Intel、Sandy Bridgeこと第2世代Core iシリーズを正式発表
~ダイレベルでCPUとGPUが融合

1月6日 発表



 米Intelは6日、これまで「Sandy Bridge」のコードネームで呼ばれてきた第2世代となるCore iプロセッサを正式発表した。

 Core iシリーズは、2008年11月発表の45nmプロセスNehalemシリーズに始まったマイクロアーキテクチャ。マイクロアーキテクチャと製造プロセスを交互に更新するIntelの「Tick Tock」戦略に従い、2010年1月にはWestmereシリーズで、マイクロアーキテクチャを据え置きながら、プロセスルールを32nmへと縮小。今回は32nmプロセスのままでマイクロアーキテクチャの刷新を図った。

Sandy Bridgeのダイ

 Core iシリーズは、Nehalem世代でCPU内部にメモリコントローラを統合。続くWestmere世代からはグラフィックス機能を取り込んだが、CPUコアとは別のダイでプロセスルールも1世代前のままだった。これに対し、Sandy BridgeではダイレベルでCPUコアにグラフィックス機能が完全に融合された。

 Sandy Bridgeでは、共有3次キャッシュが「Last Level Cache (LLC)」と呼ばれるようになったが、これは各CPUコアだけでなく、GPUコアからも共有されるようになった。LLCはリングバス構造となっており、各CPUコアおよびGPUコアから短いレイテンシでアクセスできる。

 GPUコアは、CPUによってIntel HD Graphics 3000と同2000(2000は一部のデスクトップCPUのみ搭載)の2種類があり、前者はExecution Unit(EU)と呼ばれるStreaming Processorを12基、後者は6基内蔵。機能面での前世代のIntel HD Graphicsとの大きな違いは、DirectX 10/OpenGL 2.1からDirectX 10.1/OpenGL 3.0対応へと進化した点。同作クロックも最大で900MHzから1,350MHzへ引き上げられた。

 メディアプロセス機能部分についても、「クイック・シンク・ビデオ」と呼ばれる動画処理エンジンが新たに搭載され、H.264/MPEG-2/VC1のデコードに加え、H.264とMPEG-2のハードウェアエンコードできるようになった。また、色やコントラストおよび人肌のポストプロセス機能も搭載する。

 ディスプレイ出力は、HDMI 1.4に対応し、Blu-ray 3Dの外部出力が可能になった。また、無線LANを使ってディスプレイ出力を行なうWireless Display(モバイルCPUのみ対応)は2.0になり、IEEE 802.11nを使った1080p出力(ステレオ音声込み)に対応した。依然としてHDCPには対応できないため、Blu-ray Discなどでは利用できないが、ソフトウェアにアップデートによる対応の可能性はあるという。なお、受信を行なうには専用のアダプタが必要となる。

 CPUコアについては、初めて「Advancced Vector Extensions (AVX)」と呼ばれる命令セットに対応し、256bit幅のSIMD命令を実行できる。なお、AVXの利用にはソフトウェア側の対応に加え、Windows 7のService Pack 1が必要となる。

 1CPUコアで2つのスレッドを同時実行するHyper Threading(一部除く)、負荷とTDPの余裕に応じて動的にクロックを引き上げるTurbo Boostは踏襲するが、後者は2.0へ進化し、クロックの引き上げ幅や効率が向上。GPUコア側のオーバークロック機能であるDynamic Frequencyとも連携する。

 対応チップセットはIntel 6シリーズ。ほとんどの機能がCPUに内蔵されているため、機能面での更新は少ないが、新たにSATA 6Gbpsに対応した。

【表1】モバイルCPUの仕様
プロセッサー・ナンバーi3-2310Mi5-2410Mi5-2520Mi5-2540Mi7-2620M
OEM価格(ドル)N/AN/A225266346
TDP(W)3535353535
コア数/スレッド数2/42/42/42/42/4
CPU周波数(GHz)2.12.32.52.62.7
Turbo Boost
最大周波数(GHz)
シングルコアN/A2.93.23.33.4
デュアルコアN/A2.633.13.2
クアッドコアN/AN/AN/AN/AN/A
DDR3(MHz)1,3331,3331,3331,3331,333
L3キャッシュ(MB)33334
GPU基本周波数(MHz)650650650650650
GPU最大Dynamic Frequency(MHz)1,1001,2001,3001,3001,300
プロセッサー・ナンバーi7-2630QMi7-2635QMi7-2720QMi7-2820QMi7-2920XM
OEM価格(ドル)N/AN/A3785681,096
TDP(W)4545454555
コア数/スレッド数4/84/84/84/84/8
CPU周波数(GHz)222.22.32.5
Turbo Boost
最大周波数(GHz)
シングルコア2.92.93.33.43.5
デュアルコア2.82.83.23.33.4
クアッドコア2.62.633.13.2
DDR3(MHz)1,3331,3331,6001,6001,600
L3キャッシュ(MB)66688
GPU基本周波数(MHz)650650650650650
GPU最大Dynamic Frequency(MHz)1,1001,2001,3001,3001,300

【表2】低電圧版モバイルCPUの仕様
プロセッサー・ナンバーi5-2537Mi7-2617Mi7-2657Mi7-2629Mi7-2649M
OEM価格(ドル)250289317311346
TDP(W)1717172525
コア数/スレッド数2/42/42/42/42/4
CPU周波数(GHz)1.41.51.62.12.3
Turbo Boost
最大周波数(GHz)
シングルコア2.32.62.733.2
デュアルコア22.32.42.72.9
クアッドコアN/AN/AN/AN/AN/A
DDR3(MHz)1,3331,3331,3331,3331,333
L3キャッシュ(MB)34444
GPU基本周波数(MHz)350350350500500
GPU最大Dynamic Frequency(MHz)9009501,0001,1001,100

【表3】デスクトップCPUの仕様
プロセッサー・ナンバーi3-2100i3-2120i5-2300i5-2400
OEM価格(ドル)117138177184
TDP(W)65659595
コア数/スレッド数2/42/44/44/4
CPU周波数(GHz)3.13.32.83.1
Turbo Boost最大周波数(GHz)N/AN/A3.13.4
DDR3(MHz)1,3331,3331,3331,333
L3キャッシュ(MB)3366
Intel HD Graphics 2000/30002000200020002000
GPU最大Dynamic Frequency(MHz)1,1001,1001,1001,100
プロセッサー・ナンバーi5-2500i5-2500Ki7-2600i7-2600K
OEM価格(ドル)205216294317
TDP(W)95959595
コア数/スレッド数4/44/44/84/8
CPU周波数(GHz)3.33.33.43.4
Turbo Boost最大周波数(GHz)3.73.73.83.8
DDR3(MHz)1,3331,3331,3331,333
L3キャッシュ(MB)6688
Intel HD Graphics 2000/30002000300020003000
GPU最大Dynamic Frequency(MHz)1,1001,1001,3501,350

【表4】低電圧版デスクトップCPUの仕様
プロセッサー・ナンバーi3-2100Ti5-2390Ti5-2400Si5-2500Ti5-2500Si7-2600S
OEM価格(ドル)N/AN/AN/AN/AN/AN/A
TDP(W)353565456565
コア数/スレッド数2/42/44/44/44/44/8
CPU周波数(GHz)2.52.72.52.32.72.8
Turbo Boost最大周波数(GHz)N/A3.53.33.33.73.8
DDR3(MHz)1,3331,3331,3331,3331,3331,333
L3キャッシュ(MB)336668
Intel HD Graphics 2000/3000200020002000200020002000
GPU最大Dynamic Frequency(MHz)1,1001,1001,1001,2501,1001,350

Intel H67 Expressチップセットのブロックダイヤグラム

(2011年 1月 6日)

[Reported by 若杉 紀彦]