イベントレポート

Samsung Galaxy S9/S9+、DeX Pad実機レポート

Galaxy S9+

 Samsung Electronicsは、スペインで開催されるMobile World Congress 2018に先だって24日(スペイン時間)から記者会見を開催し、「Galaxy S9」、「同S9+」(Samsung、最新SoCを採用し、カメラをさらに強化したGalaxy S9/S9+)、「DeX Pad」(Samsung、スマホをPC的に使える新ドッキングステーション参照)を発表した。

 本レポートでは、そうした新しい3製品を写真を中心に紹介していきたい。

SoCとカメラが主な強化点になるGalaxy S9、Galaxy S9+

 Samsung Galaxy S9とGalaxy S9+の、ハードウェア的な違いは大きく3つある。1つめはディスプレイがS9は5.8型OLEDであるのに対して、S9は6.21型OLEDとなっておりやや大きくなっていることだ。

 2つめは背面カメラがS9は単眼であるのに対して、S9+は複眼になっておりテレ側、ワイド側と2つのレンズを使い分けることができる。SoCはSamsung Exynos9810ないしはQualcomm Snapdragon 845を搭載したハイエンドスマートフォンで、メモリは4GB(S9)/6GB(S9+)、ストレージが64GBというスペックはほぼ同じになっている。

 3つめはバッテリ容量がS9は3,000mAh、S9+は3,500mAhとなっていることだ。

Galaxy S9+
Galaxy S9+のバッテリは3,500mAh
Galaxy S9のバッテリは3,000mAh

 Galaxy S9+は複眼カメラが大きな特徴だ。従来のGalaxy S8+は単眼だったのでこの点は大きな強化点となる。Galaxyシリーズで複眼の製品と言えば、「Galaxy Note8」が昨年(2017年)にリリースされているが、Galaxy Note8では背面に複眼のカメラと指紋センサーが横に配置される形になっており、ユーザーからは指紋センサーと間違えてカメラを触ってしまうという不満の声もでていた。

 Galaxy S9+では、複眼カメラ、指紋センサーが縦一列に配置されており、指紋センサーとカメラの間に若干のスペースが設けられているため、従来よりは間違ってカメラを触ってしまうということは少なくなりそうだ。

Galaxy S9+のカメラ
Galaxy S9のカメラ

 それ以外の点ではハードウェア的にはGalaxy S8+と共通点が多い。上部にピンを利用して取り出すタイプのトレイ型のSIMスロット(Nano SIMカード+microSDカードスロット)が用意されているほか、左側面にボリュームボタンとAIサービスのBixbyを呼び出すボタン、右側面に電源ボタン、そして底面にヘッドホン端子とUSB Type-C端子という構造は、Galaxy S8/S8+/Note8と共通のデザインになっている。

Galaxy S9+の4面
Galaxy S9+のSIMカードスロット

 S9、S9+共通の強化点としてカメラ機能の強化があげられ、ハードウェア的な大きな進化点としては絞りのハードウェア的な切り替え機能がユニークだ。実際、カメラアプリで確認したところ、PROモードに設定したときに、絞りをF=1.5ないしはF=2.4に切り替えて利用することができることが確認できた。Autoモード時は、明るいところではF=2.4に暗いところではF=1.5に自動で切り替えられる。

 また、スーパースローモーション機能も追加されており、HD(1,280×720ドット)の解像度で960fpsのスーパースローモーションの動画を作成することができる。

新機能のAR Emoji、プリセットのキャラクターを利用したり、セルフィーの画像を元に自分だけの3Dアバターを作ることもできる
PROモードに設定すると、絞りを選ぶことができる。F=1.5ないしはF=2.4から選ぶことができる
スーパースローモーションの設定、解像度はHD(1,280×720ドット)までに対応

シンプルになることで低価格になり、使い勝手も向上したDeX Pad

DeX Padにキーボード、マウス、外付けディスプレイを接続している状態

 Samsungが発表したDeX Padは、USB Type-C端子にGalaxy S9/S9+/S8/S8+/Note8(ただし、OSはAndroid 8.0以上である必要がある)を接続し、外付けディスプレイ、キーボード、マウスなどを接続することで、まるでデスクトップPCのように使えるアダプタだ。

 従来のDeX Stationがケースをつけたりするとはまらなくなったり、ヘッドフォン端子が使えなくなるなどの課題を抱えていたのに対して、DeX Padでは構造をシンプルにしたため、価格も安価になり、使い勝手が大きく向上している。

DeX Pad本体
Galaxy S9を取り付けたところ

 従来のDeX PadのUSB Type-C端子は写真で見てわかるように本体と平行になっており、スマートフォンをパッドに押しつけてスライドする形で取り付ける形になっている。この時に端子には上下方向にやや角度がつけられるようになっており、ケースをつけててやや厚みがでていてもある程度までなら対応可能になっている。シンプルな形状になっているため、いちいちケースから外さなくても利用できるのは大きなメリットといえる。

 DeX Padには、HDMIポートとUSB Standard-A端子2つが用意されており、HDMI端子には外付けディスプレイを、USB端子にはキーボードやマウス、USBメモリなどを装着して利用する。

左からUSB Standard-A、ケーブルが接続されているのがHDMI端子、その右にもう1つUSB Standard-A端子が用意されている
USB Type-Cは上下に動くため、厚みが違うスマホやケースの差もある程度は吸収できる

 実際に接続したところで使ってみたが、DeX StationではフルHD決め打ちだった解像度が、HD+(1,600×900ドット)、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、オートの4つの選択肢の中から選べるようになっていた。展示機ではフルHDの液晶ディスプレイが接続されていたため、WQHDは選べなかったが、WQHD以上の解像度のディスプレイを接続するとWQHDに設定して利用できる。

 なお、ハードウェアキーボードのロケーションに関しては、残念ながら日本語はDeX Stationと同様に用意されていなかった。このため、英語キーボードなど、他の言語のキー配列を選んで使う必要があるほか、IMEに関してもSamsungのIMEのみサポートされているのも変わっていなかった。

オート、WQHD、フルHD、HD+の4つの設定から選ぶことができる
ハードウェアキーボードの設定に日本語はないので、英語などを選んで英語キーを利用する必要がある
DeXの設定画面

 DeX Padではスマートフォンの画面ではウインドウ表示ができないAndroid OSでも拡張されており、まるでWindowsのようにアプリケーションをウインドウ表示して利用することができる。すでにAndroid OS向けにも、MicrosoftのOffice(Word、Excel、PowerPoint)、AdobeのCreative Cloud(Lightroom CCなど)が用意されており、機能こそやや少ないもののWindowsと同じアプリケーションを利用できる環境が整いつつある。カジュアルユーザーであれば、PCの代わりとして大画面でスマートフォンを使うという使い方は十分ありだろう。

LightroomやOfficeなどがウインドウ表示されており、Windowsアプリと同じような感覚で利用できる
展示はされていなかったが、記者会見ではスマートフォンをタッチパッド的に利用できることも紹介された