イベントレポート

IFA 2022が3年ぶりにリアル開催。46カ国1,100社が参加で規模も最大級に

IFAの会場になるベルリン・メッセ、本格的なイベントとして開催されるのは2019年9月以来となるので約3年ぶり

 IFAは毎年9月上旬にドイツのベルリンで開催される、ITとデジタル家電の展示会だ。この2年はパンデミックの影響で、2020年は大幅に縮小されてほぼドイツ国内のイベントとして開催され、2021年にはリアルは中止されデジタルイベントとして開催されてきた。

 今年(2022年)は、4月の段階で主催者のメッセ・ベルリンによれば46カ国から1,100のメーカーやブランドを集めて行なわれ、その展示会場の床面積は15万1千平方mに達しており、同社によれば今年世界中で行なわれた展示会の中では最大になっているという。

 9月1日夜(現地時間)にはプレイベントとして報道関係者を対象にした「Show Stoppers」が行なわれ、出展ベンダーなどが各種の製品を展示した。

2年連続で通常開催できなかったIFA。年末商戦向けの新製品発表の場として復活

会場となるメッセ・ベルリンには非常に多くのホールがあり、それがほぼすべて使われる形でIFA 2022が開催される

 IFA(主催者はアイエフエーと発音している、業界ではイファと呼ばれる事が多い)は、例年9月にドイツ共和国のベルリン市にあるベルリン・メッセにおいて、9月上旬に開催されている。

 このIFAは家電メーカーやPCメーカー、スマートフォンメーカーにとって、年末商戦(米国で言えば感謝祭やクリスマスセールなど、日本では冬のボーナス商戦)などをターゲットにした製品を発表する場として活用されており、PCメーカーは年末商戦で目玉となるような製品をIFAで発表することを通例としてきた。

 2020年の初頭に発生したCOVID-19のパンデミックにより、この2年多くの展示会が中止や縮小を強いられてきた。しかし、欧米では2022年初頭のオミクロン株の流行が終わった段階で、COVID-19の感染拡大には一段落がついたという考えにより、いわゆる「ウィズコロナ」での経済活動が再開された。

 そのため、今回のIFAは健康上の制約(つまり、参加するにはワクチン接種が必要など)は一切なく、ワクチンを接種済みだろうがそうでなかろうが参加できるようになった。

 ただ、ベルリン市の鉄道(SバーンやUバーンなど)に乗るにはマスクの装着が義務になっており、会場でマスクをする必要はないが、鉄道で移動する際には必要になる。このため、会場でもマスクをしている人は筆者の見立てでは2~3割といったところだった。日本から渡航すると「同じ惑星なのか?」と思うほどだ。

パナソニックなども出展
9月1日の段階では会場設営が続いていた
半導体メーカーQualcommのブース、Qualcommは9月2日10時(現地時間)に同社CEOのクリスチアーノ・アーモン氏による基調講演が予定されている

 そうした中だが、Samsung、LGといった韓国勢や、パナソニックや東芝などの日本勢などの多くのブランドメーカーが従来と同じようにブースを出しており、すでに8月31日や9月1日から報道関係者などを対象に事前公開したりしているなど、展示会自体は9月2日からだが、準備が進んでいた。

Jabraの新しいミドルレンジのワイヤレスイヤフォンやTargusの何も捨てる必要がないパッケージのバックパック

Jabra Elite 5

 そうした中、展示会自体は9月2日から開始する予定だが、9月1日の夜には、毎年IFA展示会開幕前日の夜に行なわれている「Show Stoppers」が、メッセ・ベルリンの「サウスエントランス」(南口)を利用して行なわれた。

 このShow StoppersはIFAだけでなく、CES、MWCなどでも行なわれている報道関係者をターゲットにしたイベントで、それぞれのイベントで出展社が展示する製品をほかのメーカーに先駆けて見ることが可能な人気のイベントだ。IFAでは主催者との協力のもと、公式イベントとして行なわれている。

 別記事でも紹介しているLenovoやAcerなどのPCメーカーなども参加しているほか、JabraやTargusといったPC用の周辺機器を提供する周辺機器メーカーも参加しており、新製品を展示していた。

Jabra Elite 5

 Jabraは新しいワイヤレスイヤフォンとして「Jabra Elite 5」を展示した。149ドル/149ユーロという比較的低価格を実現したElite 5はミドルレンジ向けの製品でありながら、Qualcomm QCC3050 Bluetooth chipsetを採用することで、安価にANC(アクティブ・ノイズ・キャンセレーション)を実現した製品となる。

 マイクは6つ用意されており、それを利用することで、ANCを実現する。付属のケースと合わせて最大28時間のバッテリ駆動が可能なほか、IP55相当の防塵・防水機能に対応している。

 また、マルチポイント接続にも対応しており、MicrosoftのSwift Pair、GoogleのFast Pairという簡単ペアリングの機能も利用可能。いずれも上位製品でサポートされている機能を備えていることが特徴と言える。

Targusの「何も捨てる必要がないパッケージを採用したバックパック」

 周辺機器メーカーのTargusは、「何も捨てる必要がないパッケージ(zero-waste packaging)を採用したバックパック」を展示した。これは、購入時に付属してくるプラスチックの外箱を、折りたたんでバックパックの背骨にすることで、パッケージも無駄なく活用できるという「エコ」に配慮した製品となる。

Show Stoppersで展示されていた大容量の蓄電池やソーラーバッテリなど

 今回のIFAではサステナビリティ(持続成長性)が1つのテーマになっており、各社とも環境に配慮した製品を多く出展。何も捨てる必要がないパッケージもそうした製品の1つと言える。

 また、2月に発生したウクライナ紛争により、エネルギーに対しての注目も集まっており、今回のShow Stoppersでも大容量の電気を蓄電できるバッテリなどが数多く展示されていた。

 いつの時代でもそうだが、展示会に出展される製品というのは世相を表わしていることが多い。今回のShow Stoppersから今の世界事情が読み取れる。