2月23日 発表
パナソニックは23日、業界最高速を謳う2層構造のクロスポイント型ReRAM (Resistive RAM)を開発したと発表した。
ReRAMは金属酸化物を電極で挟んだ構造の不揮発性メモリで、構造が単純なため微細化に適しており、従来のNANDよりも高速という特徴を持つ。ただし、書き込み速度の遅さや、1T1R型では大容量化が困難という問題があった。
今回パナソニックが開発したのは、交差する配線の交点(クロスポイント)にReRAM素子を配置して1bitを構成するクロスポイント型ReRAM。トランジスタとReRAM素子を組み合わせる1T1Rに比べ、トランジスタが不要なため、セルサイズを1/4程度に縮小できる。また、積層も可能で、4層では約16倍の高密度化が可能となる。
これまで、クロスポイント型ReRAMの開発には、リーク電流に対応するため、一定電圧以上で双方向に抵抗変化に必要な電流が流せ、一定電圧以下では双方向に電流制限できる双方向ダイオードが必要とされるが、そういったダイオード素子は存在していなかった。これについては、タンタル酸化物の抵抗変化を双方向で制御できる双方向ダイオードをSiN系で開発し、リーク電流を1/80に抑えた。加えて、階層ビット線方式および多ビット同時書き込み方式の採用により、リーク電流を1万分の1以下に低減し、クロスポイント型周辺回路の動作限界である書き込みパルス幅8.2nsを達成し、書き込み速度443MB/secを実現した。
この成果は、米国時間の2月22日にISSCC 2012で発表された。
(2012年 2月 23日)
[Reported by 若杉 紀彦]