メルコ、AV関係好調で過去最高利益
~HDD、LANなどの収益改善

メルコホールディングス 取締役管理本部長 松尾民男氏

5月7日 開催



メルコグループの各企業

 バッファローやバッファロー・コクヨ・サプライ、CFD販売などを子会社とするメルコホールディングスが、2010年3月期(2009年4月~2010年3月)の決算の説明会を開催した。

●過去最高の利益

 今期の売上高は1,169億円(対前年比2.8%減)で減収だった。しかし、営業利益は75億円(同253.8%増)、経常利益は76億円(同238.9%増)で、いずれも過去最高となった。当期利益は研究開発費の控除などによる法人税削減により49億円(同605.8%増)となっている。

 四半期ごとの推移では、後半の第3/第4四半期で約60億円の利益を生み出しており、年度後半の立ち直りが顕著となっている。これを受けて、来年度の業績見通しは増収増益を見込んでいる。

連結決算。減収増益年度後半に挽回した来年度も増収増益を見込む

●メモリは不調、HDDが好調

 分野別ではメモリの売上げが対前年マイナス15.9%と大きく後退した。原因としては、PCの初期搭載メモリ増加により、自分で追加するユーザーが減少したこと、北米のメモリ市場から撤退したことが挙げられている。

 一方で好調だったのがHDD機器だった。東芝のHDDレコーダーを始め、USB外付けHDDをストレージとする製品の増加により、販売量が増加した。HDDユニットについては、前年度は大きな価格低下があったが、今年度は需要が逼迫していたこともあり、安定した価格が続き、利益が確保できたという。

 また、無線LAN機器は、IEEE 802.11nの正式決定もあって、数年ぶりに需要が増加した。携帯電話やTVなどで無線LAN対応機器が増加したことも需要を後押ししたという。

 サプライ部門では、シェアトップのエレコムには届かないが、BCNの2月調査でマウス部門の売上げでエレコムを抜くなど、背中が見えてきた状態といえそうだ。また、今期は液晶ディスプレイ事業から撤退している。

 来期については、PC関連事業では横ばいとしており、AV関連機器市場で成長を見込んでいる。すでに投入済みのAV機器専用USB外付けHDDをはじめ、地デジチューナ、無線LAN機器、液晶TVガードなどのサプライ機器など、デジタルホーム関連製品の開発を進める。

分野別の売上高推移メモリ製品の動向。RAMは減少、USBメモリは増加ストレージ/NASは非常に好調
無線LAN機器は好調サプライは売上げ100億円が見えてきたという来期の分野別見通し。アナログTVの停波に向けてAV関連の伸びを見込んでいる
今期は家電用外付けHDDを製品化したAV機器向けのサプライも力を入れるデジタルホームの普及は、自社の各分野に良い影響があるとしている
来期の海外売上げ見通し

 なお、海外事業については、北米が横ばい、欧州が23.9%増、アジア/オセアニアが63.4%増を見込んでいる。アジア圏では、代理店経由での販売体制となっているが、すでに進出済みの国でも販売地域を拡大するなど攻めの姿勢で臨むという。

(2010年 5月 7日)

[Reported by 伊達 浩二]