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ChromeOSが60%シェアの教育市場。Windowsはわずか10%に低下。MM総研調べ

児童生徒用端末のOSシェア推移

 小中学校での教育用端末の更新整備が開始されているGIGAスクール構想第2期において、GoogleのChromeOSのシェアが60%を占め、過半数を超える圧倒的なシェアとなる見通しであることが分かった。MM総研が、全国1,249の市区町村から有効回答を得た調査結果で明らかになった。

 2020年から始まったGIGAスクール構想第1期でも、ChromeOSが42%を占めてトップシェアを獲得したことが、業界内では大きな注目を集めたが、第2期では、さらにChromeOSがシェアを拡大。18ポイントも増加させた。

 これに次いで2位となったのが、AppleのiPadOS。シェアは31%となり、第1期の29%から2ポイント増加させている。

 一方で、大きくシェアを落としたのがMicrosoftのWindowsだ。今回の調査では、シェアがわずか10%に留まり、個人向けPCや企業向けPCの市場構成とは大きく異なる状況となった。第1期では29%のシェアで、iPadOSと並んでいたが、第2期では19ポイントも減少させ、一人負けとも言える状況になった。

 今回の調査は、ICT市場の調査を行なっているMM総研が、全国1,741のすべての市町村を対象に、2025年6月から7月にかけて、電話調査を実施し、1,249市町村から有効回答を得てまとめたものだ。採用予定のOSと採用理由、調達時期や導入台数などを聞いている。

 端末のOSおよび導入台数に関する有効回答は1,174団体で、621万台を対象にOSのシェアを集計した。第2期では1,000万台規模の端末が導入されると想定されており、6割強を対象にした速報値と見ることもできる。

ChromeOSが選ばれた理由

 調査によると、ChromeOSを選定した理由としては、クラウドによる端末の集中管理や、デバイスの配備およびID更新のしやすさといった「運用のしやすさ」のほか、iPadに比べて、5万5,000円の政府補助の範囲での導入が可能であること、Googleが教育現場向けに提供しているキックスタートプログラムなど、現場の教員に向けた教育および活用支援体制が強化されていることなどがあがっている。

 また、iPadOSを選定した理由では、操作性や慣れなどを背景に、教員だけでなく、子どもが使いやすい環境を実現していることや、iPadを使いこなしている教員が多く、教員や教育機関からのサポートが受けやすいことに加えて、教員の間からは、「比較的不具合が少なく、ハードウェアの耐久性が高いと感じる」といった声もあがっている。

 一方で、Windowsに対しては、「OSのアップデートなどがあり、現場で運用しにくい」「動作が遅い」などの理由から評価が低く、それが第2期での端末導入における足かせになったと見られる。

 調査では、第1期と第2期のOSの変更の有無についても調査している。

 GIGA第2期で、第1期と同じOSを利用すると回答した自治体は67%と、約3分の2を占めており、OSを切り替えると回答した自治体は28%となった。

GIGA第2期でのOS切り替え有無

 だが、ここでも興味深い結果が出ている。第1期でChromeOSを採用した自治体では、9割以上が継続すると回答。iPadOSでは約8割の自治体が継続利用しているという。だが、Windowsを採用したり、複数OSを採用していたりする自治体では、6割以上がOSを切り替えているという。

 同じOSを利用すると回答した自治体からは、「現在、利用しているOSであるため」として、継続性を重視する回答が94%を占めたほか、「運用しやすいため」との回答が31%を占めた。

GIGA第2期のOS選定理由

 一方で、OSを切り替える自治体では、「切り替えたOSのほうが、周辺自治体で多く利用している」が38%と最も多く、「運用しやすい」が33%、「現場の教員からの意見やアンケート結果で選ばれた」が23%となった。

 MM総研では、「切り替えにあたっては、整備運用側の意見だけでなく、現場の意見や周辺自治体の状況などが反映されているものと見られる」としている。

1台あたりの補助金はChromeOSが5万4,000円程度

 GIGAスクール構想第2期では、1台あたり5万5,000円の政府補助金が用意されているが、OS別にみると、ChromeOSは平均で5万4,000円、Windowsでは5万5,000円、iPadOSは5万7,000円となっている。iPadOSは、ほかのOSと比べ若干高いという傾向が出ているが、補助金の範囲を超えても、iPadを導入する自治体が多いことが分かる。

GIGA第2期の端末単価

 また、今回の調査では、調達予定時期も集計している。有効回答を得た1,227市区町村の661万台を対象に分析すると、2025年度中に調達するとの回答は、475万台に達し、全体の72%を占めた。2026年度に入ってからの調達は144万台となり、22%となった。2027年度以降は25万台に留まっている。

調達時期別の端末台数

 MM総研では、「政府では、調達の平準化をアナウンスしているが、現行の端末が古くなってきていることなど、自治体ごとの事情があり、調達時期の後ろ倒しは難しいものと見られる」とし、2025年度に調達が集中している理由を予測した。