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Bluetooth、ハイレゾ/ロスレス対応は2026年下期。8Mbpsへの高速化、6GHz帯サポートも計画

Bluetooth SIGの新たなビジョン

 Bluetooth Special Interest Group(以下Bluetooth SIG)は10月16日、技術開発計画および市場展望に関する記者会見を開催した。会見の中で、次世代オーディオ規格がハイレゾおよびロスレス音源に対応し、2026年下期に標準化される計画だと明らかにした。また、通信速度を現行の4倍となる8Mbpsへ高速化する取り組みや、新たに5GHzおよび6GHz帯をサポートする計画も進行中であるとした。

 Bluetooth SIGで最高マーケティング責任者を務めるケン・コルドラップ氏は、Bluetooth対応デバイスの2025年における出荷台数が50億台に達し、2029年には77億台へ拡大するとの予測を示した。中でも日本は、メンバー企業の本社所在地、製品認証件数ともに世界で3番目に多く、極めて重要な市場であると強調した。

Bluetooth SIG最高マーケティング責任者ケン・コルドラップ氏

 コルドラップ氏は、現在のBluetooth技術が貢献する主要な4分野として「利便性」「健康」「生産性」「サステナビリティ」を挙げた。オーディオ周辺機器(2025年の出荷見込み9億台)や紛失防止タグ(同8,000万台)といった利便性を高める製品や、フィットネスバンドなどのウェアラブルデバイス(同3億2,300万台)に加え、工場の資材管理などに利用される資産追跡タグ(同2億4,500万台)といった、産業分野でも活用が拡大しているという。

 小売店での導入が進む電子棚札(ESL: Electric Shelf Label)は、紙の廃棄物を削減するサステナビリティへの貢献も大きいとし、2025年の出荷台数は1億3,800万台に達する見込みだとした。

 技術的な進化のトピックとしては、多数のデバイスが相互に通信し合うデバイスネットワーク、公共スペースなどで1つの音源を複数のデバイスへ配信できる「Auracast」や、測距精度を数cm単位まで高めたという「高精度測距(チャネルサウンディング、旧HADM)」を紹介。高精度測距は自動車のデジタルキーなどでの活用が見込まれるという。

 今後計画している機能強化のロードマップとしては、Bluetooth接続HIDの有線並みの低遅延化、次世代オーディオ技術、通信の高速化、そして高周波数帯域への対応が紹介された。

 オーディオ分野では、ハイレゾ・ロスレス品質を実現する標準化を進めており、これらの仕様が2026年下期に登場する予定だ。

 また、Bluetooth LEのデータスループットを現在の最大2Mbpsから8Mbpsへと引き上げることで、より大容量のデータ転送を可能にする。さらに、現在Bluetoothが用いている2.4GHz帯に加えて5GHzおよび6GHz帯にも対応することで、周波数帯の混雑を緩和し、遅延の低減や測位精度の向上といった性能改善を図るとしている。

 質疑応答では、メンバー企業によるBluetoothバージョンの表記がまちまちであるという指摘もあったが、Bluetooth SIGとして課題を認識しており、対策を強化していく方針なども示された。

 会見と合わせて行なわれた展示では、次世代技術に関連する製品などが出展された。

高精度測距の実演
2Mbpsを超える高速通信の実演
大阪万博でも使用されたという、Auracast対応のサラウンドシステム
Bluetooth 6.0対応開発ボード