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PC向け「Snapdragon X2 Elite Extreme」はメモリ統合で75%性能向上
2025年9月25日 05:30
Qualcommは、米国時間9月24日に報道発表を行ない、Windows PC向けのSoC「Snapdragon X2」シリーズの最初の製品となる「Snapdragon X2 Elite Extreme」および「Snapdragon X2 Elite」を発表した。両製品は、これまでのフラグシップ製品である「Snapdragon X Elite」の後継で、従来のSnapdragon XシリーズにはなかったElite Extremeという新しい製品グレードが追加されている。
CPUは、同社が自社開発しているArmプロセッサ「Oryon」の第3世代製品で、最大18コア構成(従来製品は最大12コア)となる。上位グレードのSnapdragon X2 Elite Extremeでは、プライムCPUコアがブースト時に5GHzのクロック周波数に達しており、従来製品と比べて同じ消費電力で最大75%の性能向上を実現。加えて、MoP(Memory on Package)の仕組みを採用しており、DRAMチップをパッケージ上で統合している。
NPUも強化されており、従来の45TOPSから80TOPSへと大きく性能が引き上げられた「Hexagon NPU」を採用しているほか、新しいアーキテクチャを採用した「Adreno GPU」は電力効率が2.3倍改善されるなど、各所で強化が図られている。
Copilot+ PCの第1弾製品に採用されるなど一定の成功を収めたSnapdragon Xシリーズ
QualcommのSnapdragon Xシリーズは、MicrosoftとQualcommが協力して導入を進めてきたWoA(Windows on Arm、Arm版Windows)に関する取り組みのある種の到達点だ。従来はAMDやIntelのx86プロセッサに対して、CPUやGPUの性能などで遅れをとっていたQualcommのWoA向けSoCだが、Snapdragon Xシリーズでは性能でx86プロセッサを上回る逆転現象を起こした。
2024年5月にMicrosoftが発表したCopilot+ PC構想では、AMDやIntelの製品に先駆けてSnapdragon Xシリーズを搭載したCopilot+ PCが発表された。MicrosoftのSurfaceシリーズでは一般消費者向けモデルに採用されるなど、Copilot+ PCではまずWoA版が発表され、その後でx86版が発表されるという、これまでとは違う様相を見せている。
Qualcomm CEO クリスチアーノ・アーモン氏は、COMPUTEX 2025での質疑応答で「米国など特定の一般消費者向け市場ではシェアの10%程度を獲得している」と説明しており、従来のほぼゼロに近い状況から状況が大きく変わりつつあることを印象づけている。
Snapdragon X2シリーズは第3世代Oryonで18コア構成に。シングルもマルチも性能向上
今回発表されたSnapdragon X2シリーズは、そうした一定の成功を納めたSnapdragon Xシリーズの2世代目にあたる製品となる。Snapdragon Xシリーズでは、最上級向けの「X Elite」、ミドルレンジ向けの「X Plus」、バリュー向けの「X」という3つのグレードが用意されていたが、今回はまず「X2 Elite」のみが発表された形となる。かつ、そのX2 Eliteの最上位製品として「X2 Elite Extreme」が追加される。
ただし、このX2 Elite Extremeは新しいグレードというよりは、X2 Eliteの中の最上位モデルがそう呼ばれる形になる。
CPUは、Snapdragon Xシリーズで採用されたOryon CPUの第3世代版となる。Oryonは、第2世代版が2024年に発表されたモバイル向けのSnapdragon 8 Eliteに採用されており、今回発表された第3世代のOryonはSnapdragon X2シリーズと同時に発表されたモバイル向けのSnapdragon 8 Elite Gen 5にも採用されている。
Snapdragon Xシリーズの第1世代Oryonからの大きな強化点としては、12コアのプライムコアに加えて、6コアのパフォーマンスコア(高性能コア)を加えて18コア構成になっていることがある。Oryonのパフォーマンスコアは、Snapdragon 8 Eliteの第2世代Oryonで追加されたもので、それが今回Snapdragon X2シリーズの第3世代OryonでPC向けにも採用された。CPUコア数が増えたことで、マルチスレッド時の性能が引き上げられている。
また、プライムコアのうち2つのCPUコアまではブースト時に最大5GHzで動作させることができ、それによりシングルスレッド時の性能も大きく引き上げられている。上位版のSnapdragon X2 Elite Extremeは、従来のSnapdragon X Eliteと比較して、同じ電力であれば性能が75%向上しているとQualcommは説明している。
最上位のExtremeはDRAM統合で帯域幅がアップ。GPU性能向上、NPUは80TOPSを実現
メモリ周りも大きく改良された。特に上位モデルのSnapdragon X2 Elite Extremeでは、MoP(Memory on Package)が採用されており、16GBのDRAMチップを3つ、合計48GBのメインメモリがダイとパッケージ上で統合されている。かつ、メモリバス幅が128bitから192bitへ拡幅され、LPDDR5Xのデータレートも8,533MHzから9,523MHzへと強化。これによりメモリ帯域幅は従来製品の約136GB/sから約288GB/sへと引き上げられている。
メモリ帯域幅は、特にゲームのように大量のデータをメモリに展開するアプリケーションで効いてくるため、グラフィックス性能の向上などが期待できる。なお、通常のSnapdragon X2 EliteはMoPではなく、メモリバス幅も128bitとなるため、帯域幅は約152GB/sとなる。
GPUも大きな強化ポイントで、同社は今回のGPUを完全に新しいアーキテクチャにしたと説明している。具体的にどのようなアーキテクチャ上の拡張があるのかは明らかにはなっていないが、アーキテクチャを一新したことで、従来製品に比べて電力効率が2.3倍改善されていると説明している。なお、従来のSnapdragon XシリーズのGPUはAdreno X1という名称だったが、今回はAdreno X2という名称であることがGPUのパーツナンバーから分かる。
Snapdragon Xシリーズでは他社製品に先駆けてNPUを搭載し、Copilot+ PCの要件である40TOPSを超える、45TOPSという性能を実現して話題となった。Hexagon NPUではNPUも強化され、80TOPSに達している。従来製品に比較して約1.78倍、Copilot+ PCの要件である40TOPSの2倍の性能を実現している。
また、細かなところでは、PCI Express(PCIe)も従来は4.0が8レーンとなっていたが、今回の世代では5.0が12レーン、4.0が4レーンをサポートしている。これにより、PCIe 5.0のSSDなどをシステムのストレージとして利用することが可能になる。
3つのSKUがまず登場し、搭載PCは来年前半に市場へ登場する見通し
Snapdragon X2 Eliteには、現在Snapdragon X2 Elite Extremeを含めて3つのSKUが用意されている。Snapdragon X2 Elite Extremeが「X2E-96-100」、Snapdragon X2 Eliteが「X2E-88-100」と「X2E-80-100」となる。それぞれのスペックなどは下記の通りだ。
| ブランド名 | Snapdragon X2 Elite Extreme | Snapdragon X2 Elite | Snapdragon X2 Elite |
|---|---|---|---|
| SKU名称 | X2E-96-100 | X2E-88-100 | X2E-80-100 |
| CPUコア数 | 18 | 18 | 12 |
| プライムコア | 12 | 12 | 6 |
| プライムコア周波数 | 4.4GHz | 4GHz | 4GHz |
| プライムコアブースト周波数 (シングル/デュアル) | 5GHz/5GHz | 4.7GHz/4.7GHz | 4.7GHz/4.4GHz |
| パフォーマンスコア数 | 6 | 6 | 6 |
| パフォーマンスコア最大マルチコア時周波数 | 3.6GHz | 3.4GHz | 3.4GHz |
| キャッシュ容量合計 | 53MB | 53MB | 34MB |
| GPU名称 | X2-90 | X2-90 | X2-85 |
| GPU最大周波数 | 1.85GHz | 1.7GHz | 1.7GHz |
| NPUピーク性能 | 80TOPS | 80TOPS | 80TOPS |
| メモリ | LPDDR5X | LPDDR5X | LPDDR5X |
| 帯域幅 | 228GB/秒 | 152GB/秒 | 152GB/秒 |
| MoP最大容量 | 48GB | - | - |
| 最大容量 | 128GB+48GB | 128GB | 128GB |
Qualcommによれば、Snapdragon X2 Eliteは3nm(どこのファウンダリかは記事執筆時点では明らかにされていない)で製造されており、価格などは非公表。搭載したシステムはPCメーカーなどから2026年前半に登場する見通しだとしている。


















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