富士通、インパルス無線方式で10Gbps超のミリ波通信に成功

6月11日 発売



 富士通株式会社株式会社富士通研究所は11日、インパルス無線方式で10Gbpsを超える通信に成功したと発表した。

 今回の無線通信技術は、インパルス無線方式の70~100GHz帯ミリ波通信装置を開発することで実現。インパルス無線方式は、短い時間に変化する広帯域パルス信号を発生させ、フィルタを用いて使用する周波数成分のみを抽出して送信する伝送技術。高い周波数の無線通信は通常、容量の大きな発振器やミキサーなどが必要になるが、インパルス無線方式には必要なく、小型化や低コスト化のメリットがある。

 富士通研究所は、インジウムリン高電子移動度トランジスタ(InP HEMT)技術をベースに、広帯域かつ高感度な受信機と、10GHzクロック信号もとに10Gbpsデータ信号を参照しながら短パルスを発生させる新回路を開発。受信機は受信感度0.25μWを実現し、送信機は10Gbpsミリ波パルス信号のタイミング変動を0.3ピコ秒(1ピコ秒=1兆分の1秒)に抑え安定性を高めた。

 この送受信機を対向させ室内で伝送実験を行ない、インパルス無線方式ミリ波通信装置として世界初となる10Gbps超の無線通信に成功した。

 今回の成功により、光ファイバーの敷設が困難な地域に基幹回線として導入し、デジタルデバイド(情報格差)の解消への貢献が期待されている。また、超高速無線LANへの応用も可能だという。今後は2012年頃の実用化に向け、フィールド試験を重ねていく。

(2009年 6月 11日)

[Reported by 山田 幸治]