ニュース

リチウムイオン電池の処分でもう困らなくなる?総務省が国全体に働きかけ

総務省が公開した資料による、リチウムイオン電池の処分状況試算

 総務省は25日、リチウムイオン電池などの回収や再資源化に関する調査を行ない、その結果に基づき各方面に通知要請を行なったと発表した。

 近年はリチウムイオン電池の使用製品の増加や多様化に伴い、市区町村が回収するごみへの混入による処理施設の火災事故などが頻発、ごみ処理が滞ることによる社会生活への影響などが懸念されている。

 リチウムイオン電池の回収や再資源化については、法令等に基づいて製品メーカーなどには自主回収などの責務があり、市区町村には一般廃棄物の統括的な処理責任がある。その一方で国による製品メーカーなどの自主回収などの取り組み状況の把握や、市区町村による回収の実施は一部に留まっていた。そのため総務省は関係機関の取り組み実態などについて調査を行なった。

リチウムイオン電池発火によりごみ処理施設が火災となった時の様子(総務省の資料より)

 調査の結果、対象となった43市の不燃ごみなどに混入したリチウムイオン電池約2,900点を分析したところ、加熱式たばこ、携帯電話、モバイルバッテリ、電気かみそり、電気掃除機などが多く混入されていることが分かった。

 また、市区町村では回収にあたって、財政的負担、処分事業者の確保などに課題があるという意見があり、処分事業者が見当たらないため埋め立て/焼却/ストックしている例もあった。さらに、保管方法が適切でない事例、安全な保管/処分方法を求める意見などもあった。

現在におけるリチウムイオン電池などの処理困難物対策の分類

 総務省での試算では、住民はリチウムイオンバッテリの過半を市区町村に排出している可能性や、市区町村は回収したものの4~5割に近い水準で焼却/埋め立て/ストックしている可能性があるという。

 そのため、総務省は経済産業省および環境省に対し、製品メーカーなどの自主回収対象品目の追加、市区町村における適切な回収/処分を推進するための市区町村に対する情報提供、住民のリチウムイオン電池などの排出の実態解明の推進などを要請した。