イベントレポート
Phison、容量8TBのM.2や16TBの2.5インチSSDを展示
2020年1月14日 06:00
Phison Electronicsは、CES 2020に合わせて、QLC 3D NANDをベースとした大容量SSDのリファレンスデザインを公開し、実際のサンプルを展示した。
SSDの容量は、多段積層型の3D NANDの進化や、1セルあたり4bitのデータを記録できるQLC NANDの登場によって、容量が増大している。今回Phisonが展示したSSDのリファレンスデザインは、いずれもQLC 3D NANDを採用し、性能を落とすことなく大容量化や優れた効率性を目指すものとなっている。
M.2 2280フォームファクタにおいては、容量8TBを実現したサンプルを展示した。既存のPCIe 3.0対応コントローラの「E12」をベースに、パッケージを小型化した「E12S」を開発してコントローラの実装面積を減らし、片面に4チップ、両面で最大8チップのNANDチップの搭載を可能としている。そして、1チップあたり1TB(8Tbit)の容量を実現するQLC仕様の96層3D NANDの採用によって、M.2 2280フォームファクタで最大8TBの容量を実現する。
実際に公開されたサンプルのSSDでは、Micronの96層QLC 3D NAND採用のNANDチップを8チップ搭載し、8TBを実現。より小型のM.2フォームファクタについても、大容量化を可能にするという。
E12Sは、E12同様にPCIe Gen3×4/NVMe 1.3に対応。容量可変のSLCキャッシュ機能により、シーケンシャルアクセスはリード最大3,400MB/s、ライト最大3,000MB/s、ランダムアクセスはリード最大490,000IOPS、ライト最大680,000IOPSを実現。性能的にも、MLC NAND採用のモデルと比べて遜色のないものとなっている。また、ベンチマークテストでも仕様どおりの速度を発揮していることを確認した。
また、PCIe 4.0対応M.2 SSDでも、QLC 3D NANDを採用した容量4TBのサンプルを展示。PCIe 4.0対応SSDコントローラ「E16」採用の高速SSDは2019年に発売済みとなっているが、それらはいずれもTLC 3D NANDを採用している。それに対し今回展示されたサンプルは、コントローラこそ同じE16だが、MicronのQLC 3D NANDを採用することで容量4TBを実現している。
性能は、MLC NAND採用時よりもやや低くなっているが、容量可変のSLCキャッシュ領域を用意することで、シーケンシャルアクセスはリード最大4,900MB/s、ライト最大3,800MB/s、ランダムアクセスはリード最大330,000IOPS、ライト最大800,000IOPSと、PCIe 3.0対応SSDを大きく上回っている。こちらも、ベンチマークテストで公称に匹敵する性能を確認できた。
7mm厚2.5インチフォームファクタのSATA SSDにおいても、同様のアプローチによって16TBの容量を実現するサンプルを展示。こちらのサンプルでは、SATA 6Gbps対応SSDコントローラ「S12」と、Micronの96層QLC 3D NANDを採用することで16TBの容量を実現。性能は、容量可変のSLCキャッシュを活用し、シーケンシャルアクセスはリード最大550MB/s、ライト最大530MB/s、ランダムアクセスはリード95,000IOPS、ライト900,000IOPSとなる。
加えて、同じくSATA 6Gbps対応SSDコントローラ「S13」と、キオクシア(旧東芝メモリ)の96層QLC 3D NAND「BiCS4」採用の1,920MBモデルのサンプルも展示。こちらは、価格性能比に優れるモデルとして位置付けられるそうで、SLCキャッシュ領域は固定となるが、シーケンシャルアクセスがリード最大550MB/s、ライト最大500MB/s、ランダムアクセスはリード最大90,000IOPS、ライト最大90,000IOPSと、こちらも申し分ない性能となっている。
これらリファレンスデザインを採用するSSDは、今年(2020年)後半あたりから順次登場してくることになるという。気になる価格だが、現在では1TBあたりの価格が100ドルほどになっているので、16TBでも1,600ドルほどで登場するだろうとの見通しを示した。
この他にも、Thunderbolt 3接続やUSB 3.1接続の外付けSSD、容量1TBのmicroSDカードなど、QLC 3D NAND採用のサンプルも展示し、Phisonとして今後QLC 3D NANDへの対応を進めていくとした。