メルコホールディングス、減収減益ながらかろうじて黒字

説明にあたった松尾民男取締役管理本部長

5月8日 発表



 バッファローやCFD販売などのメルコグループの持ち株会社、株式会社メルコホールディングスが8日、2009年度の決算説明会を開催した。

 売上高は約1,202億円(対前年比-13.8%)、営業利益は約21億円(同-59.3%)、当期利益が約7億円(同-80.4%)と大幅な減収減益ながら、通年では黒字を確保した。

連結決算(P/L)。売上げも減少しているが、在庫の評価損などで利益は大きく減少している四半期比較(P/L)。第2四半期から変調が始まり、第3四半期が底。第4四半期で回復に向かったが、カバーしきれなかった通常ならば、年度前半より年度後半の方が売上げが伸びるが、昨年度に限っては売上げが落ちており、いかに異常な状況であったかがわかる

 とくに、DRAM、フラッシュメモリ、HDDなどの価格低下が大きく、販売店の在庫補償はメモリが約10億円、HDDが約60億円に上った。また、九十九電機の貸し倒れ、米国でのワイヤレスLAN特許紛争の和解金支払い、アイルランドの拠点清算などで8億円以上の特損を計上している。

 2010年度は、売上高1,235億円、営業利益24億円、当期利益約16億円と、堅実な回復を想定している。

DRAMとフラッシュメモリの価格低下を示すグラフに注目HDDの出荷数量は伸びたが、金額は下がっている
来年度は回復基調だが、手堅い見通しグラフ横の成長要因に注目

 発表会場では、取締役管理本部長の松尾民男氏が説明にあたり、「第3四半期に環境が激変し、売上げ低下と在庫製品の評価損がふくらんだ。経費削減など、適切なブレーキを踏むことで、第4四半期は黒字回復したものの、第3四半期の赤字を埋めることはできなかった」と述べた。

 また、2010年度の市況については、「個人向けPC市場は低価格なモバイルノート(ネットブック)の好調で、台数はややプラスを見込んでいる。法人向けPC市場はきびしく、昨年度を下回るだろう。Windows 7は今年後半の発売となることもあって、スタートダッシュは期待していない。来年以降徐々に広まっていくだろう」と述べた。

 「2010年度上期は、市況が回復するとは限らない。出荷台数やシェアにも拘るが、適正な利益の取れる高付加価値な製品を目指す。そのための開発投資はきちんと行なう。小売りレベルでの競合店値引きに巻き込まれる安い普及機だけではない。一方でHDDについては、CDやDVDのようなメディア化が進んでおり、複数台を使いこなすような使い方に変わっていくと思われる」と語った。

 また、サプライ分野については「サプライ市場では、ライバルであるエレコムの動向が重要だ。マウスのデザインなどでは後発としてキャッチアップが進み、対抗できる製品が出荷できるようになった。また、エレコムやサンワサプライが得意ではないエリアを伸ばしていきたい。たとえば、FMトランスミッターなどはよい例だ。また、バッファローコクヨサプライは、コクヨさんも出資しており、コクヨが得意とする紙製品や、文房具のデザイン力は有効な差別化となるだろう」と述べた。

(2009年 5月 8日)

[Reported by 伊達 浩二]