO2削減を行なっているのかを客観的なデータとして顧客に提供する、そうしたサービスを開始すると明らかにした。

 例えば再生由来のマグネシウムを利用しているExpertBook B9 OLED (B9403)の場合、29%の無駄な材料が削減され、最大75%製造にかかる時間を減らすなどすることで、CO2排出が減らされている。再生金属の利用率は70%に達しており、それは第三者機関により認証されていると説明している。

 Carbon Partner Servicesは、まずExpertCenter D9のデスクトップPC(D900MDR、D900SDR)とExpertBook B9 OLED (B9403)で開始され、今後ほかの製品にも広げられる計画だ。

今年の企業向けノートPCのイチオシは14型/990gと薄型軽量なExpertBook B9 OLED (B9403)

14型/990gと薄型軽量なExpertBook B9 OLED (B9403)

 続けてASUS テクノロジーマーケティング部長 サッシャ・クローン氏が同社の企業向けPCのラインナップに関して説明した。ASUSは、元々一般消費者向けPCを中心にビジネスを展開しており、日本でもそうだが、世界的に見ても家電量販店や直販、EC(通販)サイトといった販売網を活用して一般消費者向けのPCを販売してきた。そのブランドはZenBook、VivoBook、ゲーミング向けROGなどとなる。

ASUS テクノロジーマーケティング部長 サッシャ・クローン氏
企業向けノートPC「ExpertBook」シリーズのラインナップ

 しかし、ここ数年は企業向けPCにも力を入れていて、ノートPCは「ExpertBook」、デスクトップPCは「ExpertCenter」のブランドを利用して製品展開を行なっており、地域の特性によるが、SIや企業向けの代理店などを経由した販売に力を入れている。

ExpertBook B9 OLED (B9403)の概要
薄さは15.78mmで900gと薄型軽量ノートPC
再生由来の素材を使用している
4mmの狭額縁で14型16:10 2.8K OLEDパネルを採用している
SmartCoolingを採用
ディスプレイ上部にはRGBのカメラと左右にIRカメラが用意されており、Windows Helloの顔認証が高速に行なえる

 クローン氏によれば、そうしたASUSの企業向けノートPCの2023年モデルを象徴するのが、ExpertBook B9 OLED (B9403)で、「14型/16:10/2.8KのOLEDを搭載し、15.78mmの薄さ、990gの軽量さを実現している」と強調し、今年のモデルでのイチオシであると説明した。

 14型のビジネス向けノートPCは、今や企業向け製品の主戦場になっており、狭額縁化が進んだことで、従来の13型級の底面積に14型を入れることが可能になっているため、ビジネスでノートPCを持ち歩く必要があるビジネスパーソンに人気を博している。ASUSのExpertBook B9 OLED (B9403)もそうした製品の1つである。

 前述の通り、無駄な材料や製造時の時間削減などが行なわれているほか、ASUSがSmart Coolingと呼んでいる熱設計技術を活用し、温度低下、ノイズ削減、電力効率の最適化などが実現されている。

新しいNX Snow Switchを採用したUSB/BT/2.4接続のROGキーボードも発表される

ROG Strix Scope II 96 Wireless

 最後に、ASUS ゲーミングギア・ACCY事業部 上席部長 イアソン・リー氏が新しいキーボード製品を紹介した。ROG Strix Scope II 96 Wirelessは、ASUSのROGブランドキーボードで最近採用されているキースイッチそのものを交換できるタイプのキーボードで、標準状態では「ROG NX Snow」という新しいホワイトカラーのメカニカルスイッチが標準添付されて出荷される。また、USB、Bluetooth、独自の2.4GHz無線という3つの方式でPCと接続できることも特徴で、よりレイテンシなどを削減したROG Omni Receiverと組み合わせて利用できる。

ASUS ゲーミングギア・ACCY事業部 上席部長 イアソン・リー氏
ROG NX Snowの特徴
3つの方法で接続できる
ROG Omni Receiverは低レイテンシ

 リー氏は「ROG NX Snowは従来のものと比較すると、やや固めで、すっと入っていきやすくなっている」と述べROG NX Snowを利用するとより素早い入力が可能になるとアピールした。

 なお、リー氏が公開したスライドを見る限りは、作動点が1.8mm、アクチュエーションポイントが40gf、総合力55gという点は、既に発売されているNXスイッチのうちNX Redと同様になっている。

 ただし、キーストロークは4mmから3.6mmに減っており、それがROG NX Snowの特徴であると考えられるだろう。また、従来のメカニカルスイッチに比較すると、キートップのグラグラが減っており、それにより安定した入力が可能であるとも説明した。

ROG NX Snowを装着したASUSのROGキーボード、キーボード左の器具でスイッチを交換できる

 これらの製品やCESで発表された23年モデルのPC、4月に発表されたZenbook S 13 OLED (UX5304)などは、6月2日までの予定で行なわれているCOMPUTEX 23のASUSブースで展示される予定になっている。