イベントレポート

AMD、RDNA 3で21.4TFLOPSを実現するノートPC向けGPU「Radeon RX 7000M/S」

Radeon RX 7000M/Sシリーズ

 AMDは、1月5日(米国時間)に開幕するCESの前日基調講演に、同社CEO リサ・スー氏が登壇し、ノートPC向けの単体GPU「Radeon RX 7000Mシリーズ」と「Radeon RX 7000Sシリーズ」を発表した。

 12月に販売開始されたデスクトップPC向けのディスクリートGPU「Radeon RX 7900」シリーズにも採用されている、最新アーキテクチャのRDNA 3が使われているのが特徴。

 Radeon RX 7900シリーズは、1つのGCD(Graphics Compute Die)と6つのMCD(Memory Cache Die)から構成されているチップレットになっていたが、モバイル向けは両製品ともにモノリシックなダイになっていることが大きな違いになる。

 いずれも6nmプロセスルールで製造され、最上位モデルのRadeon RX 7600M XTおよびRadeon RX 7700Sはいずれも単精度の浮動小数点演算(FP32)で21.4TFLOPS、20.5TFLOPSの演算性能を実現している。

【訂正】当初FP32の性能について、Radeon RX 7600M XTとRadeon RX 7700Sを32TFLOPS、Radeon RX 7600MとRadeon RX 7600Sを28TFLOPSと表記していましたが、AMDから初期資料が間違っていたとの訂正が入ったため、該当箇所を修正いたしました。正しくはRadeon RX 7600M XTが21.4TFLOPS、Radeon RX 7700Sが20.5TFLOPS、Radeon RX 7600Mが17.3TFLOPS、Radeon RX 7600Sが15.7TFLOPSです。

RDNA 3を採用したノートPC向け単体GPU、21.4TFLOPSの性能を実現している

RDNA 3がモバイル向けGPUに

 AMDが発表したのはゲーミングノートPC向けのRadeon RX 7600Mシリーズと、薄型・軽量ゲーミングノートPC向けのRadeon RX 7000Sシリーズだ。

 いずれもCU(Compute Unit)は最大32(下位モデルは28)になっており、AMDがNavi 33のコードネームで開発してきたRDNA 3ベースのGPUダイに基づいていると考えられる(AMDはダイの開発コードネームを明らかにしていない)。

【表1】Navi 31とNavi 33の違い(筆者作成)
Navi 31Navi 33
チップ構造チップレット(GCD+6MCD)モノリシック
プロセスルール5nm(GCD)/6nm(MCD)6nm
ダイサイズ300平方mm+6x37平方mm204平方mm
Cu(最大)9632
メモリバス幅384bit128bit

 Radeon RX 7900 XTXなどに採用されているNavi 31との最大の違いは、Navi 31が1つのGCDと6つのMCD(キャッシュ+メモリコントローラ)から構成されているチップレットになっているのに対して、Navi 33はメモリコントローラも1つのチップに統合されているモノリシックなダイになっていることだ(ビデオメモリはいずれも外付け)。

 最大32個のCUを内蔵しており、メモリコントローラは128bitでGDDR6に対応、32MBのインフィニティキャッシュを搭載している。また、Navi 31はGCDが5nm、MCDが6nmで製造されているが、Navi 33は6nmで製造されていることが違いとなる。

Radeon RX 7600Mシリーズ
性能

 Radeon RX 7000MシリーズはGPUの消費電力が、上位モデルは75W~120W、下位モデルは50~90Wをターゲットにしており、より熱設計に余裕がある大型のノートPC(IntelのCPUなら第13世代Core HX、AMDのCPUならRyzen 7045シリーズのシステム)に搭載されることを意識したディスクリートGPUとなる。

 上位モデルのRadeon RX 7600M XTは32CU、8GBのGDDR6メモリ、メモリバス幅は128bit。単精度浮動小数点(FP32)の演算性能は21.4TFLOPSとなる。

Radeon RX 7000Sシリーズ
性能

 Radeon RX 7000Sシリーズは、GPUの消費電力が上位モデルは75~90W、下位モデルは50~75Wとなっており、Mシリーズよりもやや消費電力が少ない設定が可能になる。

 このため、薄型・軽量のゲーミングPCに採用可能で、Intelで言えば第13世代Core H、AMDで言えばRyzen 7040シリーズ(HS)などのCPUを搭載したノートPC向けのGPUとなる。

【表2】Radeon RX 7000MシリーズとRadeon RX 7000SシリーズのSKU構成
Radeon RX 7600M XTRadeon RX 7600MRadeon RX 7700SRadeon RX 7600S
アーキテクチャRDNA 3RDNA 3RDNA 3RDNA 3
Cu32323232
シェーダープロセッサ2,0481,7922,0481,792
GDDR6メモリ容量8GB8GB8GB8GB
メモリバス幅128bit128bit12bit128bit
メモリ速度18Gbps16Gbps18Gbps16Gbps
インフィニティキャッシュ32MB32MB32MB32MB
GPUパワーレンジ75~120W50~90W75~100W50~75W
FP32スループット21.4TFLOPS17.3TFLOPS20.5TFLOPS15.7TFLOPS
DellのAlienware M18/M16に採用される
ASUSのTUF Gaming A16にも採用

 AMDによれば、両製品を搭載したノートPCは2月から順次OEMメーカーから発売されることになる。DellのAlienware M18/M16、ASUSのTUF Gaming A16などに採用されることが明らかにされている。

モバイル向けRadeon RXのGPU