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改良版プロセスIntel 18A-Pリスク生産開始、同電力で性能9%向上

Intelがリスク生産を開始したIntel 18A-Pの概要

 Intel Foundryは6月16日(米国時間)、米国ハワイ州で開催されている「VLSI Symposium 2026」において同社が発表する内容の概要を明らかにした。

 Intel Foundryは、既にCore Ultraシリーズ3/Coreシリーズ3などの製造に利用されている現行のプロセスノード「Intel 18A」の改良版となる「Intel 18A-P」のリスク生産が始まったことを明らかにした。Intel 18A-Pでは、同じ消費電力であれば性能は9%向上し、同じ性能なら18%の消費電力の削減を実現できる。

RibbonFETとPowerViaという2つの武器を手に最先端プロセスノードでTSMCやSamsungに追い付いたIntel

Intelが公開したPanther Lakeのコンピュートタイルの製造に利用されているIntel 18Aのウェハ
Intel FoundryのFab 52

 Intel Foundryは去年(2025年)から、同社の最新プロセスノードとなるIntel 18Aを、米国アリゾナ州チャンドラー市に建設した新工場「Fab 52」などで量産開始している。

 このIntel 18Aでは、IntelがRibbonFETと呼び、一般ではGAA(Gate All Around)と呼ばれている新しいゲート技術を採用するのと同時に、PowerViaと呼ばれる裏面から電力を供給する技術を業界で初めて実現。Intel Foundryは、カスタマーゼロ(顧客としての自社自身)として、IntelのCore Ultraシリーズ3やCoreシリーズ3のダイを製造し、製品の大量出荷を開始している。

 Intel 18Aというブランド名からも分かるように、Intel 18Aは競合(TSMCやSamsung)の2nmと同等という位置づけで、これまで競合に大きく後れをとっていた最先端プロセスノードの開発で競合に追い付けたのがトピックとなる。

 現時点では製造されるIntel 18Aのウェハは自社向けが中心になっているが、既にAppleとの受託製造契約が成立したと報道されており、難産だったIntel Foundryの立ち上げは徐々に軌道に乗りつつある状況だ(ただし、AppleもIntelもこの件に関して公式な発表はしていない)。

改良版のIntel 18A-Pでは、同じ消費電力なら周波数は9%向上し、同じ周波数なら消費電力は18%の削減効果

Intel 18A-PはIntel 18Aと比較して同じ消費電力なら周波数は9%向上し、同じ周波数なら消費電力は18%の削減

 VLSI Symposiumで明らかにされるのは、そうしたIntel 18Aの改良版ノードとなるIntel 18A-Pのリスク生産(ウェハ製造が可能かどうかなどをテストする試験生産のこと)を開始したこと、およびそのIntel 18A-Pの性能などだ。

 Intel Foundryによれば、Intel 18A-Pは、半導体の設計を行なうEDAツールなどからするとIntel 18Aと互換性があり、Intel 18A向けに設計した設計データをそのまま落とし込んで製造することが可能だという。

Intel 18A-Pではいくつかの新しいデバイスが追加されている
新デバイスにより、より電力効率が高い設計、より性能が高い設計など、幅広い製品に対応が可能に

 Intel 18A-Pではいくつかの機能が追加されているほか、Intel 18Aと比べて性能が強化されている。たとえば、機能面では「新デバイス」と呼ばれる、新しいデバイスが増えている。これまでのIntel 18Aでは180HP、160HDという2つのセルハイトのデザインが用意されているが、180HPというセル向けにはW2とW3、160HDというセル向けにW1、W2、W3という、合計で5つのデバイスが用意されていた。

 一方、Intel 18A-Pでは180HP向けにW3PとW1、160HD向けにW3PとW1.5が追加されている。このうちW1やW1.5は低消費電力向け、W3/W3Pは高性能向けという位置づけ。特にW3Pではデュアルコンタクトと呼ばれる手法が採用され、W3とほぼ同じ容量でありながら、より高性能を実現できる。こうした新しいデバイスを投入することで、従来よりも幅広い製品をIntel 18A-Pで製造することが可能になる。

熱抵抗の改善も実現

 また、Intel 18A-Pでは熱抵抗も改善した。フロント側(図ではダイの上下が逆転しているため、下側がフロント)にある熱伝導領域の新しい素材を導入することで、熱抵抗値を下げることに成功している。さらにEDAツールにも改良を加えて、熱を意識したレイアウトができるようになっていることも改良点だ。

 こうした改良などを加えることで、Intel 18A-PでArmプロセッサを試作してテストしたところ、Intel 18Aと比較して同じ消費電力であれば9%周波数向上し、逆に同じ周波数であれば18%の消費電力を削減できたという。同じデザインのプロセッサをIntel 18AからIntel 18A-Pに切り替えるだけでこれだけの効果を得られるのだから、その効果は小さくない。

Panther Lakeの後継製品など2027年に登場する製品で採用される見通し

IntelがCOMPUTEXで公開したDiamond Rapidsのスライド、Intel 18A-Pで製造することが公開されている

 このIntel 18A-Pの自社製品への活用に関しては、2027年に導入予定の次世代サーバー向けPコアCPU「Diamond Rapids」の製造に利用するとCOMPUTEXのタイミングで明らかにしている。

 同じく2027年に投入すると考えられているPanther Lakeの後継となるノートPC向け製品でも、Intel 18A-Pで製造する方針を既に去年のIntel Foundryのイベントで明らかにしており、Intel自身の製品の競争力強化にも貢献しそうだ。なお、業界筋によれば、今年(2026年)後半に投入が計画されているデスクトップPC向けのNova Lakeは引き続きIntel 18Aが利用される可能性が高い。

 今回の発表はリスク生産の開始が明らかにされただけで、具体的な大量生産の時期は明らかにされなかった。ただ、2027年に登場するIntel製品の製造に使われるためには、今年中か来年前半には大量生産が行なわれている必要があることを考えれば、そう遠くない時期に大量生産も開始されるだろう。