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東芝、紙ノートのような書き心地の「dynaPad」を技術解説

~独自の技術を多数盛り込んだ意欲作

東芝は「dynaPad N72」の製品説明会を開催した

 株式会社東芝は13日、Windows 10搭載タブレットおよびノートPCの2015年秋冬モデルに関する「新製品・新技術カンファレンス」を開催した。

 発表されたノートPCの製品ラインナップについては別記事を参照されたいが、説明会では主にWindows 10を搭載した12型タブレット「dynaPad N72」のコンセプトや採用技術、機能、そして搭載アプリの紹介が行なわれ、東芝の同タブレットに対する強い意気込みを窺わせる内容になっていた。

 dynaPad N72の概要や製品仕様についてはこちらの記事を参照されたい。ここでは主に会場の実機レポートや、スライドを使って説明された機能面に関して紹介する。

「dynaPad N72」の実機手に持った時の感想はとにかく軽いの一言に尽きる。12型タブレットながら重量は約569gしかない
本体とキーボードは接点接続式になっているため、切り離すとキーボードは使用できない
キーボード側に設けられた溝を使用してドッキング。画面の角度調整は不可
背面はツルツルとはしておらず、滑り止め防止用の措置が施されている
本体とキーボードは4隅に内蔵されているマグネットで固定する。画面は裏表で固定できるが、表側だと磁力が弱くすぐに外れてしまう
背面にある800万画素のカメラ
本体左側面にはMicro HDMI、Micro USB、microSDカードスロットを装備
本体右側面。左端はデジタイザペン固定のための溝。そのほか、Micro USBと音声出力端子がある
本体上面には電源スイッチと音量ボタン
本体背面のプリント、直流電圧5Vと電流2Aの文字が読める
デジタイザペン取り付け時
デジタイザペン取り外し時
デジタイザペンには単6型電池が使われる
白い部分のボタンには消去と右クリック機能が割り当てられている

 dynaPadの説明には、東芝パーソナル&クライアントソリューション社 統括技師長の柏木和彦氏が登壇した。柏木氏はdynaPadについて、「今までのPCにとらわれない、紙のノートらしさ」がコンセプトになっていることを語り、ビジネスや学習において思考や創造をサポートする、クリエイティブなノートであることをアピールした。

dynaPadでは思考と創造を
クリエイティブノートを標榜
dynaPadは「紙のノートのように」、「紙のノートを超えて」、「専用キーボードでPCに」の3つにこだわっている

 タブレットとしての使いやすさや持ち運びやすさなどを考え抜き、大きさは12型でB5サイズが最適であると結論。数十台の試作筐体の中から現在の形が生まれたという。重量は約569gと軽量で片手持ちでも疲れにくい。厚みも6.9mmと薄型になっている。

12型のWindowsタブレットでは世界最薄という約6.9mmの厚み、重量も約569gと軽く世界最軽量でもある
タブレットは12型で、B5ノートと同等サイズ

 「紙のノートらしさ」を追求し、書くことにこだわりを見せているのが大きな特徴。デジタイザペンが付属しており、紙のような書き心地を生み出したというが、これにはディスプレイのガラス面とペン先の工夫により実現している。ガラスを薄くすることでディスプレイ表面とペン先との視差を縮めたほか、ペン先が表面でツルツルと滑りすぎないように摩擦も考えられており、素早く書き込んだ場合の表示遅延も起きないように設計。書き込み時の違和感を軽減する施策が取り入れられている。

タッチパネル表面に2層のコーティングを施し、映り込みを軽減する「アンチリフレクションコーティング」のほか、指紋が付きづらい「耐指紋コーティング」が施されている
ワコムと協力して開発したという「アクティブ静電結合方式」のデジタイザペン。小さな文字も書きやすいようにペン先は1.0mmに、筆圧検知は2,048段階に対応している
薄さ2mmというタッチパネルディスプレイの構造。カバーガラスはおなじみのCorning製Gorilla Glass 3、液晶とタッチセンサーの隙間をなくす「ダイレクトボンディング」技術が使われている

 また、薄型筐体でも堅牢さを失わないように強度が考えられており、素材にカーボンを使用しているのも特徴。基板設計/筐体設計においても東芝が独自に開発を行なっている。

タブレット内の基板は片面実装で厚さ1.9mmに収めている
柏木氏が直接手に持って基板を見せている
本体の薄さを維持したまま強度を保つべく、カーボン素材を筐体に使用。一定の方向の力に弱いとされるカーボンだが、東芝独自開発の一体構造により従来品よりも4倍の剛性を備えると謳う
筐体のカーボン部分を見せる柏木氏

 そのほか、独自のアプリを6個搭載しており、紙では実現できないデジタルならではの機能を追加したと柏木氏は語ったほか、TransferJet採用による近距離高速通信の利用によって、ちょっとした会議などで簡単にデータのやり取りができることを紹介した。

dynaPadは6つの独自アプリを搭載する
「TruNote」は手書き文字をテキスト変換するといったノートアプリで、任意の文字の手書き検索にも対応。ノートは最大1,000冊、各1,000ページを使用できる
「TruNote Clip」は画面キャプチャアプリで、キャプチャした画像に直接手書きでメモを加えつつTruNoteに保存できる
「TrueCapture」はスライドやホワイトボードを斜めから撮影した際に発生した歪みを自動的に補正し、正面から撮ったように修正するアプリ。画像内の文字を認識してテキスト変換も行なう
「TrueRecorder」はボイスレコーダアプリ。複数人の会議でも発言者をそれぞれ特定して区分け表示できる
「TruNote Share」はdynaPad使用者間でノートをリアルタイムに共有するためのアプリで会議などでの使用を想定。それぞれ同じ画面を共有し、1人が書き込んだ内容が全てのdynaPadに表示される。アクセスポイント使用時は同時に40名、端末間通信では同時に5名が共有できる
「TruNote Viewer」はdynaPadがなくても、iOS搭載のスマートフォンなどからTruNoteの内容を確認できるアプリ
Wi-Fiなどを使わずに端末間でデータ転送を可能にするTransferJetをサポート。端末を3cm内に近付けることで、100MBの動画を2、3秒で転送するという

 柏木氏は、デジタイザペンに対応した競合製品が他社からも発表/発売されている中で、dynaPadは、従来のタブレットになかった“考えることをサポートするツール”であることが大きな違いであるとし、創造的思考のためのインテリジェントツールとして、ビジネスやICT教育の現場での利用に最適であると強調した。

会場に展示されていた東芝30年のPCの歩み
1990年から1995年代
2000年から2004年代
2005年から2010年代
2010年以降
現在

【11月18日訂正】メーカーより、本体重量の569gから579gへの増加と、アンチリフレクションコーティングが非搭載へと仕様が訂正されました。

(中村 真司)